兵藤育子

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  • 2023.09.05

大人の発達障害についてポジティブに考えるきっかけに! 町田粥の初コミックエッセイ | ananweb – マガジンハウス

最近よく耳にするようになった、「発達障害」という言葉。町田粥さんの初コミックエッセイ『発達障害なわたしたち』は、当事者による当事者へのインタビューがベースになっていて、そもそも発達障害とは何なのか、日常でどんなことに困っているのかを明るく解読している。インタビュアーは限りなく本人に近いキャラクター、マンガ家のM(エム)ちださんと担当編集のK成(ケーなり)さん。ふたりは同時期に発達障害の特性のひとつ、軽度のADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けている。 当事者もそうでない人も、大人の発達障害について明るく語ろう。 「自分が発達障害だと言われたら、いろんなリアクションがあると思うのですが、私はショックや動揺ではなく『面白い!』と思ったんですよね。劣等感に繋がっていた部分を説明できるようになって救われもしたので、そういう気持ちになれる人はほかにもいるはずだと思いました」 ふたりの事例から始まり、登場するゲストはMちださんの妹、ADHD寄りのASD(自閉スペクトラム症)の特性のあるマンガ家のカメントツさん、性別で見ると圧倒的に少ないASD傾向の女性など。 「子どもの頃からの困り事を軸に、解決するためにどんな動きをして、今どうやって過ごしているのか、それぞれ順を追ってお聞きしました。カメントツ先生の“辛い人は『辛い』って言っていいし、辛くない人は『辛くない』って言っていい”という言葉が印象的で、たしかに大変かどうかは周りが決めることではない。その人と向き合った聞き方をしなければいけないと感じました」 発達障害の特性のある人たちが、日々の困り事を減らすために欠かせないのが、家族や職場など周りの人たちの理解やちょっとした配慮であることも、本作は教えてくれる。たとえば衝動の強い人は、いわゆる失言や余計なことをしてしまいがちなのだが、本人に悪気がないことを知っておくだけで、受け取り方が変わってくるだろう。得手不得手の差が激しいという傾向も、周囲の理解さえあれば、組織内で大きな力を発揮することにも繋がっていく。 「正しい知識がないと、当事者にどう接したらいいかわからないと思うのですが、ネットの情報は結構偏っていたりすることも監修の先生への取材を通して知りました。なので間違った知識や偏見を、丁寧につぶしていくつもりで描いています」 連載中から本作への反響は大きく、このテーマへの関心の高さや、他人事ではない感じもうかがえる。 「2巻以降、お話を聞きたい人がすでに何人かいて、『実は私も…』という声も多くいただいています。そういった繋がりから、さらに話が広がっていくかもしれないですね」 『発達障害なわたしたち』1 軽度のADHDと診断されたマンガ家と担当編集者が、さまざまな症状の当事者にインタビュー。発達障害について、ポジティブに考えるきっかけになる一冊。祥伝社 1034円。©町田粥/祥伝社フィールコミックス まちだ・かゆ マンガ家。『マキとマミ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~』でデビュー。著作に男のみの歌劇団を描いた『吉祥寺少年歌劇』など。 ※『anan』2023年9月6日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/502897/ Source: ananweb

  • 2023.07.14

取るに足らない会話に思わずくすっ! 男子高校生たちのゆる~い日常を描いたコミック | ananweb – マガジンハウス

簡潔に言うと、『サラウンド』は3人の男子高校生の日常を描いたマンガなのだが、最新刊の3巻まで読むと、飽きるどころか、3人への愛着が深まっていることに気づくだろう。 いつまでも眺めていたくなる、男子高校生のゆるくて眩しい日常。 初連載である本作が形になるまでの経緯を、著者の紺津名子さんは次のように語る。 「デビュー後、何を描けばよいかわからず、悩んでいた時期が長かったんです。いろんなマンガ家さんに相談して、好きなことを気軽に描いてみたらとアドバイスをいただき、ツイッターで2~3ページの短いマンガを発表するようになりました」 筆が乗らなかった理由は、風変わりな設定や仕掛けなど何かしら強いフックが必要だと思っていたから。 「だけど私が描きたかったのは普通の人たちで、日常系のマンガだったんですよね。ツイッターではいろんなキャラクターを思いつくままに描いていたのですが、『サラウンド』に登場する3人のうち、最初に描いたのが戸田でした。初っ端からふざけていたので、ユーモアを大切にする人っていうのはそのとき決まった感じで。山口は当初ダウナー系男子のつもりで描いたのですが、今では一番ピュアになってます(笑)。田島は飄々とした戸田と仲良くなれるのってどんな人だろうと考えて、出てきたキャラ。行動力のある田島のおかげで、私も助かっています」 性格も成績も家庭環境も異なる3人は、何となく気が合って、教室やファミレスでいつもダラダラしゃべっている。会話の内容はゲームやバイト、ときに下ネタなど取るに足らないことばかりなのだが、男子高校生らしく能天気でバカっぽくて(もちろんほめ言葉!)、隣でこっそり聞いているようなおかしみが。 「今を生きるリアルな高校生を描こうとは思っていなくて、でも感情の部分はリアルにする必要があるというか、作り手のご都合主義になってはいけない。こういう人がいたらいいな、こういうやり取りがあったらいいなと思えるのがマンガの楽しさだと思っているので、パラレルの世界のどこかで彼らが生活していたらいいなと思いながら描いてます」 3巻では、田島に戸田が勉強を教えたり、山口がバイトを探し始めたり。そしてついに恋の予感も……。 「『サラウンド』というタイトルは、3人を取り巻くものというイメージで、日常の言い換えとしてつけました。個々のエピソードに寄りつつも、3人でいることの魅力を丁寧に描いていきたいので、見守っていただければ嬉しいです」 紺 津名子『サラウンド』3 女子と話すのが苦手な山口、冷静沈着で独自の世界観を持つ戸田、社交的で友達の多い田島。仲良し男子高校生3人のゆるやかな日々と、小さな変化を描く。リイド社 880円  ©紺津名子/リイド社 こん・つなこ マンガ家。2014年、講談社『ITAN』でデビュー。青年誌などで読み切りを発表。本作は「トーチweb」で連載中。Twitterは@kontsunako ※『anan』2023年7月19日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/495290/ Source: ananweb