三松真由美

  • 2024.05.09

「オレは一緒に楽しみたかっただけ…」彼女を傷つけた25歳男性の「最低な行為」とは – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、付き合っている彼女に食べ物の好き嫌いが多いことにモヤモヤしている25歳男性。彼はおいしいものを彼女と一緒に楽しみたいと思っていますが…。三松先生の回答は? 陽一(25)彼女には、“好き嫌いレス”でいてほしいがどうしたらいいんだ? 【レスなひとびと】vol. 240 「えー、食べないの?」 煙もくもく下北沢の焼肉屋で、陽一はげんなりする。彼女の華ちゃんは、好き嫌いが多くてホルモンを食べないのだ。 「だって言ったじゃん。苦手だって」「そうだけど。頼めばちょっとくらい食べるかなって」「いや、食べないよ」 結局、ホルモンの盛り合わせはすべて陽一が食べることになった。あーあ、ほんとはハラミも壺漬けカルビも食べたかったのに、ホルモン尽くしか。 華との出会いは、社会人テニスサークル。白いスコートをバッチリ履きこなすスタイルのよさに一目惚れ。陽一の猛アタックで付き合いはじめた。交際してからわかった。華は食べ物の好き嫌いがムッチャ多い。 ホルモンや刺身が無理らしい。馬刺しやラム肉も。なんならキュウリとセロリも。あ、青い魚もって言ってる。お酒も飲めない。酒好きな陽一は、かなりショック。 早いところ、親にも紹介したいと思ってる。でも、好き嫌いの多さがネック。陽一の実家は北海道。刺身やラム肉は不可避。というより、陽一が地元フードを食べたい。一緒においしいねって楽しみたい。 想像してみる。陽一の家族と食事をするとき、華が嫌いなものを全部残したりしたら…。絶対、お互いに気まずい。大人なら、そこは華もがんばって食べてほしい。 「せめてお酒は飲もうよ。華の両親もよく飲むって言ってたし、体質的にダメなわけじゃないんでしょ? 一口でもいいよ」「翌日に響くし、コンディション悪くなるのが嫌なの」 頑なに拒否。本当はちょっとずつでいいから飲めるようになってほしい。結婚したら、一緒にワインとかで洒落た晩酌する夢がある。デートからの帰り道、陽一は思い立つ。いいムードの時に、少しだけ飲んでみてもらえばいいのでは? と。「意外とおいしいじゃん!」となり、華の考えも変わるかもしれない。 決行は、華が陽一の家にお泊まりする次の土曜日。翌日もデート予定だし、コンディションが悪くなったとしても、おうちデートにすれば大丈夫。土曜の夜、おやすみ前の時。近くに置いておいた梅酒を手に取り、口に含む。 「華…」 名前を呼んで顎クイ。キスをしつつ、梅酒を華の口に流し込む。 「ん!?」 驚いた顔の華が、手でグッと陽一の胸を押す。 「ありえない 今日はもうしない」 そう言ってサッと服を着て、ふてくされて寝てしまった。あれ、これって作戦失敗? 【三松さんからのコメント】 陽一さん、それって食ハラだし、アルハラです。翌朝、華さんはもう出ていっちゃってたんじゃないですか? 恋が終わりそうな予感です。 苦手なものを「一緒に楽しみたいから」「家族に自信をもって紹介したいから」といった理由で強要するなんて、華さんも「自分は大切にされていない」と感じてしまうのではないでしょうか。食べるものに限らず、誰しも苦手なものはある。高いところがダメだったり、大きな音がダメだったり。自分は好きだから、相手も好きになってくれるはずと思うのはやめて。世界は自分中心に回ってるわけではない。 ご両親との食事だって、工夫すれば乗り切れる。「あれもこれも食べられない」「苦手なものが多すぎる」と伝えるのではなく「これが食べたい!」とリクエストすればいいのでは? 刺身やラム肉にこだわらずとも、北海道ならおいしいものがいっぱいあるあるある。例えばチーズフォンデュとかね。 頻繁に食事の機会があるわけではないですし、「彼女はチーズが好きでたまらない」とでも言っておけばいいのです。苦手なもの、ありすぎると健康上の問題がありますが、他の食べ物で栄養がとれるのであれば問題ない。どうしても一緒に食とお酒を楽しみたいなら、それを条件に婚活しなおして。今のままだと、華さんがお気の毒です。 「”好き嫌いレス”でなんでも美味しそうに食べる彼女が理想なのはわかるが、誰だって苦手食材はあるっしょ。そんなことで悩むのは器が小さいやつだ。ドンと構えて親に会わせよう」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©yamasan/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/547419/ Source: ananweb

  • 2024.04.18

「好きだったけどもう無理…!」彼氏への「愛が一瞬で冷めた瞬間と対処法」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、3年片思いしていた会社の同僚と晴れて恋人同士になったという21歳女性。ところが、初デートで彼のある行動が気になり…。恋人に対して急に冷めてしまう「蛙化現象」が起きてしまったときの対処法について、三松先生が教えてくれます! 美穂(21歳)、これって蛙化? ハンカチレス男に1000日の恋も冷めてしまう 【レスなひとびと】vol. 238 マッチョ好きの美穂は、同じ会社に勤めるたくましい上腕をもつ剛に片思いして早3年。同僚には「ちょいゴリラ系だよね」って言われてる彼だけど、美穂にとってはそこがいいのだ。 この春、歓送迎会の帰りに思い切って告白。まさかのOK。週末は初デート。桜がキレイな山にプチ登山することになった。 「あー、服、迷う! っていうか、土曜ってどのくらいの気温なんだろ」 調べると、山にしては結構気温が上がるみたいだった。剛にも伝えようと思ってLINEする。 「土曜日は結構気温が上がるみたい。温度調整しやすい服で来てね。楽しみにしてるよ」 気遣いができるところを見せたくて、丁寧に伝えた。 そして、当日。よく晴れて、気持ちのいいお天気だ。剛が車で迎えに来てくれて、山の麓まで。そのあと車を停めて登山道を歩いていく。 普段からバスケや筋トレをしている剛は、足取りが軽い。上着を脱いで、半袖から覗く上腕二頭筋にキュン。「あー、あの腕に腕枕してもらいたい」と、ついつい妄想してしまう。胸筋も広くてこんもり盛り上がってていい感じ。 「さすがにこんだけ歩くと暑いね」 初デートなのに汗だくで引かれないかな? と思いながら、美穂はハンカチで汗を拭う。 「だね。ちょっと俺にもそれ貸して」「あ、うん」 なんの気なしにタオルハンカチを渡すと、剛はゴシゴシと顔とうなじの汗を拭いはじめた。 (えっ…?) せめて、ぽんぽんと押して拭きとる程度かと思っていたのに。皮脂までたっぷりつくくらい、しっかり拭く。アスリート系なのに自分のタオルとかハンカチ持ってないの? 固まる美穂。 一昨日「結構気温が上がるよ」って言ったはずなのに。服装のことに加えて「ハンカチもタオルも水筒も忘れずにね」って言わないといけなかった? それって、まるで遠足の前日のお母さんみたいでいやだよ。 ハンカチを受け取ると、汗が染み込んだところを内側にして畳む。汗くさっ…。ああ、お気に入りのフェイラーのゴリラ柄ハンカチが…。 「うお〜! 桜、満開じゃん」 頂上近くの、桜が綺麗なエリアまでやってきた。剛はテンション高めだ。でも美穂は、さっきのことでモヤモヤ。心から楽しみきれない。 「美穂、どうした?」「ううん」 帰りは、車で美穂の家まで送ってくれた。そのまま帰すのもそっけないかなと思い「コーヒーでも飲んでく?」と聞いてみた。「お、いいねえ」 うれしそうについてくる剛。 ずっと待ち望んでいたはずの瞬間。それなのに、覆いかぶさる剛の髪から、美穂のカラダに降ってくる男臭の汗が気になる。やっぱり…なんか違うかも。 【三松さんからのコメント】 2023年の流行語トップ10にも選出された「蛙化現象」。 もともとはグリム童話『かえるの王さま』が由来で「好きな相手に好意を向けられた途端、嫌いになってしまう現象」を指します。 一方、Z世代のあいだでは、「好きなはずの相手のイヤな面を見て、急に冷めてしまう現象」として使われているようですね。 蛙化のきっかけは、近づいたときの鼻息の荒さや鼻毛、店員さんへの横柄な態度などとさまざま。鼻息が荒いのはもう、どうしようもないですが。 話を聞いていると、理想高めの人や完璧主義者に起こりやすいようです。 美穂さんも、片思いの期間が3年と長かったので、どうしても剛さんへの期待がふくらんでしまったのではないかなと。 仲が深まるうちに、「もー! ちょっと、やめてよ!」と笑い飛ばせるようになればいいですが。ずっと憧れていた相手だからこそ、初デートではからかいづらかったのかもしれません。 とはいえ、汗がイヤなのは大丈夫か? 夫婦仲相談所に来られる妻の方々から「衛生的にズボラな夫とはまったく合わない」「あの汚さは生理的に無理」という言葉が出ます。今後、結婚するとしたらますますニオイと体液に触れるシーンは増えていく。一生続く結婚生活。そのたびに眉をヒソメていられない。そう考えると、蛙化の直感は正しいのかもしれません。 「ハンカチ王子ではなくハンカチレス汚男子(おダンシ)。衛生概念の温度差は結婚後、冷めるファクターになる! よーく考えてから付き合ってね」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©BullRun/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/544558/ Source: ananweb

  • 2024.01.25

いい彼氏になるのはどんな人…? 最高の恋愛ができる男性の「特徴と見分け方」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、AGA治療のクリニックで働く24歳女性。患者のアラフォー男性から誘われ「想定外」と思っていたものの…。三松先生が、よい恋愛をするために、ルックスより重視すべきことを教えてくれます! ツグミ(24歳)13歳年上頭髪レス男に言い寄られるがアリか? 【レスなひとびと】vol. 229 駅や電車でよく見かけるAGA治療のクリニック。ツグミは新橋のクリニックで受付事務の仕事をしている。患者さんの対応、管理だけでなく、空き時間にはヘアサイクルのイラストを描いたり、毛髪診断士さんと勉強会をしたりと充実の職場。毎日仕事に行くのが楽しくてしょうがない。 患者さんは、たしかに年齢の割に薄い人が多い。元通りの髪型に戻りたいと一生懸命な様子を見ていると、心から応援したくなる。恥ずかしそうに目を合わせぬよう処方箋を受け取るひともいれば「今夜ゴハンどう?」のグイグイ系患者さんもいて、男性観察ができる。学びの多い職場だ。 土曜出勤のシフトで、仕事終わりに銀座でゴハンでもしようかと思っていた日。クリニックを出ると、患者の藤川さんが背後から声をかけてきた。 「あのう、この前、NewJeansが好きって立ち話してるのを聞いたので、よかったらこれ使いませんか。妹が間違えて2つ購入したって…」 手のひらサイズの公式雑貨。「わあ、かわいい。私、どこでそんなこと言ってました?」 「昼休みに、受付カウンターでナースさんと。僕、診察が長引いたんで、待合ロビーにいたんです」 長く通院してる患者さんの嬉しい気遣い。快く受け取った。すると藤川さんは名刺を差し出し、早口で言う。 「もしお茶お付き合いくださるなら、いつでもメールください」 いやあ、ないない。頭頂部のヘアがないアラフォー男性。想定外です。と思いながらも失礼にならぬよう名刺はいただいた。名のあるIT会社だ。カルテ見たら37歳。にしてはツルルン。 ツグミに不運な事件が起きたのはその数日後。マッチングアプリでマッチした男性と初めてのデートの日。そいつが最低ゲス野郎で、食事の後、無理やりツグミとラブホ街を通り、ホテルに連れ込もうとしたのだ。恐怖を味わい、思い切りバッグで殴ってダッシュして逃げた。 自宅付近の駅に着いたのは24時25分。マンションまでの道は徒歩14分。人気がなく薄暗い。怖い。あんなことをされた後の夜道は臆病になる。交番のおまわりさんは外勤なのか、無人…。小さな駅なのでタクシー乗り場はない。思わず名刺を取り出す。藤川さんの携帯番号をプッシュ。遅い時間なのにすぐに出てくれた。 理由を話して、家まで送ってくれないかと頼むツグミ。駅中で待っていると、藤川さんは、タクシーを飛ばして来てくれた。なんだかホッとする。無事家に着いた。 「ありがとうございます。今度お礼にケーキをごちそうします」と思わずお礼を。 ってことで、休日にカフェで藤川さんとお礼のケーキタイム。これがまた、とんでもなく楽しかったのだ。お仕事でAIを使ってることをわかりやすく教えてくれたり、趣味の自転車街巡りの話を聞いたり。NewJeansについてもなんとなく話が合う。 頭頂部のことがまったく気にならなくなった。あまりに、会話が楽しくて、また会いたくなったではないか。髪型はうちのクリニック通院できっとフサフサになるはず。それを待たずに、今のうちに付き合ってみてもいいかも。 脳内で、藤川さんにカツラをかぶせる想像をしてみる。 「アリかも!!!」 思わず叫ぶツグミを、藤川さんが不思議そうに見つめる。どうなる、この恋。 【三松さんからのコメント】 ツグミさん、その恋、アリですよアリ。 NewJeansの立ち話を聞いたときに彼は「チャンス」と思ったんでしょうね。ネットに頼らず、現実世界でツグミさんにアプローチした行動力がすばらしいです。その心意気、評価できます。 リアルガチで告って玉砕するのを避けがちな令和男性。彼は頭頂部コンプレックスがあるので、振られる覚悟で話しかけたはず。恋愛開始は第一印象、見た目に左右されやすいのですが、ルックスより、そのひとの醸し出す雰囲気、受け答えの心地よさを深掘りすると、より上等の恋に発展します。 この恋、進めてみましょう。 「頭髪レスの男性、第一印象にとらわれず、じっくり話してみて。心地よければ付き合ってよし! 今のAGA治療はすごいんだから」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©japolia/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/529230/ Source: ananweb

  • 2024.01.11

「ダメ男確定です…!」付き合いたての彼氏の「非常識すぎる言動」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、おうちデートしかしない彼氏に不満の24歳女性のお悩み。さらに誕生日前に金欠アピールされて…。三松先生が、彼氏の本質をずばりジャッジします! 百々子(24歳)誕生日にまさかのプレゼントレス!? 彼氏の金欠アピールの意味ってなんだ 【レスなひとびと】vol. 228 百々子は仙台の小さな不動産会社で派遣社員として働いている。仕事は17時ぴったりに終わるけど、収入も少なめ。だから、週に2日、20時から24時のあいだ、ガールズバーで副業。 ユキトとの出会いは、1か月前。百々子が勤めるガルバに、お客さんとしてやってきた。ラップみたいなリズムを取りながらユキトが話しかけてくる。 「レ・ン・ラ・ク・サ・キ、お・し・え・て・ベイビ」  ドキュン お砂糖たっぷりミルクティみたいに甘くて、ホッと落ちつくユキトの声。ふざけるとこも好みだ。直球の好み。他のお客さんには「えー! もうちょっと仲良くなってからじゃないと教えない」って返してた。 「お見送りの時に渡します」 小さな声でそう答えた。 「ふーん、本名は百々子っていうんだ。可愛いね」 連絡先を交換してからは新幹線並みに早かった。モーニングコールや、おやすみの通話を数日続けたあと、 「うち遊びに来ない?」と誘われた。 ユキトの家は、百々子の家から高速使って40分くらい。けっこう遠いが胸を高鳴らせて、高速を走った。とびきり甘い音楽をかけて、気分はドラマのヒロインだ。 ユキトの部屋のインテリアはごくシンプル。暖房器具はエアコンしかなくてちょっと寒い。 「ベッドでくっつけばあったかいよ」と手を引かれて。 「ユ、ユキトッ! え、もう? 早くない? まだ出会って2週間だよ」 「こんな可愛い子が、彼女で超うれしい。ねぇ百々子、ダメ?」 耳元で大好きなミルクティーボイスが囁く。細くてサラサラの栗色に染めた前髪にそそられる。つい「ダメじゃないけど」と言ってしまう。会って2週間で一線、越えてしまった。 「別に付き合ってるんだし、何の問題もないよね。大人同士だし」百々子はそう思っていたが。 「今日もうち来ない?」 ユキトから来るのは、家へのお誘いばかり。百々子の家に来たり、どこかにお出かけしたりが全然ない。高速代もバカにならないし、と思って、勇気を出して伝えてみた。 「毎回の高速代が、結構響いてて」 「週に2〜3日うちにいるのに、百々子は家賃とか光熱費、払ってないよね。そのぶんだと思えばよくないか」 「え」 「てゆうか、俺、金欠やばくて。あ、いや、金貸してとは言わないよ。そんなんかっこ悪いから。でも、バイクのローンとか部屋の更新料とか重なって、ほんと金ないんだ」 百々子の誕生日がもうすぐだと、話した矢先のことだった。これって「プレゼントは渡せないから期待しないでね」ってこと? ブランドものが欲しいわけじゃないけど、これまで全くお金をかけてくれないのは寂しかった。「付き合いはじめたばかりだし、気を遣わないでね」って、言うべきか。 【三松さんからのコメント】 百々子さん、もっといい人がいるのではないですか。百々子さんはいわゆるダメンズ引きの性質ですかね。相手の本質を見抜かないと。 「高速代がかかっても、ユキトさんと過ごす時間はプライスレス」そう思って通ってるかもしれません。でも彼のほうはどうでしょう。そこまで大切に思ってくれているのか。百々子さんとの時間に、お金を出そうとはしない。光熱費と高速代を等価と考える。しかも、やることはやる。そして、誕生日の直前にお金ない宣言。 お付き合いして初めての誕生日なのに、彼女に夢を見せてくれないタイプ。金欠なのは、百歩譲ってしょうがない。我が国の平均収入は上がらないのに、物価はどんどん上がってますし。 とは言え、少しでも彼女をお祝いしたい気持ちがあるのなら、「お金はないけど当日は一緒にいたいから、手料理を振舞わせてほしい」など、愛ある言葉を一緒に伝えるべきですよね。 「お金ない」だけ伝えて、相手に「プレゼントはいいよ」と言ってもらうのを期待するなんてダメ男の要素あり。光熱費を要求されるのは時間の問題。せっかくのガルバのバイト代が高速代に、思いやり欠如の男性に消えてしまうなんてもったいない!バイト代で好きな服を買って、別の出会いの場に飛び込んだほうがいいと私はジャッジしました。 「バースデーのプレゼントレス問題。プレゼントってケイト・スペードやサマタバのバッグじゃなくても手料理でもいいよね。そういう思考をもつ彼氏を見つけよう」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©Krakenimages.com/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/521708/ Source: ananweb

  • 2023.12.14

「結婚はないな…」男性が一瞬で冷める「彼女がもっとも言ってはいけない一言」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、「コスパがいい」結婚を望んでいる29歳女性のお悩み。年収900万超の彼氏をゲットしましたが…。三松先生が、カップルのお金のルールについて、すべきこと、してはいけないことを教えてくれます! 結菜(29歳)、稼ぎ力レス。結婚で挽回すれば大丈夫! と思ってた 【レスなひとびと】vol. 225 空港でグランドスタッフとして働く結菜は、年収が入社時から変わらないのが悩み。「日本経済、どうなってんの。ドイツを見習え」とぼやく日々。それでも転職する気が起きないのは、福利厚生がバツグンにいいからだ。海外への飛行機は数万円割引、国内への飛行機はうまくいけば無料で乗れてしまう。旅行好きの結菜には、最高の環境。 しかし、このまま年収がずっと上がらないのはキツい。手取りは20万円いかないから、美容費や服飾費、旅行先でのホテル代や食費にすべて消える。実家暮らしだから、なんとかなっているものの。 将来的にはマンションを持ちたいと思うも、頭金はどうすんだ。 だから、結菜は婚活することにした。稼ぎのいいのパートナーを探せば一発解決。結婚はコスパがいいってネットニュースで読んだ。 パートナーの条件をあれこれ挙げてみる。まずは安定年収。その次に、なんでも結菜に賛同してくれる寛大さ。年は5歳差以内で、身長175センチ以上。 外見はバッチリかわいい結菜。メルカリ達人なので洋服コーデも優秀。コリドー街で、すぐ相手をゲットした。メーカー勤務の遼くんは、話し方が穏やかで年収900万越えの塩顔男性。 3度目のデートで告白されてお付き合い開始。驚きの事実が発覚したのは、クリスマスデート中のこと。赤坂の一軒家フレンチで、将来について夢を語ろうと思った矢先。 「あ、俺、今月カード止まってるんだった。結菜ちゃん、キャッシュある?」 「え、結菜6000円しか持ってないよ」 「大丈夫、そしたらギリ足りるかな。LINEペイは?」 今まで全部ごちそうしてくれてたのに、彼女になったとたん、お金とるの? っていうか、カード止まってるってどういうこと? 「遼くん、ちょっとクレカの明細見せて」 「え〜! 恥ずかしいなあ。まあ、別にいいか」 真っ白なクロスのかかったテーブルで、遼のスマホを凝視。履歴に、怪しいものはない。 でも、とにかく飲み代が多い。タクシー代も。手取りは70万円超えらしいけど、カードの請求額は50万円超え。家賃は20万円だって言ってた。もしかして、貯金全然ないんじゃない? バルのあとは、ふたりで遼の家へ。酔っ払った遼は「結菜ちゃん、かわいい」とおしりをモミモミ、顎クイしてチュッ。結菜は全然そんな気持ちになれない。 だって、リッツで結婚式挙げたいし、マイホームは品川あたりに欲しい。海外旅行にだって行きたいもん。子どもにだって、いい教育を受けさせたい。それなのに、全然貯金がないなんて。 「ねえ、遼くん。さっきの話なんだけど」 「ん?」 「遼くんって、貯金とかしてる? 結菜、心配になっちゃって」 「…心配ってなに?」 「だってこれから結婚したら、いろいろお金、必要になるでしょ」 「そんないるもんか? 結菜も全然貯金ないって言ってたよね」 「だって結菜は、手取り少ないもん」上目遣いに甘えて言った。 「え。俺の貯金頼みってこと?」 離れる手。冷めた顔。ああ、可愛く言えばなんでも許されるって思ってたのに! 【三松さんからのコメント】 結菜さん、お金目当ての本心を出しすぎましたね。モテそうな彼をゲットしておきながら、とにかく気にするのは資金のことばかり。せっかくのクリスマスデートで「貯金してる?」は、もっとも言ってはいけないワードです。彼も萎えてしまうでしょう。 結菜さんが、節約したり、少なくても貯金ができるタイプならわかります。でも、実際は稼ぎが少ないのを理由に貯金ゼロ。人のお金の使い方を指摘する前に、自分のお金の使い方を見直してからモノを言え。支出を減らせないのなら、収入を増やす努力をするのが賢い女性。副業を考えるとかね。 旅行が大好きでリーズナブルに行けるなら、旅の様子をブログにしてアップしてフォロワーを増やすとか、今風の稼ぎ方はいくらでもある。 都内の平均住宅価格を知っていますか? 彼の年収が1000万円あったとしても、結菜さんもがんばらないとキツいのです。彼も努力ナシで今の年収のわけじゃない。付き合いたての状態で、彼のお金を自由に使う権利はありません。彼の立場に立って考えてみて。 「稼ぎ力レスは、しょうがないとあきらめないこと。努力はしてみよう! レスな分を彼に出してもらおうとするマインドは、いつかばれて愛にヒビが入ります」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©buritora/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/521662/ Source: ananweb

  • 2023.11.16

「上京する彼にフラれました…」恋も機会も逃す「残念な女性の習慣」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、東京に憧れている地方在住の女性のお悩み。いい感じだった彼が上京にすることになり…。三松先生が、「人生の決断をするために必要なこと」を教えてくれます! リホ(26歳)、決断力レス。上京した子がうらやましいのに真似できないよ 【レスなひとびと】vol. 223 ずっと、決められたレールの上を歩いてきた。高校はリホの住むT県T市から通える範囲で、県で3番目に偏差値の高い学校。大学は、親と高校の先生に勧められた地元国立大学。 とくにやりたいことがなかったから、親戚に言われるままに公務員試験を受けた。受かった。一応けじめとして一人暮らしを始めたけれど、社会人になっても生活圏は大きく変わらない。 違和感を覚えたのは、就職して2か月目頃。 「村越さん、パソコンがいうこと聞かんのよ。こっち来られま」 「あ、はい!」 「村越さ〜ん。こっちもエクセルの印刷範囲の設定がうまくいかんが〜」 「あ、はい、次そちらに行きます」 連日、役所のおじさんたちにPCのレクチャーを依頼され、リホはだんだん腹が立ってきた。PC周りの仕事を振られるたびにイライラしてしまう。こっちは情シスの人じゃないっつーの! パッとしない毎日。つまらない毎日。 そして、帰り道の車で信号待ちをしている時、ふと思ったのだ。“わたし、ずっとこんなふうに欠乏感をかかえたまま生きていくのかな”そしてSNSを眺める時間が増えた。就職を機に上京した子たちが、今になってうらやましくなる。 就職活動の時、キラキラ目を輝かせて「あたし、絶対東京に住む。丸の内のオフィスで働きたいの」と言っていた同じゼミの奈々。リホは、内心「アホくさ」と思っていた。 でも、今は違う。八重洲ミッドタウンとか虎ノ門ヒルズとか、おしゃれな場所で、同僚たちと時間を過ごす奈々がうらやましい。週末は表参道の美容院。常連らしく、カリスマ美容師のインスタのストーリーに「いつもありがとうございます」と添えられた彼女の後ろ姿が載っている。なにそれ、なにそれ。そんなモデルみたいな髪型してもあんたには似合わんわ。都会派アピールしやがって…。つい意地悪な気持ちになる。 “わたしだって、しようと思えば上京なんてすぐできる”そう思っていたのに。 そんなリホにも、転機が訪れた。ほんのちょっといい感じだった同僚の直樹が、転職で東京に行くらしいのだ。 (あっ、これってチャンスや。上京する理由ができる) そう思ったリホは、直樹を飲みに誘った。駅前の個室居酒屋で、頬杖をついてこぼす。 「いいなあ、東京。ついて行きたいわあ」 直樹はうっすら、リホに好意がありそうだった。だから、この話をすれば、冗談でも「一緒に来る?」って言ってくれるんじゃないかって期待した。でも、帰ってきたのは予想外の言葉だった。 「毎回言ってるよね、それ。リホはまじめちゃんだし、ちょっといいなと思ってた時期はあるけど、言うだけでなかなか踏み出さないところはあんま好きじゃない」 グサッ。 こうして、直樹は一人で東京へ行ってしまった。 【三松さんからのコメント】 リホさん、自分一人でなにか決めた経験が少ないんだからこれはしょうがない展開です。決められたレールの上を歩いて、今までは特に不満もなかった。でも、今は違いますよね。「いいな、東京」って、明確に憧れをもっている。現状に苛立っている。物足りなさを感じている。 人生初の大きな決断をするチャンスではないですか。 親や先生が決めてくれた道から外れるのには、勇気がいるかもしれません。憧れを通り越して、飢餓感を感じたり、他者の幸せを妬む自分に気づいたら、動いてみるのも選択肢のひとつ。 シン仕事・シン住まい・シン彼氏。 新しい“シン”を取りに行くのは自分しかいない。 「都会、つらい。やっぱ地元でいいや」と思うかもしれない。そしたら地元のよさがわかるっしょ。 今までコツコツ堅実にやってきたリホさんなら“シン”の決断も悪くない。直樹さんに頼ることなく、自分の憧れを探ってみてもいいのではと思います。思い切った決断こそが、リホさんオリジナルの人生をつくっていくのです。もしそれが理想どおりでなければ「想定外でした!」と言って軌道修正すればいいだけの話。 「彼氏に頼ったり決断させたりする癖は修正しとこう。うまくいかなかったときに彼のせいにして関係性ムチャムチャになるぞ」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©czfphoto/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/517185/ Source: ananweb

  • 2023.10.19

「やっぱり俺には無理…!」あっという間にフラれた女性の「最悪な生活マナー」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、シェアハウスに入居している21歳女性。シェア仲間と公認カップルになったが…。三松先生が、シェアハウス内での恋愛で気をつけるべきことを教えてくれます! 花梨(21歳)、シェアハウスに入居して絶好調! だが気遣いレスで最悪女のレッテル貼られる 【レスなひとびと】vol. 220 花梨は、メイク動画配信をしている。10万円台の月収から、コスメ代も捻出するのは結構キツイ。しかもそろそろ、今のボロアパートは取り壊し。 初期費用の安い引っ越し先として、花梨にピッタリなのがシェアハウスだった。4.5畳の個室はむっちゃ狭いけれど、キッチンやリビング、映画鑑賞部屋やテラスなど、共有スペースが広いので全く問題ないし。 引っ越しを機に自室で撮った「絶対かわちい おうちデート用すっぴん風メイク&部屋着」は、なんと初の7万回再生超え。ふんわり眉に、赤ちゃんみたいなぷるぷるリップ、ゆるポニーテールに、ショートパンツの部屋着がXでもバズった。いい調子。 ある晩、リビングで動画を編集していたら、シェア仲間で一番いいなと思っていた悠斗くんとふたりきりに。「花梨ちゃん、いつも遅くまでがんばってるよね」って、ホットココアを作ってくれて、キュン。勇気出して「彼女いるん?」って聞いたら、「いない」って。 「…彼氏に立候補してもいいですか」に「うん!」とうなずいたら、頭の後ろに手を回されて、チュッ。誰もいないリビングで、ふたりだけのヒミツの夜。ドラマっぽすぎるじゃないか。そしてシェア仲間公認の仲に発展した。 「ねぇ、悠斗くん。動画も人気が出てきたし、ちょっと手を広げたいなって思って。カップル動画を撮るのって、どう思う?」 「いいけど。でも、他の入居者たちに迷惑かけないようにしないとだよ」 「大丈夫だよ。みんなも、花梨たちのこと見て、結構楽しんでるし」 花梨は「昼間ならいいっしょ」と言って、共有のキッチンで、ふたりが料理している様子を撮り始めた。料理の合間にチュしたりする、イチャイチャ系動画。その間、他の人たちは遠慮して入ってこない。 そんなことが何日か続き、周りがザワツキ始める。なにも気に留めないKYな花梨にしびれをきらした悠斗が言う。 「ちょっと、まわりに気を遣わなすぎじゃない?」「なんで? 悠斗は、花梨が人気配信者になるのがイヤなの?」「いや、そうじゃなくて。みんな困ってるから」「なんも言ってこないけど?」 「……」 悠斗はため息をつき、自室に戻っていった。花梨がノックしても、まったく返事をしてくれない。その後の動画も協力してくれないし。 共有のリビングで、悠斗をやっと見つけた花梨は「ちょっと悠斗! あんた、なんなの。動画協力する約束っしょ」と叫ぶ。すると、リビングでPC作業していた同居人たちが、ついに口を開いた。 「ちょっと静かにして」「っていうか、いい加減に迷惑だよ」「あんた、シェア向いてない!」と不満が大爆発。 挙句の果てに、悠斗がポロッと「別れよ。君みたいな無神経なひととはやっていけない」って。普通、みんなの前でフルか!?プライドズタズタだし、みんなも怒ってる。この先ここで暮らすのは気まずい。でも、お金ないし、どうしよう。 【三松さんからのコメント】 シェアハウス内での恋愛、最近増えてきていると聞いています。20代前半の男女が多いシェアハウス内では、メンバーのうち3分の1がカップルだというケースもあるそうで。一つ屋根の下で暮らす。長―い合宿みたいなものですよ。 恋も喧嘩も陰口もいろいろ起きることでしょう。確かに彼を探す“場”としてはアリアリな住み家です。家事できるひとかどうかチェックもできるしね! 部屋片付いてるなとか、手料理まめに作ってるなとか。 しかし大事なことを忘れてはいけません。共同の場では、相手の気持ちや、まわりへの配慮。 シェアハウスに入居してくる人の目的は人それぞれ。花梨さんのように、初期費用の安さから選ぶ人もいるし、人脈作りのために入居する人もいる。ひとり暮らしの寂しさが苦手で常に誰かといたい人もいる。夢を叶えることが第一優先で、恋愛をしたがらない人だっている。各自の背景を想像したり、空気を読むことが必要です。シェアハウスはみんなの生活の場。花梨さんのように、自分の目的だけのために共有部を占有する人は、疎まれて当然。カップル動画を撮りたいのならば、まずはお金を貯めて、悠斗くんと同棲を目指せ。 波に乗っている動画配信業をもっと盛り上げていきたいでしょうが、配信者として有名になるほど、気遣いレスなところが浮き彫りになってきます。人気と無視は紙一重。驕り高ぶるな。現実でもネット界でも炎上を避けるべく、まずはまわりに気を遣える訓練を。世界は自分中心に回っているのではないと腹に据えて。 「シェアハウスの公共の場でエッチっぽいことしちゃって 追い出された住人がいるんだって! 気遣いレスどころかマナーレス。追い出されて当然。気をつけようシェア!」   三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©taka/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/511390/ Source: ananweb

  • 2023.09.28

「彼氏いるって言ったのに…」女性をドン引きさせた「遊びで誘う不倫男性の特徴」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、人づきあいがよく家族思い、職場の女性にも人気の32歳男性。会社での評判とは裏腹に、飲み会で女性に甘い言葉をかけられて浮気心が抑えられず…。三松先生が、調子に乗って不倫に走りがちな男性の特徴を教えてくれます! 琥太郎(32歳)“昔好きだった発言”に調子こいて人気レスになってしまう 【レスなひとびと】vol. 218 東京・大手町界隈のおしゃれ飲み屋には活気が戻り、社内飲みも復活したこの頃。 「将来結婚するなら琥太郎さんみたいな人がいいですうう」 社内の飲み会で、若手女性陣から口をそろえてそう言われるたび、つくづくこのキャラでいて正解だったと思う。仕事ができて、人付き合いばつぐん。しかも家族を大事にするやつ。 琥太郎には、妻と1歳の子どもがいる。出版社で働く妻は、時期によっては琥太郎より忙しい。保育園のお迎えや夕食作りは琥太郎が担当することも多かった。仕事と家事の両立ができる完成形パパという噂だ。 ある晩、学生時代の友人、エレナからビアガーデンの誘いが来た。デパートの屋上で、涼しい風を浴びながらの1杯を想像する。 家族以外と遊びに行くことのなかった夏を思い返し、「行く」と返事した。もちろん妻にも許可をとった。 ビアメンバーは琥太郎、エレナ、尚美、真斗の4人。琥太郎が学生時代にバイトしていたチェーン店のカフェの同世代メンバーだ。当時からよく一緒に海やスノボに行き、今でも時々こうして集まっている。 尚美と真斗がトイレに立ったタイミングで、エレナがボソッとつぶやく。 「あたしね、実は昔、コタくんのことちょっといいと思ってたんだよね。まっ、昔の話なんだけどね!」 来たー。“昔好きだった発言”。琥太郎はドキッ。妻のことは誰より大切だ。でも、出産後から今まで、約2年間のレス。 でも、目の前のエレナは、自分のことを男として見てくれてるじゃないか。久々の雄魂が震えだす。 “エレナには彼氏がいるみたいだけど、もしかしたら、もしかしちゃうかも”外で飲んで、開放的な気分になっているせいか、エロい妄想がムクムク。 帰り道、またまたふたりになったエレナを誘ってみた。 「え、2軒目ってこと? いいけど。コタくんのパートナーに怒られないかな」 「今日は遅くなるってしっかり伝えたから」 「実はあたしも、飲み足りなかったからうれしい。行っちゃおっか」 にっこり笑ってOK。琥太郎、ガッツポーズ。 2軒目の店で、「コタくん、ほんとかっこよくなったよね。余裕が出たっていうかさ。大人になってる」のセリフまで引き出せた。これはイケる。そう確信して、帰り道に本気のお誘い。 「ねえ、あそこ寄ってかない?」 琥太郎が指さしたのは、スタイリッシュ系ラブホテル。ビアガーデンが池袋でよかったあ。 すると、エレナ、「え…」とマジで引いてるリアクション。 「あたし、彼氏いるって言ったよね? コタくんだけは、そういうんじゃないと思ってたのに」と、軽蔑マックスの怒り顔。 「い、いや、冗談だよ」と返すもののエレナは呆れ返ったまま。 「昔いいと思ってたんだよね」は「してもいいよ」のサインじゃなかったのか!? 残念な勘違い男、きっとエレナにまずい噂を流されて、評価がダダ下がりになる。 【三松さんからのコメント】 メンズの家族思いな様子や、パートナーができて余裕のある姿は、時に魅力的に映るもの。そりゃコタくん、職場女性に人気出ますよ。 しかしエレナさんの“昔好きだった発言”で、ちゃっかりその気になったコタくん。職場女性から“先輩みたいなひとが彼氏だったらな”とトロンとした眼で告げられてもイッてしまうのではないか?? つまり、スキがありすぎる。自分に自信もありすぎる。 「エレナさんはコタくんの近況を知って、素直にかっこいいと思ったところもあるでしょう。ただエレナさんには彼氏がいて、特にコタくんとどうこうなりたいとは思っていない」ということを見極めなければだめ。ひとの彼女を取っちゃだめです。しかも家には妻もいるのに。 今回のコタくんは男性ですが、この逆パターンもけっこうお話聞いてます。彼女がいる男性から甘い言葉をかけられて勘違いした結果、ビッチ枠に入れられてしまう彼氏いる女性。 既婚者の皆さん、彼氏彼女がいる皆さん、社内で人気モンだからと調子に乗りすぎてはいけません。 「“昔好きだった発言”は、今でもしたいというわけではない。ひとの気持ちを汲み取ったリアクションを」      三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©Полина Власова/Adobe Stock 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/505913/ Source: ananweb

  • 2023.09.14

「大反省してます…!」好きな彼をドン引きさせた「23歳女性の“恥ずかしすぎる大失態”」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、学生時代の仲間と一泊二日のぶどう狩りに行った23歳女性。そのなかに意中の彼もいたのだが…。三松先生が、恋が長続きする女性の特徴を教えてくれます! 美咲(23歳)、待ちに待った彼とのぶどう狩り。でも、虫対策レスで楽しめない休日になったよ 【レスなひとびと】vol. 216 待ちに待った、学生時代の仲良しメンバーでの一泊二日のぶどう狩り。男女3人ずつ、計6人のメンバーの中には、美咲が思いを寄せる大輝もいる。この旅行で、絶対、大輝に振り向いてもらう。そう念じて、レンタカーの車内では、無事に大輝の隣をゲット。 「あ、ごめんっ」 山道のカーブ、不可抗力でカラダが横に倒れて、隣の大輝と密着。 「いいって。揺れるけど、酔ってない? 大丈夫か」 そっと耳元で聞いてくれる大輝にますますキュン。 美咲は、よくまわりから脚をほめられる。「細白(ホソシロ)――。膝丸(ひざまる)――」って感じで。だから今日も、デニムのミニスカートに白いコットンブラウスだ。 知子と果穂は、ワイドパンツとサロペットと、かなりゆるい服選び。3人の中だと一番美咲がガーリーでキュート。「よし、差をつけたな」と思っていたんだけど。 (えっ、こんな格好してるのって私だけ!?) 農園に着くなり、まわりの女性たちとの服装のギャップが気になりはじめた。みんな長ズボン、長袖シャツ。アームカバーをつけているひともいる。 ひとまず受付を済ませて、みんなで農園に入るけれど。 (ぷ〜ん) もう秋だから、と思って虫除けスプレー持ってこなかったけど。虫いるじゃないか! ノーガードの美咲のホソシロ脚には、すでに虫刺されがポツポツ。自慢の脚がちょっと見られたくないぶさいくな状態に。 (か、か、かゆい) そう思いながらも、ぼりぼり掻くのはみっともない気がして、ガマン。すると、大輝がこっちにやってきた。 「美咲、ぶどうに手、届いてんの?」 「えっ、なにそれ〜! さすがに届くよ」 「だってほら、まだ一房もとってきてないからさ」 「あ、う、うん」 痒くてそれどころではないんだが。 「ほら、あそこのやつとか、熟しててうまそうじゃない? 俺が房持ってるから、美咲、切ってよ」 「うん」 やっぱり、大輝ってやさしいな。美咲は、大輝との共同作業に胸を高鳴らせる。でもそのとき、脚にまた蚊が止まってる気が。 「あ、ちょっと待って」 急いで太ももを手でパチパチ払って、視線をぶどうに戻す。そうしたら、向こうから知子と果穂がやってきた。 「美咲、そのカッコだと虫刺されやばくない? スプレー貸したげる」 「白ブラウスも汚れちゃいそうで心配だよ。なんで今日その服なん?」 大輝の前でそんなこと言わなくても。無知なやつだと思われるじゃない。知子と果穂は、美咲の純な想いを知らないし、しょうがないといえばしょうがないんだけど。大輝が、美咲の脚に目をやって。 「えっ、めっちゃ刺されてるじゃん。まずいよ。この脚」 と心配そう。っていうか、ちょっと引いてる…。いつのまにか、ぶどうからも手が離れてしまっている。 ああ、こんなことなら、知子や果穂みたいなガード万全の格好でくるべきだった。狙いすぎた自分を大反省。 【三松さんからのコメント】 せっかくの好きな人とのおでかけ、気合を入れたくなる気持ちはわかるわかる。でも、18歳過ぎたなら目的に応じた応じた“TPO”というのを意識しないと恥ずかしいです。まわりに気を遣わせてしまうし、自分も思いっきり楽しめないでしょう。そしてなにより狙った彼に「適切な衣服を選べない残念なひと」と思われて、幻滅されたらもったいない。 美咲さん、ふだんからガーリーなファッションが多めなのでしょう。もしそうだとしたら、アウトドアシーンでのカジュアルファッションは、逆にアリだったかも。「こんな格好もするんだ」と、きっといい意味でのギャップ萌えにつながります。 もし一泊二日ならば、部屋着をヘルシーなショートパンツにするなど、ホソシロ脚をアピールするシーンは他にもありそうですし。以前、日焼け止め忘れてひどい日焼けになり、痛みでエッチ中断した女性の話を紹介しましたが、恋の成就に「備えあれば憂いなし」ということわざは活きてきます。 みんなで旅行をするときは、日焼け止め・虫除けスプレー、ウエットティッシュなどあらゆる予防線を貼るべし。さらに、予備の薬や、マスクなどプラスαを忍ばせておくと、自分も安心。友達助けもできる。手が汚れたときに、さりげなくウエットティッシュを差し出されたら。性別問わず、やられてイヤな人はいません。 つい、ファッションや髪型、肌の手入れなど見た目の美しさを優先しがちですが、内面のやさしさを見つめてくれるひとを彼にすると、その恋、長続きします。 「レスなひとびとに告ぐ。備えあれば憂いなし。起こりうる複数のアクシデントに向けて予防策を準備せよ。例:今日のデートで初裸になると予測したらムダ毛処理して、予備パンツをバッグに入れとくみたいな」      三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©bymuratdeniz/Gettyimages 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/503531/ Source: ananweb

  • 2023.08.24

「気になる彼にドン引きされました…」30代女性がデートで言ってはいけない「NGワード」 – 文・三松真由美 | ananweb – マガジンハウス

現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、32歳で初めて合コンに参加したという女性。そこで、27歳の年下男性といい雰囲気になったが…。三松先生が、男性がドン引きする「女性の言葉」を教えてくれます! 真帆(32歳)自信レスで「自称おばさん発言」がやめられない! 【レスなひとびと】vol. 214 32歳になって、はじめての合コン。しかも相手はオール年下らしい。正直、20代男性なんて…「おばさん」って思われそうじゃないか。真帆はびびっていた。 でも、合コンは盛り上がり、27歳の郁人くんはぐいぐい来た。合コン終わってすぐ「真帆さん、また会いたいです」ってニッコリ。真帆はどちらかといえば年上好き。でも、こんなにストレートに好意を示してくれるって、うれしい。キュンとはこういう感覚なのか? 好奇心も混じり、デートに行くことに。 お互い人材系の会社で働いているところまでは合コンで紹介済み。ゆっくり話してみると、ちょうど同じ資格試験の勉強中。どうやって勉強時間を作っているかとか、わかりやすかった動画や参考書とか、シェアして盛り上がる。ふたりとも日本酒好きで詳しくて、お酒の銘柄やお店の話も楽しくてしょうがない。 なんか、意外といい感じかも。そう思った真帆だったが、いかんせん自信がない。ひとりになると急に、「遊ばれてるだけなのでは?」と不安になる。だって、郁人くんはかっこいいし、仕事もがんばってるし、なにより若いしーーー。 そのうえ大企業勤めだし、職場には同い歳のかわいい子がいっぱいいるんだろうなとアレヤコレヤ邪念が。金曜日の夜、つい郁人くんからの返信がないから送ってしまった。「後輩女子と華金? おばさん、嫉妬しちゃうな〜」って。「遊んでない、仕事だよ!」って返ってきたけど、わかんないよね。 2回目のデートでバーに行ったあと、ホテルに行く流れになった。もちろん、郁人くんとはくっつきたい。 でも、2回目でホテルって、やっぱり遊ばれてるに違いない。年上だから、チョロいって思われてるんじゃないか。また邪念がムクムク。 シャワーを浴びて、タオルを巻いた姿で出てきた郁人くんの上半身は、鍛えられてて、今風マッスル。Tarzanとか読んで鍛えたに違いない。 褒めると「1年前からジム行き始めたんだよね」とうれしそう。引き締まった若々しいカラダを見て、真帆の不安はさらに増幅。 勇気を出して、真帆も脱いでみたけれど。「やっぱ若い子と比べたら、肌にハリがないよね」「いや、30代になってから急にむくみがひどくなって」「背中とかソバカスあるしさ」と自虐が止まらない。 「真帆さん、きれいだよ」と郁人くんは言ってくれるけど。どうしても「だってやっぱり、郁人くんに比べたらおばさんだし」と返してしまう。何度目かのやりとりのあと、郁人くんがついに言った。「おれ、真帆さんのこと、すごくいいと思ってきたのに、そんなふうに言われると萎えるわああ」って。 郁人くんは服を着始めてしまう。 「また時間がある時飲もうね」って、ホテル代を置いて出て行ってしまった。ただの飲み相手に位置付けされた。 “おばさんだから、萎えたんだろうな。一生彼氏なんかできないよ。わたし” 【三松さんからのコメント】 真帆さん、それ、年齢のせいじゃありません。自信レスなのを年齢のせいにしているだけ。ひとは、自信がない部分について、つい言い訳をしてしまうもの。「頭悪いのは親に似た」「ブサイクに生まれたのは運命」「妹のほうがかわいい」などなど。 内心は自信レスの事象を「そんなことないよ。全部好きだよ」って、まるごと受け止めてほしい。だからあえて先に自虐に走って、それを相手に否定してもらいたいという回路。 そんな、はかない思いで自虐が止まらないのかもしれません。かわいい面もあるのですが、それって何度も続くとただのめんどくさい女。何度も繰り返すうちに、もともとよかったはずの印象が、自虐のイメージで塗り替えられてしまいます。ああ、もったいない。 「おばさんだよ」「かわいくないよ」「スタイル悪いし」などの言葉は、使い過ぎに気をつけて。しかも同じ年齢の同性の前でそれ言うと、彼女もまた「おばさん区分」に入れられてるって、いい気分じゃなくなる。傷つきたくないし、防御線を張りたくなる気持ちはわかりますが、せっかくのチャンスを、自虐連射で逃してしまうのは不正解。 真帆さんは資格試験の勉強をしていたり、日本酒に詳しかったりで、彼の目には一生懸命で話が合う女性に映っていたはず。もっと一緒にいたいなと思われたから誘われたんです。 「このひと、いいかも」と思ったら、傷つく覚悟も必要です。自虐は卒業して、自分磨きをしていけば、どっちに転んだとしてもプラスです。 「口にする言葉って大事です。そっちに意識が傾くからね。呪いの言葉を口にすると怖~い顔になる。性格も悪くなるぞ。呪うな。自分を貶めるな。負けの言葉を口癖にするな」      三松 真由美 恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。 ©Wavebreakmedia/Gettyimages 文・三松真由美 https://ananweb.jp/column/lessbito/502124/ Source: ananweb