志村昌美

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  • 2024.05.23

「事態はあらゆるレベルで悪化している」フランスの気鋭監督が映し出したパリの知られざる真実 | ananweb – マガジンハウス

この夏さらなる盛り上がりが期待される都市である、パリ。日本でも人気の高い観光地ですが、そんななかでご紹介するのは、見たこともないパリの姿を映し出している話題作です。 『バティモン5 望まれざる者』 【映画、ときどき私】 vol. 645 パリ郊外にあるのは、「排除された者たちの地帯」という語源を持つ「バンリュー」と呼ばれる地区。ここにはいくつもの団地が立ち並び、労働者階級の移民家族たちが多く暮らしている。その一画にあたるバティモン5では再開発のために老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められていた。 そんななか、臨時市長となったピエールは、バティモン5の復興と治安を改善する政策の強行を決意。しかし、横暴なやり方は住民たちの反発を買ってしまう。そして、移民のケアスタッフとして長年働いているアビーたちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけに衝突。やがて激しい抗争へと発展していくことに…。 日本では知ることのできないパリの“暗部”を垣間見ることができる本作。今回は、ananwebに4年振りの登場となるこちらの方に、その裏側についてうかがってきました。 ラジ・リ監督 2019年に発表された長編映画監督デビュー作『レ・ミゼラブル』で主要な映画祭の賞レースを席巻し、世界にその名を知らしめたラジ・リ監督。前作と同じ製作スタッフが再び集結し、本作でも貧困地域が抱える問題に真正面から切り込んでいます。そこで、現地での反響や自身が感じている使命、そして日本に対する印象などについて語っていただきました。 ―パリに対して華やかなイメージを持っている日本人にとっては、前作同様に衝撃を受ける作品ですが、フランスの観客からはどのような反応がありましたか? 監督 普段からフランスのメディアがこういった事実を見せることはないので、現実とのギャップに多くの方が驚いていたようです。そもそもパリに「バンリュー」のような場所があることを知らない人すらいるくらいですから。 そういったこともあって、僕の作品を通して何が起こっているのかを目の当たりにした方が多かったようです。フランスといえば、人権を掲げ、啓蒙思想が浸透している理性的な国というイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。だからこそ、僕の使命はいままで語られることのなかったフランスの真実をみなさんに示すことだと考えています。 圧力に近いような動きを感じることもあった ―『レ・ミゼラブル』が公開されたときは、作品を観たエマニュエル・マクロン大統領が閣僚たちに指示を出したという動きもあったと言われていますが、本作も改善に向けて政府が動き出すきっかけになったこともありましたか? 監督 本作で扱っているのは劣悪な住宅問題についてですが、政治家たちが隠したいと思っているようなことがテーマとなっています。そういったこともあって、改善どころかなるべく人々に見せたくないというような圧力に近い動きを感じました。とはいえ、これはもはや隠し切れないほど大きな問題になっています。実際、フランスでは500万人ほどの人が劣悪な住環境に暮らしているような状況ですから…。 そんななか、貧困地区を再開発し、中流階級の人たちを呼び込んで街のイメージを刷新させようとする動きが出てきています。ただ、そうすると結局そこに暮らしていた人たちが排除されてしまうため、新たな問題が起きるのではないかなと。特にいまは世界的スポーツイベントを控えているので、政府としてはあまりこの問題にフォーカスされたくないという意図があるのだと思います。 ―つまり、盛り上がりを見せるいっぽうで、貧困地域との差がより大きくなってきているということでしょうか。 監督 それは間違いなくありますね。大規模な再開発計画が進められたので、それに伴って貧しい人たちを排除するような動きがありました。事態はあらゆるレベルで悪化していると言わざるを得ません。 扱っている題材は、自分自身が経験してきたこと ―この状況を改善するためには、どういった取り組みが必要だとお考えですか? 監督 現状については確認していますが、正直なところ僕もどうしたらいいかわからなくなっています。ただ、わかっているのは、いまの政府はまったくいいところがないので、フランスは壊滅的な状態にあるということです。 ―だからこそ、映画を通して状況を伝えていくのがご自身のすべきことだと考えていらっしゃるのですね。 監督 まさにその通りです。次回作でもこれまで語ってきたように90年代に起きた問題について主に取り上げていく予定ですが、これからもこの路線で自分の使命をまっとうしたいと思っています。 ―では、ストーリーを構築するうえで苦労したことがあれば、お聞かせください。 監督 シナリオを完成させるまでに3年ほどかかっていますが、「それぞれのアイデアをどのように組み合わせていけば整合性が取れるのか」といった部分が一番難しかったですね。住宅に関する問題を抱えている人や排除されてしまった人など、いろんな方に直接話を聞きにいっては頭を悩ませました。 ―監督といえば、リアリティのある映像を得意とされていると思いますが、撮影時に意識していることについて教えてください。 監督 そもそも扱っている内容は、僕自身が経験してきたことでもあるので、どうすれば映像に現実味を出せるかというのが身に染みてわかっているのは大きいですね。だからこそ、現場に行くだけでリアルなシーンを撮ることができるんだと思います。 「戦い続けていく女性を描きたい」という思いがあった ―本作には俳優以外にも現地の方も出演しているのでしょうか。 監督 エキストラの8割は、実際の住人たちに演じてもらっています。「出たい!」とみんなが言っていたので、希望者が多すぎてむしろ大変なくらいでした。 ―俳優ではない方たちには演技指導をされたのか、逆に普段のままでいてほしいと伝えたのか、どのような演出をされましたか? 監督 僕の場合は、どうしてほしいかというのを事前にきちんと伝えるようにしています。なので、「自由にやっていいよ」という感じよりも、わりとしっかりと演技指導をさせてもらいました。 ―フランスの観客は衝撃を受けていたとのことですが、当事者の方たちの反応はどのようなものだったのでしょうか。 監督 映画で語られているのが自分自身の物語ということもあって、非常に喜んでくれました。彼らにとっては、撮影に参加したことも誇らしい経験となってくれたようで僕もうれしいです。 ―また、本作では女性のキャラクターが印象的に描かれています。女性を描くうえで意識されたこともありましたか? 監督 主人公であるアビーのように、市民のための援助活動を熱心に行っている力強い女性というのは、実際の貧困地区にもたくさんいます。そういったこともあって、彼女たちにオマージュを捧げたいと思い、今回は女性を中心に描きました。アビーのキャラクターに関しては、モデルが1人いるというよりも、実在するさまざまな女性をミックスして作り上げています。 ―アビーの存在には希望も感じましたが、ラストはどのようにして決められたのでしょうか。 監督 彼女がどういう道を進んで行くのかという結末については、かなり初期の段階から決めていました。というのも、「戦い続けていく女性を描きたい」という思いがあったので。ただ、本作は登場人物が多いこともあって、それぞれをどういうふうに動かしていけば最終的にこのシーンにたどりつくかを考えるのが難しかったです。 日本には強い感銘を受ける部分がある ―話は変わりますが、日本には4年前にもいらっしゃっているので、どのような印象をお持ちなのかを教えてください。 監督 ヨーロッパより10年も、20年も先を行っているような最先端の国だなと感じています。僕のルーツはアフリカのマリ共和国ですが、そこと比べると1世紀くらい未来にいますよね(笑)。それくらい近代的な国というのが第一印象でした。 ただ、取材などを受けているうちに日本でも最近は移民や貧困の問題があることを聞き、世界中どこにでも同じ問題はあるのだなと。どんなに発展した国であっても、すべてがうまくいっているわけではないのだと改めて認識しました。 ―だからこそ、監督の作品は日本でも多くの方に観てほしいと感じます。では、日本のカルチャーで興味を持っているものはありますか? 監督 僕たちの世代はみんなそうだと思いますが、やっぱり日本の漫画やアニメは大好きですよね。特に『ドラゴンボールZ』とか。なので、そういうカルチャーが生まれた国で自分の映画が上映されることは、本当に誇らしいことだと感じています。 あとは、「職人」と呼ばれる方々が1つのことに情熱と愛情を込めて取り組んでいるのが素晴らしいなと。そうやって美しいものを作り出している姿にも強い感銘を受けています。 ―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。 監督 女性の方々はがんばって働いていると思いますが、ぜひ権力もつかんでほしいと考えています。というのも、男性ばかりが中心になると戦争をしたりして、国をめちゃくちゃにしてしまうと感じているからです。これからは、もっと女性の時代になるように願っています。 “不都合な真実”が私たちに問いかける これまで抱いていた“花の都”パリのイメージを大きく覆し、観る者の心を激しく揺さぶる衝撃作。権力に屈することなく声を上げて戦う女性たちの姿に、決して他人事ではないと感じさせられるはずです。 取材、文・志村昌美 目が離せない予告編はこちら! 作品情報 『バティモン5 望まれざる者』5月24日(金)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国公開配給:STAR CHANNEL MOVIES (c) SRAB FILMS – LYLY FILMS – FRANCE 2 CINÉMA – PANACHE PRODUCTIONS – LA COMPAGNIE CINÉMATOGRAPHIQUE – 2023 https://ananweb.jp/anew/550525/ Source: ananweb

  • 2024.04.02

フランス映画界の実力派俳優「京都や奈良での経験は忘れられない」日本での思い出を語る – 写真・園山友基(ヴァンサン・ラコスト) | ananweb – マガジンハウス

映画ファンにとって毎年欠かせないイベントのひとつといえば、横浜フランス映画祭。今年も豪華なゲストたちによって大きな賑わいを見せましたが、今回はこちらの方にお話をうかがってきました。 ヴァンサン・ラコストさん 【映画、ときどき私】 vol. 641 『EDEN/エデン』や『アマンダと僕』などに出演し、フランス映画界をけん引する若手実力派俳優として知られるヴァンサンさん。オープニング作品『愛する時』では、ある過去を抱えながら小さな息子と暮らす女性マドレーヌと運命の出会いを果たす裕福なインテリ学生のフランソワを演じています。そこで、役作りの裏側や人間関係で大事にしていること、そして日本での忘れられない思い出などについて語っていただきました。 ―まずは、本作に出演したいと思った決め手について教えてください。 ヴァンサンさん 監督のカテル・キレヴェレのことはよく知っていましたし、彼女の過去作『スザンヌ』もすごく好きだったので、ぜひ仕事をしたいと考えていました。あとは、この作品で描いているテーマも非常におもしろいし、20年にわたるカップルの姿にもロマンがあるなと。いろんなものが詰まっている複雑な役どころでもあったので、友人であり素晴らしい俳優でもあるアナイス・ドゥムースティエと一緒に演じたいという思いになりました。 役のアイデンティティを表現するために10キロ以上減量 ―ananwebではキレヴェレ監督に以前取材をしたことがありますが、非常に細かいところにまでこだわりを持っていらっしゃる方という印象を受けました。現場ではどのような演出がありましたか? ヴァンサンさん 確かに、彼女の演出はとてもこだわりが強いですよね。そんななか、僕がこの役を演じるうえで言われたのは、まず痩せることでした。なぜなら、内面のもろさや繊細さ、そしてキャラクターの持つ優しさを身体で表現してほしいというリクエストがあったからです。そのために糖分をまったく取らずに10キロ以上も減量しましたが、そうすることで役のアイデンティティを表現しています。 ―なるほど。また、劇中の2人はそれぞれの秘密を共有し合うことによって、特殊な愛情で結ばれていたと思いますが、彼らの関係性をどのようにとらえましたか? ヴァンサンさん マドレーヌとフランソワは、お互いを求めているというよりも、社会から存在を拒否されている2人であるがゆえにお互いを支え合って生きているカップルだと思いました。苦しい生活のなかでフラストレーションが溜まっていくところもありますが、真摯な愛情もあるのでそこが映画としても美しい部分だと感じています。 人間関係で大事なのは、自分らしくいられるかどうか ―ご自身が人と付き合ううえで大事にしていることがあれば、お聞かせください。 ヴァンサンさん 僕自身は幸いなことにすごく自由に生活ができる国で、何の問題もなく暮らしているので、恋愛に関しても自分が思う通りの人間関係が実現できていると思います。とはいえ、自分らしくいられるかどうか、というのは一番重要ですね。 相手に求めているものがあるとすれば、優しさとユーモアがあって、いろいろな感性を持ち合わせている人であること。ともに時間を過ごすことになるので、それらは僕にとって欠かせないものです。 ―また、ヴァンサンさんはこれまでに数多くの作品に出演されており、毎回まったく違う印象を受けるのですが、作品選びはどのようにしていますか? ヴァンサンさん まず僕が作品を選ぶ際に重視しているのは、監督がどういう人かということです。どんなにシナリオがよくても、監督の解釈によって変わるので、監督の芸術的なビジョンに自分がピンと来るかどうかは必須ですね。 あとは、自分が観客として観たときにおもしろそうと思う作品には出たいなと考えています。僕にとって映画が生活の一部というのもありますが、観客としての視点は大切にしている部分です。 オフは何よりも自分の時間を大切にしている ―ご自身の見せ方で意識されていることもあるのでしょうか。 ヴァンサンさん 僕は若い頃から仕事を始めたので、最初はティーンエイジャーの役からスタートしましたが、その後はコメディやドラマでいろんな役を演じてきました。そのなかでも、なるべく同じタイプの役を選ばないようにはしています。とはいえ、俳優は提案をもらってから成り立つ仕事なので、いい話をもらうまでに時間がかかることもありますね。 ―ちなみに、オンオフはどのようにして切り替えていますか? ヴァンサンさん 撮影のときは長い期間ほかのことが何もできないので、オフのときはなるべく自分のために時間を使うように心がけています。家族や友人に会ったり、旅行をしたり、本を読んだり、映画を観たり、自宅のインテリアを考えてみたり、スポーツをしたり。とにかく自分の時間を大切に考えるようにしています。 日本の文化は、どれも特別で繊細 ―日本に来るのは3度目とのことですが、どのような印象をお持ちですか?  ヴァンサンさん いろんな文化があって素晴らしいと思いますが、そのひとつである映画には質が高くて美しい作品が多いと感じています。そういった部分は、昔から現在まで絶えることなく受け継がれているので、是枝裕和監督や今村昌平監督、北野武監督、濱口竜介監督といった監督の映画が僕は好きです。ほかにも、漫画や文学、そして食にいたるまで特別な文化ですし、どれも本当に繊細ですよね。 ―もし、日本での印象的な思い出などがあれば教えてください。 ヴァンサンさん 初めて日本に来たのは友達とのバカンスでしたが、ちょうどフランスがワールドカップで優勝したときでした。その瞬間は京都にあるバーにいたので、日本人とフランス人が一緒になって喜んだことが記憶に残っています。 それから僕は動物好きということもあり、鹿を見に奈良に行ったこともありました。ただ、せんべいをあげていたらどんどん鹿が集まってしまい、せんべいはなくなったのに15匹くらいの鹿に取り囲まれて追いかけられたことも(笑)。あれは忘れられない経験ですね! 人生に悩みがあるのは、とても自然なこと ―それでは最後に、ご自身と同世代のananweb読者に向けてメッセージをお願いします。 ヴァンサンさん 人生においてずっと悩みがあると感じることもあるかもしれませんが、これはとても自然なことです。なので、悩みを抱えている自分自身も受け入れていったらいいのではないかなと思います。他人に目を向けてみれば、みんなも将来に不安を持っている状態にあることがわかるので、「これは普通のことなんだ」と再認識できるはずです。 実際、僕自身も自分がしていることが正しいかどうか、確信を持てていません。でも、それよりも自分に対して疑いを持ったり、悩んだりすることは悪いことではないと考えるほうがいいのではないかなと。そうやっていろんなことに好奇心を持って乗り越えていくのは大事だと思っているので、みなさんにもそれを伝えたいです。あとは、友達と話をしたり、音楽を聴いたり、映画を観たり、外に意識を開いていくような生活にしていくのもオススメですね。 インタビューを終えてみて…。 これまで作品ごとにまるで違う顔を見せているヴァンサンさん。それだけに素顔はどんな感じか楽しみにしていましたが、フレンドリーでとても自然体な方でした。フランス映画界には欠かせない一人でもあるので、今後も幅広い作品での活躍を期待したいところです。 作品情報 「横浜フランス映画祭 2024」 写真・園山友基(ヴァンサン・ラコスト) https://ananweb.jp/anew/540717/ Source: ananweb

  • 2024.02.07

川口春奈「ムロツヨシさんの身代わりになったら大変そう」と語る理由 – 写真・大内カオリ(川口春奈) | ananweb – マガジンハウス

日本で昔から愛され続けている時代劇のひとつといえば、47人の赤穂浪士たちが吉良邸に討ち入りする様子を描いた「忠臣蔵」。まもなく公開を迎える最新作『身代わり忠臣蔵』では、吉良上野介の弟・孝証が“身代わりミッション”で幕府をだますという大胆な脚色が話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。 川口春奈さん 【映画、ときどき私】 vol. 635 思いがけず殿の身代わりとなった孝証が想いを寄せる女中の桔梗を演じている川口さん。昨年には「anan AWARD 2023」の俳優部門にも輝くなど、映画やドラマなどで幅広い活躍を見せています。今回は、主演を務めたムロツヨシさんとのエピソードや身代わりがいたらしてほしいこと、そして30代を目前にしたいまの心境などについて語っていただきました。 ―本作はこれまでの忠臣蔵とは大きく異なる作品となっていますが、どのようなところが魅力だと感じていますか? 川口さん 今回はコメディ要素が強いこともあり、時代劇を普段観ないような方でもテンポよく楽しんでいただける痛快なストーリーになっていると思います。あとは、男性社会だけでなく恋愛感情も描かれているので、桔梗との関係性にはほっこりしていただけるかなと。桔梗は強い女性ではありますが、かわいいと思ってもらえるようなマドンナになれたらいいなと考えて演じました。 ―孝証を演じるムロさんとの現場で印象に残っていることがあれば、教えてください。 川口さん ムロさんとは10年ぶりくらいにお会いしたということもあって、お互いの近況を話していたらあっという間に終わってしまった気がします。孝証のキャラクターとムロさんの穏やかで優しい人柄によってリラックスできたことで、すごく自然体で撮影に挑めました。 観るのは好きだけど、コメディを演じるのは難しい ―本作の現場では全体的にアドリブも多かったようですが、ムロさんともそういったやりとりはあったのでしょうか。 川口さん ボケとツッコミのようなシーンではあえてカットをかけず、長めに撮影をするようなことはありました。ただ、基本的にはムロさんが自由に演じられて、それを私が見ているという感じで(笑)。でも、そういう関係性は、キャラクターにも合っていたと思います。 間合いやタイミングというものを狙いすぎるのもダメなので、コメディ作品は本当に難しいですよね。偶然が重なったときに面白くなったりするので、観るのは好きですけど演じるのは大変だなと毎回感じています。 ―なるほど。今回は京都での撮影となりましたが、どのようにして過ごされていましたか? 川口さん 待ち時間も着物だったので外に行くわけにもいかず、部屋で台本を読んだりしていました。ただ、撮影が日中に終わることが多かったので、そういうときはタクシーの運転手さんに「オススメのお店ありますか?」と聞いて、教えてもらったラーメン屋さんにそのまま行ったことも。そんなふうに、「今日は何を食べに行こうかな?」と考えていることが多かったです。 応援してくださる方や家族からのリアクションが原動力 ―では、もし誰かに自分の身代わりになってもらえるなら、何をお願いしたいですか? 川口さん 家のことや雑務をこなすのが苦手なので、そういったことを完璧にやってもらいたいです! お料理とかもしてくれたら本当にありがたいですね。 ―誰かの身代わりをしてみるのはどうですか? たとえば、ムロさんとか。 川口さん できれば誰の身代わりもしたくないですが、特にムロさんはすごい気遣い屋さんなので大変そうだなと(笑)。ただ、ムロさんに関してはいつも心配してしまうくらい気を遣っていらっしゃるので、少しでもお手伝いができるならしたいなという気持ちはあります。いや、でも本当にムロさんは大変そうです。 ―劇中では孝証が身代わりをしていく過程で、初めて人から必要とされる姿も描かれていますが、共感する部分などもありましたか? 川口さん 私も「自分が必要とされていると感じたい」という気持ちは前提にあると思います。自分がいることで何かが解決したり、「作品を観て救われた」とか「面白かった」と言ってくださる方がいたりすることで成り立っている仕事だと思うので。 それだけに、作品をちゃんと届けたいという心構えはいつも大切に考えています。自分のためだけにはできない仕事なので、応援してくださる方や家族からのリアクションが自分にとっては原動力です。 オフはなるべく外でアクティブに過ごして気分転換 ―毎日お忙しいと思いますが、オンオフの切り替えなどはどうされていますか? 川口さん カラダのメンテナンスをしたり、飼っているワンコと出かけたり、人と会ったりして自分なりに気分転換をしています。ワンコに関しては時間もお金も手間もすべて注いでいるので、溺愛しているというより、もはや私の分身に近いですね(笑)。劇中に出てくるお犬さまのような扱い方で、とにかく“犬ファースト”の生活になっています。 あとは、おいしいご飯を食べるのが楽しみのひとつ。家にいるとどうしても仕事のことを考えてしまうのでなるべく外に出たいというのもありますが、アクティブなので家にいる時間は少ないほうだと思います。 ―最近テンションが上がった食べ物やハマっているものがあれば、教えてください。 川口さん 好きなのは、タイ料理や韓国料理。エスニック系も好みなので、カレー屋さんを巡ったりもしています。気になるお店をリストにしていることもあって、それを巡っていくのも楽しいです。 大事なのは、自分がちゃんと楽しめているかどうか ―まもなく29歳となりますが、20代最後の年をどのように過ごしていきたいですか?  川口さん 30代にはなってみないとわからないですが、いま何か掲げている理想とかは特にありません。あまり年齢は気にしていないので、とにかく健康に気を付けてこれからもお仕事を続けていけたらいいなと考えています。 それと、旅行が好きなので行ったことのない場所に行って、見たことのない景色を見たり、食べたことのないものを食べたりして、いろんなことをたくさん吸収できたらいいなとは思っています。 ―川口さんといえばいつも笑顔で明るいイメージがありますが、落ち込んだときはどうやって乗り越えているのでしょうか。 川口さん 昔から大事にしているのは、ちゃんと息抜きをして1回フラットにすること。さっきもお話したように、バランスを保つためにオフの使い方は意識しているほうだと思います。パフォーマンスの質を落とさないためにも、自分で自分の機嫌を取るようにもしていますが、そういうのは大きいですね。 とはいえ、私はあまり落ち込んだりしないほうで寝たら忘れちゃう(笑)。ズルズル引きずらないというか、気が付いたらどうでもよくなっていることが多いです。あとは、自分がちゃんと楽しめているかどうか。それは仕事にも反映されることなので、そういった部分は大切にしています。 いいことも悪いことも、成長に繋がっている ―それでは最後に、仕事や恋愛に悩む同世代のananweb読者に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。 川口さん 私も完璧じゃないですし、みなさんと同じように悩みながら働いていく、というのを繰り返しているところです。その過程では、いいことも悪いこともあると思います。でも、そうやっていくことで絶対に成長もしているし、強くもなっているので、一緒にがんばっていきましょう! インタビューを終えてみて…。 劇中で演じられた桔梗のように、芯の強さとかわいさをあわせ持っている川口さん。これから30代に向けて、どのような女性になっていくのかも楽しみなところです。本作では普段とは違う素敵な着物姿もぜひ堪能してください。 こんな「忠臣蔵」は観たことない! クセが強すぎるキャラクターたちが次々と登場し、これまでの時代劇とはひと味もふた味も違う面白さが詰まった本作。斬新なストーリー展開に驚かされるだけでなく、笑って泣ける新たな「忠臣蔵」の誕生です。 写真・大内カオリ(川口春奈) 取材、文・志村昌美 ストーリー 嫌われ者の旗本として知られていた吉良上野介。ある日、城内で斬りつけられ、逃げた傷で瀕死の状態に陥ってしまう。理由は、吉良から陰湿ないじめを受けていた赤穂藩藩主がブチ切れたことによるものだった。斬った赤穂藩主は当然切腹だが、吉良も逃げた傷を負ったとなれば武士の恥。両家ともお家取り潰しの危機を迎える。 ここで吉良家家臣から出てきた奇想天外な打開策は、殿にそっくりな弟の孝証を身代わりにすることだった。そんななか、赤穂藩の部下である大石内蔵助は仇討の機会をうかがっているような動きを見せる。はたして、孝証は世紀の大芝居で身代わりミッションをコンプリートできるのか…。 痛快な予告編はこちら! 作品情報 『身代わり忠臣蔵』2月9日(金)全国公開配給:東映 (C)2024「身代わり忠臣蔵」製作委員会 写真・大内カオリ(川口春奈) https://ananweb.jp/anew/529994/ Source: ananweb

  • 2024.01.04

眞島秀和「人生を逆算するようになってからのほうが楽しい」心境の変化を明かす – 写真・園山友基(眞島秀和) | ananweb – マガジンハウス

2021年の『春原さんのうた』でマルセイユ国際映画祭のグランプリを含む3冠を獲得するなど、国内外で高く評価されている杉田協士監督。昨年の東京国際映画祭でも注目を集めた最新作『彼方のうた』が、まもなく公開を迎えます。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。 眞島秀和さん 【映画、ときどき私】 vol. 630 映画やドラマ、舞台などで幅広い活躍を見せ、今年も主演ドラマ「#居酒屋新幹線2」や「おっさんずラブ-リターンズ-」といった話題作への出演が控えている眞島さん。劇中では、主人公の春と過去にある関わりがあった剛を演じています。そこで、現場の様子や年齢を重ねていくなかで感じる心境の変化、癒しの時間に欠かせない存在などについて語っていただきました。 ―杉田監督とは、以前からお付き合いがあったそうですが、今回ご一緒されてみていかがでしたか? 眞島さん 杉田さんとはお互いに20代の頃から一緒に映画作りをしてきましたが、杉田さんの現場はほかで味わうことのないような穏やかで優しい時間がつねに流れている印象。いつ始まったかもわからないようなとても不思議な雰囲気なので、撮影に参加した感覚もないくらいです。 しばらく会えていなかった時期もあったので初日は驚きもありましたが、久々に再会したときに「こういう作品を作るところに杉田さんはたどり着いたんだな」と感慨深い気持ちにもなりました。 昔を思い出してノスタルジックな気持ちになった ―ということは、役作りもこれまでとは違う部分もあったのでしょうか。 眞島さん 僕はもともとたくさん準備していくタイプの役者ではありませんが、今回はいつも以上に「撮影現場に行くんだ」という意識をなるべく持たないほうがいいかなと。特に、普段お芝居をされていない方々にもご協力いただいて撮影した作品だったので、スッとお邪魔するような感じで行くようにしていました。 ―なるほど。そのなかでも印象に残っていることはありますか? 眞島さん 実は、撮影場所がたまたま僕が若い頃によく行っていた場所の連続だったので、それはすごい偶然でしたね。役者を目指し始めたばかりで何も進まないもどかしい時間を過ごしていた街の景色のなかにいるのは不思議でしたし、ノスタルジックな気持ちにもなりました。 ―本作では、悲しみを抱えている人同士が支え合っていく姿が描かれていますが、ご自身にもそういう経験や転機となった出会いなどはありますか? 眞島さん 人生ってそういう出来事の連続じゃないかなと思います。作品でいうならドラマ「海峡」や「なぜ君は絶望と闘えたのか」のように、自分ができるすべてを出し尽くせるような作品に節目節目で出会えていることも本当にありがたいことです。 「人生は夕方が一番いい」という言葉の意味がわかった ―今年で俳優デビューから25年を迎えましたが、心境の変化などはありますか? 眞島さん 「現場であと何回こういう喜びが味わえるのかな」とか、「両親や友達にあと何回会えるんだろう」とか、そういう感覚が強くなってきたような気がしています。 これが年を重ねていくうえで起きる変化のひとつなのかなとも思いますが、そのおかげでいまは瞬間瞬間がこれまで以上に愛おしく感じるようになりました。最近は大したことじゃなくても楽しめるようになってきたので、景色も前よりきれいに見えるんですよね。これってすごく素敵なことだなと思っています。 ―それは47歳になったいまだからこそわかることであって、20代や30代の頃には気付けなかったと。 眞島さん そうですね。そういう思いが顕著になってきたこともあって、前に朗読を担当した小説「日の名残り」のなかに出てくる「人生は夕方が一番いい」というセリフの意味もちょっとだけわかってきました。いろんなことを逆算するようになってからのほうが楽しくなってきたので、これからも目の前のことを一つ一つしっかりとやりつつ、より密度の濃いものにしていきたいなと考えています。 愛犬との散歩の時間が何よりも癒し ―お忙しいなかで、日々の癒しとなっている時間はどんなときですか? 眞島さん それは、仕事が終わって家に帰ってきてから行く愛犬との散歩の時間です。特にハードルの高い作品のときは本当に助けられているので、毎日「長生きしてくれ」と懇願しています(笑)。少し前に、ギネス世界記録で世界最高齢だったワンちゃんが31歳で亡くなったニュースを見て、「そこを目指そうね」って話しているところです。最近はほかにハマっていることもまったくなく、ワンちゃん一筋ですね(笑)。 ―そんなふうに、仕事を忘れられるような時間は大事ですよね。 眞島さん あと、お散歩をしていると季節の移り変わりや近所のいろんな変化にも気付けるのがいいなと。この前も、家の近くに交番ができたので、おまわりさんにうちの子を紹介してきました。 ―おまわりさんにワンちゃんを紹介されたんですか!? 相手は眞島さんだと気が付いていたのでしょうか…。 眞島さん いや、それはないですね。ちなみに、なぜ紹介したかというと、うちの子は光る首輪をつけているんですけど、おまわりさんたちが「あの光っているのは何だ!」みたいな感じで警戒して立ち上がっているのが見えたんですよ(笑)。なので、「この色はうちの子ですよ」というのを知ってもらおうと思って、紹介しました。 仕事で適当にやってきたことはひとつもない ―お仕事とワンちゃん以外に、いま興味を持っていることや挑戦してみたいことはありますか? 眞島さん バイトしたいなと思うことはありますね(笑)。 ―それは意外ですが、どんなバイトをしてみたいですか? 眞島さん バーのカウンターに立ってみたりとか、飲食業がいいなと思いますね。活気のあるお店の前を通ると、威勢よく声を出しながら働いてみたいなと考えることがよくあるので。 ―眞島さんがいたら驚きですが、楽しそうですね。では、ご自身が仕事を続けるなかで貫いてきたことがあれば、教えてください。 眞島さん 特にそういうものはないですが、何に対しても本当に一生懸命やってきたつもりなので、適当にやってきたことはひとつもないはずです。それくらいじゃないかなと思います。 「いまが大変でも年月がたてば大丈夫」と伝えたい ―「色気がすごい俳優ランキング」で1位に輝くなど、近年はそういう観点で注目されることも増えているようですが、ご自分ではこの状況をどのように受け止めていますか? 眞島さん 「そう見える人もいるんだな。ふーん…」くらいの感じですね(笑)。でも、僕らの仕事というのは、作品としてのエンターテインメントを提供するだけでなく、客観的にどう見えるかを楽しんでもらうのもひとつですからね。なので、みなさんにとってそれが楽しいことに繋がっていればいいなと思っています。 ―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。 眞島さん 女性だけでなく、男性にも言えることですが、20代から30代にかけては1つのターニングポイントみたいなところがあるかもしれません。でも、いま抱えている悩みや将来に対する不安というのは、ある程度年月がたったら、全然大したことじゃなかったなと思うことがほとんどです。 僕にもそういう時期がありましたが、一生懸命やっているだけで何とかなりましたから。もし、プライベートで悩みがあるのなら、仕事をがんばっていればいつの間にか時間が過ぎて気にならなくなるので、「いまが大変でも大丈夫ですよ」というのを伝えたいです。 インタビューを終えてみて…。 大人の色気を漂わせつつ、落ち着いた雰囲気で一つ一つ丁寧に答えてくださる眞島さん。なかでも、仕事に対する真剣な表情と目尻を下げて愛犬について話されるときのギャップがとても素敵でした。本作では、眞島さんならではの存在感を放つ佇まいが印象的なので、ぜひスクリーンでご覧ください。 内に秘めた悲しみにそっと寄り添う 多くの言葉で語ることなく、観る者の心に訴えかける本作。杉田監督ならではの余白と余韻が生み出す、温かくて不思議な世界観に包み込まれる1本です。 写真・園山友基(眞島秀和) 取材、文・志村昌美 ストーリー 駅前のベンチに座っていた雪子に、書店員の春は道を尋ねるふりをして声をかける。春は雪子の顔に見える悲しみを見過ごせずにいたのだ。またあるときは、剛の後をつけている春。剛の様子を確かめる日々を過ごしていた。 実は、春が子どもだった頃、街中で見かけた雪子や剛に声をかけた過去があったのだ。春の行動に気づいていた剛が春の職場を訪れ、春自身がふたたび雪子に声をかけたことで、それぞれの関係が動き出す。そして春は2人と過ごすうちに、自分自身が抱えている母親への思いと悲しみの気持ちに向き合っていくことに…。 引き込まれる予告編はこちら! 作品情報 『彼方のうた』1月5日(金)よりポレポレ東中野、渋谷シネクイント、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開配給:イハフィルムズ (C)2023 Nekojarashi Inc. 写真・園山友基(眞島秀和) https://ananweb.jp/anew/523607/ Source: ananweb

  • 2023.12.22

話題作『REBEL MOON』出演俳優が語る撮影秘話「悪役が本当に恐ろしかった」 – 写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン) | ananweb – マガジンハウス

『300〈スリーハンドレッド〉』や『ジャスティス・リーグ』など、数々のヒット作を手掛けてきたザック・スナイダー監督。最新作は、黒澤明監督の名作『七人の侍』からインスパイアを受け、構想に20年以上かけたオリジナルSF超大作『REBEL MOON:パート1 炎の子』です。そこで、Netflixでの独占配信がスタートしたばかりの話題作について、こちらの方々にお話をうかがってきました。 ソフィア・ブテラさん & エド・スクラインさん 【映画、ときどき私】 vol. 626 壮大な銀河を舞台に繰り広げられる本作で、すべてを支配する銀河の帝国“マザーワールド”にリベンジを誓った主人公コラを演じているのが、映画『キングスマン』に登場する義足の殺し屋でも知られるソフィアさん。 そして、冷酷非道で血も涙もない“マザーワールド”の執行官であるノーブル提督をテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や映画『デッドプール』でも注目を集めたエドさんが演じています。 今回は、劇中で激しいバトルを繰り広げるおふたりに、アクションシーンの裏側や現場での様子、そして影響を受けている日本のカルチャーなどについて語っていただきました。 ―本作では、何と言っても壮絶なアクションが見どころですが、ソフィアさんはダンサーでもあるので、そういった経験が生かされた部分もありましたか? ソフィアさん そうですね。ダンスにも格闘シーンにも振り付けがあるので、そういう意味で類似する部分はたくさんあると感じています。私の場合、学びのプロセスは見ることから始まるので、まずはスタントダブルの方がどういう動きをしているのかを観察するところから取り組みました。 ちなみに、ダンスのときは特定のカウントで動いていますが、アクションのときに意識しているのはリズム。言葉で説明するのは難しいですが、頭のなかで「ダダダ、ダダ、ダ、ダダダ」みたいなリズムを感じながらアクションをしているんですよ。 とても健全な環境で撮影に挑むことができた ―面白い違いですね。対するエドさんも杖を持ちながらのアクションなど、難しさもあったのではないでしょうか。 エドさん 僕もスタントダブルの方に、いろいろと教えてもらうことは多かったです。なかでも、さまざまな開発に取り組んだのは、杖の持ち方。撮影で使っているものは軽い杖ですが、自宅でトレーニングする際には11キロ以上ある鉄の棒を使って練習しました。 ちなみに、実はこの杖にもちゃんと意味合いがあって、絶滅してしまった動物の大腿骨を使っている杖という設定。希少価値の高いものが暴力の象徴となってしまっている様子を描いているそうです。そんなふうに、ザックはすべてに対して説明をしてくれるので、本当に素晴らしい監督だと思いました。 ―なるほど。細かいところにもこだわりが隠されているとは興味深いですね。 ソフィアさん ザックは創造性と才能に溢れた天才で、彼の熱意は毎日私たちにも伝わっていたので、とても健全な環境で撮影に挑むことができました。こういう作品で初めて主演を務めさせていただけてうれしかったです。主人公が女性ということもあって、視覚的にも美しい映像が詰まっている作品になっていると感じています。 エドはキャラクターを見事に体現していた ―また、劇中でのエドさんの見事な悪役ぶりには思わずこちらまでゾクッとしてしまいましたが、ソフィアさんから見たエドさんの素顔を教えてください。 エドさん まずは、怖がらせてしまってごめんね! ソフィアさん 彼はまさにこの通りの素敵な人ですよ(笑)。実は、エドとはこれまでに共演の話が5回くらいあったもののなかなかうまくいかず、今回ようやく一緒に演じることができたんです。彼は役作りとしてダイエットもしていたようですが、青白い肌と骨格がわかるような顔つきでキャラクターを見事に体現していると思いました。彼がそういう状態を作り上げてくれていたからこそ、私も本当に恐ろしさを感じました。 エドさん ソフィアのことも怖がらせていたみたいでごめんね(笑)。 ソフィアさん でも、そこまで仕上げて役になりきってくれたおかげで、私は自分の緊張感やエネルギーをテイクの間でも維持し続けることができましたし、すんなりと役に入れてとても演じやすかったです。おそらくそういった部分は、画面にもはっきり出ていると思います。本人が考えている以上にエドは素晴らしいことをしていると私は感じました。 いつか日本で撮影することが夢 ―また、ザック・スナイダー監督といえば日本の映画やポップカルチャーから大きな影響を受けている方ですが、おふたりも日本に関して興味を持っていることはありますか? ソフィアさん 私が大好きなのは、やっぱり日本のアニメ。なかでも、『聖闘士星矢』や『ドラゴンボールZ』、『攻殻機動隊』、『獣兵衛忍風帖』、『AKIRA』、それから宮崎駿監督の作品などを観て育ちました。 エドさん 僕は大学で絵画を学んでいたのですが、その際に日本のアーティストから影響を受けたこともありました。大学時代には日本人の学生との共同制作で絵を作ったこともあり、その作品はいまでも大切に家に飾っています。 また、僕はいろんな作品のワールドツアーで多くの国を回っていますが、そのなかでも日本が100%お気に入りの場所。みなさんの落ち着きや他人を尊重する気持ちは本当に素晴らしいので、「ほかにもこういう場所がもっとあればいいのに…」と思っているほどです(笑)。 以前、日本で撮影するチャンスをもう少しで実現できそうだったこともありますが、いまでも日本での撮影は僕の夢。いつか役に立つ日が来るかもしれないと思って、剣道を学んでいるところです。 何かを克服するときは自分のなかでも力を感じる ―ぜひ、楽しみにしています! 本作では反乱者たちによるリベンジが描かれていますが、もしご自身の人生のなかで何かにリベンジした経験などがあれば教えてください。 ソフィアさん 生きていると、人生のなかでさまざまなレベルで何かに立ち向かわなければいけないときってありますよね。「リベンジ」というほど強いものではありませんが、いろんなことを克服するときは自分のなかでもより力を感じる瞬間かなと。そういった経験は、これまでもたくさんしてきました。 この作品で言うなら、物語やキャラクターを理解して、きちんと自分のものにすることが今回の私が成し遂げるべきことだったと思っています。それはまるでそびえ立つ山のようだったので、どうやってうまく登っていくかということを考えながら演じました。 ネガティブな感情は最低限に抑えるようにしている ―エドさんはリベンジされる側でしたが、いかがでしたか? エドさん 僕は生涯を通して反抗的な理念を持っているような人間で、若い頃から反体制的な主義を掲げながら育ってきました。アンダーグラウンドやサブカルチャーといったものに興味を持ち、自分を非エリートだと思っているので、もし自分がこの作品のなかに実在していたら、きっと武器を持って戦いに出るタイプだったでしょうね!  とはいえ、自分はリベンジや復讐といったものにはまったく共感していません。むしろ怒りや悔しさ、恨みといった感情はつねに自分の心から切り離すようにしているほど。それは自分のためだけでなく、相手にとってもそのほうがいいと考えているからであって、ネガティブな感情は最低限に抑えるようにしています。 ただ、父親として3人の子どもたちにいろんなことを教える立場になった途端、自分が体制側の人間みたいだなと感じることは最近よくありますけどね(笑)。 日本のみなさんとこの作品を共有できることがうれしい ―それでは最後に、日本の観客に向けてひと言お願いします。 ソフィアさん この作品は、153日間というとても長い撮影期間をかけて作り上げました。ザック・スナイダー監督が先導してくれたこの映画をみなさんに観ていただけることをうれしく思っていますし、共有できることにすごく興奮しています。 インタビューを終えてみて…。 劇中では敵対関係にあるおふたりでしたが、撮影時には冗談を言って笑い合うなど、仲の良さが伝わってきたソフィアさんとエドさん。お互いへの信頼関係があったからこそ、激しくぶつかり合うことができたのだと感じました。クライマックスのなかで、最大の見どころでもあるおふたりの手に汗握るアクションシーンは必見です。 圧倒的な映像に興奮が止まらない! 無限に広がる銀河に誘われ、壮大な世界観と美しい映像が堪能できる本作。圧巻のアクションシーンはもちろん、アウトロー集団たちが繰り広げるドラマにも胸が熱くなること間違いなしです。 写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン) 取材、文・志村昌美 ストーリー 巨大帝国“マザーワールド”が支配する銀河。暗い過去から逃げてきた心優しい熱き戦士コラは、惑星の片隅にある平和な村で暮らしていた。ところがある日、帝国の刺客が突然現れ、侵略を開始。コラは侵害されてしまった村人の敵討ちのために立ち上がり、仲間を集める旅へと出ることに。 コラが出会ったのは、顔色ひとつ変えずに復讐心を燃やす二刀流使いのネメシスや金でしか動かないクールな宇宙船パイロットのカイを始めとする団結とは無縁なアウトローたち。果たして、寄せ集めの〈チーム・レベルズ〉は冷酷非道で人間味ゼロの提督アティカス・ノーブルを倒し、悪の帝国へリベンジできるのか…。 テンションが上がる予告編はこちら! 作品情報 Netflix映画『REBEL MOON — パート1: 炎の子』12月22日(金)世界独占配信 写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン) https://ananweb.jp/anew/524468/ Source: ananweb

  • 2023.12.15

仲間由紀恵「子どもたちのケンカは事情聴取して検証する」育児トラブルの解決法 – 写真・幸喜ひかり(仲間由紀恵) | ananweb – マガジンハウス

キャラクターのかわいさとストーリーのおもしろさから、子どもたちに大人気のアニメシリーズ「パウ・パトロール」。主人公の少年ケントと個性豊かな子犬たちが、街で起こるさまざまなトラブルをパウっと解決していく様子が描かれています。そこで、まもなく公開を迎える劇場版最新作『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』の魅力について、こちらの方にお話をうかがってきました。 仲間由紀恵さん 【映画、ときどき私】 vol. 624 アドベンチャー・シティに落ちてきたまほうの隕石から手に入れた“マイティパワー”を巡る大騒動が繰り広げられている本作。仲間さんは、日本語吹替版でパウ・パトロールたちの“最大の敵”となる科学者ヴィクトリアの声を演じています。今回は、声優としてのおもしろさや母親になってから変化したこと、そして育児での悩みを解決する方法などについて語っていただきました。 ―まずは、オファーがあったときのお気持ちからお聞かせください。 仲間さん 子どもたちが好きな作品ということもあり、以前から一緒に観ていたので、まずは素直にうれしかったです。観たいと何回もお願いされるくらいお気に入りで、大人が笑わないような意外なところでいろんな反応をしてくれるので、私も楽しんでいます。 ―ということは、出演が決まってお子さんたちも喜ばれたのではないでしょうか。 仲間さん まだ小さいので、私の仕事のことはよくわかっていないんじゃないかなと思います。声を聞いて気が付いてくれればいいですけど、いつもとは違うだけにどういうふうに受け取るのかは私も楽しみですね。ちなみに、子どもたちは映画館に行ったことがなく、この作品が映画館デビューになる予定なので、そういう意味でも期待しています。 物事をスピーディーかつ的確に終わらせる力がほしい ―まさかの悪役なので驚かれるかもしれませんが、今回はこの役をどのように演じようと思って挑まれましたか? 仲間さん 事前に自分のなかで何度もイメージしていきましたが、現場でやってみないとわからないこともたくさんありました。でも、とても自由にやらせていただいたので、楽しく挑戦できてよかったです。普段のお芝居では出さないような声を出したり、現実世界で自分ができないようなことを疑似体験できたりするのがおもしろかったですね。 キャラクターとしては、自分の力を周りに認めてもらいたいという欲望が強い女性だと思いました。ただ、そうなってしまうまでには、自分のがんばりを誰も見てくれなかった過去があったはずなので、そこがヴィクトリアの憎めないところかなと。根本には彼女の切実な思いがあると感じました。 ―もし自分もマイティパワーを得られるとしたら、いまはどんな力がほしいですか? 仲間さん ほしいパワーはいっぱいありますが、物事をスピーディーかつ的確に終わらせることができる力や速さがあったらいいですね。最近は1日があっという間に過ぎてしまいますが、仕事にも育児にも、もう少し時間がほしいです。 子育ては解決したのかわからないことが多い ―毎日お忙しいと思いますが、時間を作るために工夫されていることなどがあれば教えてください。 仲間さん 私もできるのであればもっと時短をしたいなと思ってはいるのですが、あまりアイデアが豊富なほうではなくて…。ただ、仕事に関しては、事前に準備をしておかないと間に合わないので、前日の夜にがんばっています。とはいえ、日常生活に関しての準備をつねにするのは、なかなか難しいですよね。それできたら素晴らしいですが、私も「毎日はできません!」と思っています(笑)。 ―みなさん同じ気持ちではないでしょうか。では、子育てのトラブルなどはどのように解決していますか? 仲間さん 子育てに関しては、解決したのかわからないことのほうが多いので、「あれでよかったのかな?」と思うことばかりです。特にうちは双子ということもあって、仲よく遊んでくれるいっぽうで、ケンカも多いですからね…。以前は、喧嘩両成敗みたいなやり方をしていましたが、彼らもそれではだんだん納得しなくなってきたのかなと感じることも。 なので、最近はまず1人ずつに事情聴取をして、ケンカについて検証するようになりました(笑)。どちらがいいとか悪いとかを言わず、とりあえずどういうふうに感じていたのかについて一回話を聞くようにしています。大人も一緒かもしれませんが、共感をしてあげることによって、腑に落ちることってありますからね。 母親になって物事を広くとらえられるようになった ―なるほど。事情聴取には俳優としてのご経験も生かされているのかもしれませんね。 仲間さん どうなんでしょうか(笑)。なかなかうまくいかないので、役に立っている気はしないですが、思い通りにいかないことも楽しいと考えるようにしています。とはいえ、「人を思いやる気持ちを持ってほしい」とか「共感力を身に付けてほしい」とかこちらが伝えたい大事なことがまったく伝わらない時期に入ってしまったので、返ってくる反応に驚く毎日です(笑)。 ―ということは、仲間さんでも心が折れそうになるときもあると。 仲間さん ありますよ! 膝がガクンとすることなんてしょっちゅうですから(笑)。でも、ずっと言い続けていれば、きっとどこかには残ってくれるのではないかなと。ガックリしながらではありますが、いつか自覚してくれるときがくればいいなと思っているので、これからも伝え続けていきます。 ―母親になったことで、ご自身でも変わったなと思うことはありますか? 仲間さん 当たり前のことができないとか、計画通りにいかないことが多いので、何が起きてもいいように物事を広くとらえられるようになったところはあるように感じています。あとは、人に対しての見方も、より柔軟になったのかなと。以前なら「こういうタイプの人かな?」と先に決めつけてしまうこともありましたが、話してみないとわからないですし、イメージ通りではないこともあると考えるようになりました。 諦めない気持ちはこれからも忘れたくない ―そのなかで、仕事に対しての向き合い方にも変化はあったのではないでしょうか。 仲間さん そうですね。仕事については、対応できる時間が限られてきたこともあって、より集中できるようになりました。あとは、客観的にも見られるようになったぶん、視野が広がった気がしています。 ―仕事や育児に追われるなかで、幸せを感じる瞬間といえば? 仲間さん それは、家族みんなで食卓につけたときですね。毎日食事の時間に合わせて準備するのも、プレッシャーのかかる仕事ではありますが、家族が集まれる時間を持てるとやっぱり楽しいなと感じます。 ―素敵ですね。また、本作ではパウ・パトロールの一員であるスカイが自分の弱さを克服して奮闘する姿が描かれていますが、仲間さんは悩みを抱えたときはどのようにして乗り越えていますか? 仲間さん 私は昔から自信過剰なタイプではないので、毎回仕事のあとは不安になったり、反省したりしながらゴールに向かっているほうです。作品によって役柄が違うので、そのたびに悩みも変わりますが、そういうなかでも意識しているのは、自分なりの答えをちゃんと導きだすこと。そして、それを現場で披露する勇気を持つようにしています。1歩踏み出してもできないことはありますが、1歩踏み出したことでできるようになることもありますから。 そうやって毎回いろんなことに少しずつ挑んでいる感じなので、スカイが諦めずに前に向かって突き進む姿には、私も感動しました。物事をより良くするためにも、諦めない気持ちはこれからも忘れないようにしたいですね。そのためには準備も必要ですが、「前にできなかったことがちょっとだけできるようになった」という成功体験を積み重ねることが大事だと思っています。 もっと自信を持ってもらえたらいいなと思う ―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。 仲間さん 20代や30代の頃というのは、社会のなかで緊張しながら仕事を覚えたり、経験を積んだりする時期だと思います。だからこそ、必死になりすぎて周りが見れなくなってしまうときや自信をなくしてしまうときもあるかもしれません。でも、仕事を離れて個人になったときは、もっと自信を持ってもらえたらいいなと感じています。 あと、これは私が育児をしていておもしろいなと思ったことですが、最初は人見知りだった子どもたちが挨拶をできるようになってから変わりました。これは大人にも言えることなので、進んで挨拶をしたり、自分から声をかけたりできるようになるだけでも人間関係はかなり違ってくるのかなと。そんな小さいことでも「今日はできた!」と考えるだけで気持ちも変わるはずですからね。すでにみなさんがんばっていらっしゃると思いますが、ぜひそのまま行ってほしいです。 インタビューを終えてみて…。 仕事と育児のなかで感じている悩みもオープンに明かしてくださり、自然体で飾らない姿が魅力的な仲間さん。お子さんたちとのエピソードをはじめ、お話のおもしろさにも引き込まれました。本作では、ご自身の声を生かしつつキャラクターと見事に融合し、ヴィクトリアの存在感を際立たせています。ぜひ、普段のイメージとは違う仲間さんの悪役っぷりをお楽しみください。 どんなトラブルにも負けない強さを学ぶ! 誰もが悩みやコンプレックスを抱えながら生きるなか、大事なのは自分を信じる勇気を持つことだと教えてくれるパウ・パトロールたち。「パウっと解決!パウフェクト!」の合言葉を胸に、子どもも大人も新たな冒険に向かって走り出したい気持ちが高まるはずです。 写真・幸喜ひかり(仲間由紀恵) 取材、文・志村昌美 ストーリー ある日、大都市アドベンチャー・シティにマイティ座流星群のなかにあった隕石が落ちてきた。その隕石によってパウ・パトロールたちは新しいマイティパワーを手に入れ、最強の子犬「マイティ・パウ・パトロール」に大変身する。 ところが、宿敵のライバール市長が“最強のトラブルメーカー”と言われるマッドサイエンティストのヴィクトリアと手を組み、彼らのマイティパワーを奪おうと悪だくみを企てていた。この大ピンチをリーダーのケントとパウ・パトロールたちは、マイティパワーで解決できるのか!? ワクワクする予告編はこちら! 作品情報 『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』12月15日(金)全国公開配給:東和ピクチャーズ (C)2023 Paramount Pictures. All rights reserved. 写真・幸喜ひかり(仲間由紀恵) https://ananweb.jp/anew/521060/ Source: ananweb

  • 2023.12.13

花村想太、セントチヒロ・チッチに語る次の目標「ティモシー・シャラメと会って新たな夢ができた」 – 写真・園山友基(花村想太、セントチヒロ・チッチ) | ananweb – マガジンハウス

この冬もさまざまな話題作が並ぶなか、子どもから大人まで楽しめること間違いなしの1本として注目を集めているのは、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。大ヒットを記録した『チャーリーとチョコレート工場』に登場する工場長ウィリー・ウォンカの“夢のはじまり”を描いた最新作です。そこで、日本語吹替版の声優に抜擢されたおふたりにお話をうかがってきました。 花村想太さん & セントチヒロ・チッチさん 【映画、ときどき私】 vol. 622 セリフも歌もすべて日本語で吹き替えをしている“完全吹替版”に挑んだのは、5人組男性アーティスト「Da-iCE」でボーカル兼パフォーマーを務める花村想太さんと、BiSHの元メンバーであるセントチヒロ・チッチさん。本作では、ハリウッドを代表する若手トップスターのティモシー・シャラメが演じる若き日のウォンカと、その相棒的存在となる少女ヌードルの声をそれぞれ担当しています。 今回は、声優初挑戦となるおふたりにお互いの魅力や来日したキャストとのエピソード、そして夢を叶えるために実践していることなどについて語っていただきました。 ―花村さんは以前から声優のお仕事に興味があったそうですが、実際に挑戦してみていかがでしたか? 花村さん これまでにお芝居の仕事もいろいろと経験させていただいたこともあり、そこで身についた対応力や応用力がすごく糧になっているなと思いました。とはいえ、わからない部分もいっぱいあったので、回を重ねるごとに「どうしたら自分のイメージ通りにできるのか」というのを勉強していった感じです。 ―チッチさんは、どのような意識で挑まれましたか? チッチさん 私はどれだけ自然に役に入り込めるかというのを考えていたので、あまり作り込まずにいきました。難しいこともたくさんありましたが、それ以上に魅力的な時間があったので、私にとってはすごく素敵な経験になったと思います。限界を決めずにチャレンジするというのは、これまでもずっとしてきたことですが、そのおかげで今回も楽しみながら挑むことができました。 チッチさんのかわいくてキレイな声は武器 ―劇中では、相棒となるおふたりですが、お互いの印象などについて教えてください。 花村さん チッチさんは地声がかわいいので、初めて声を聞いたときに「このまんまでヌードルになれるな」と感じました。自然体の声がこんなにかわいくてキレイというのは武器ですし、本当にハマり役ですよね。 チッチさん お恥ずかしいです(笑)。私は自分にあまり自信がないタイプなので、生まれ持ったものを褒めていただけるのはすごくうれしいです。 ―では、チッチさんから見た花村さんの魅力はどんなところですか? チッチさん 以前から花村さんは歌がお上手な方だとわかっていましたが、今回知ったのは、そのなかにすごく努力家な部分があるということ。“頼れるお兄さん”でもあるので、私は身をゆだねて一緒にお仕事できました。 歌を一緒に歌うイベントのときには不安な気持ちがありましたが、花村さんが「どんとこい!」と構えていてくださったおかげで、自分らしくできてありがたかったです。花村さんがウォンカじゃなきゃダメだったと思います。 花村さん よかったです。“頼れるおじさん”じゃなくて、お兄さんで(笑)。 チッチさん あはははは。 花村さんのプロ意識の高さに驚かされた ―ちなみに、花村さんの知られざる一面を垣間見た瞬間などもあったのでしょうか。 チッチさん 初めてお会いしたのは神社でのイベントでしたが、話をするだけなのに裏で声出しをされていたんです。それを見たときに、「今日って歌うんだっけ?」とすごくびっくりしましたが、プロ意識があるからこそしゃべるだけでも声出しをしているんだなと。その姿に、「並大抵の意識ではここに立てないんだ」と感じました。 花村さん イベントのときは、実は僕も緊張していたので、いつも通りしゃべれるように普段のルーティンをやっていただけなんですよ。大きな声を出さないと、テンションが下がっちゃうほうなので(笑)。 ―ということは、以前からしゃべるだけのお仕事でも声出しは欠かさずされていると。 花村さん そうですね。もともとは、10年くらい前にあるラジオDJの方が声出しをされているのを見たのがきっかけでしたが、僕もそのときは「しゃべるだけなのに?」と驚いた覚えがあります。でも、大きな声を出すためだけではなく、気持ちを上げるためにも大事だと学んだので、自分もするようになりました。特にメンバーと一緒ではなく、1人で参加する大きなイベントとかだと全然違いますからね。 チッチさん わかります! 花村さん キャストの方が来日したときのイベントでも、「いつもと同じようにボケようかな?」と思いましたが、無理でした(笑)。 「英語をしゃべる!」という夢ができた ―イベントでは、「ティモシーさんのオーラがすごくて、固まってしまった」ともおっしゃっていましたよね。直接キャストのみなさんとお会いしてみて、裏ではどんなやりとりがあったのでしょうか? チッチさん ティモシーには、吹替の台本にサインをしてもらいましたが、本当にかっこよかったです。あと印象的だったのは、ウンパルンパ役のヒュー・グラントさん。握手をしながら「初めまして」と言ってくださいましたが、誰だかわからない私に対しても、こんなに優しくしてくれるなんてと感動しました。 花村さん 僕は、ティモシーとは握手をしただけでお互いすべてを悟った感じですね(笑)。と言いたいところですが、英語がしゃべれないので、コミュニケーションが取れないことがもったいなかったなと痛感しました。もし、英語ができたら短い時間のなかでも僕のことをもう少し知っていただけたと思うので…。「英語をしゃべる!」という新たな夢ができました。 大事なのは、小さな夢を1つずつ叶えていくこと ―ますます夢が広がるところですが、本作では夢を持つことの素晴らしさも描かれています。実際に、夢を叶えられたおふたりが思う“夢を実現させる秘訣”があれば教えてください。 花村さん 夢を叶えるのは、難しいことだと僕自身も感じています。というのも、夢はゴールではなく、気が付いたらスタート地点や通過点になっていることがあるからです。僕の子どもの頃の夢は音楽でメジャーデビューすることでしたが、デビューしてみたら実はそこが始まりだと気付かされたので。 そのときに、大きい夢さえも目の前に来たら意外とすぐ次に別の大きな夢が出てくるものなんだなと実感しましたし、おそらくこれは一生終わることがなさそうですね。大きな夢に繋げるためにも、大事なのは小さな夢を1つずつ叶えていくこと。「お腹いっぱい食べたい」とか「お菓子の金額を見ずに買えるようになりたい」とか、なんでもいいので、そういったことを続けていくことで、前に1歩1歩進んでいけると考えています。 チッチさん 私は夢を叶えるために、「好きなことは好き」と大声で言うようにしてきました。自分がしたいことを発信していると、そこから何かに繋がることもありますし、自分を鼓舞することにもなると思っているので。私は「夢を見続けることを諦めずにいたい」という気持ちをずっと大切にしてきましたが、これからもそれは自分のなかに持っていたいです。 日常生活にスリルや恐怖がないと生きていけないタイプ ―おふたりとも素敵な心がけですね。では、ウォンカにとってのチョコレートのように、人生に欠かせないものといえば? 花村さん それはやっぱり音楽ですが、プライベートならバイクです。仕事のあとや休みの日に友達と走るのが楽しいですね。あとはダンスも好きですが、音楽もバイクもダンスも全部、時間を忘れて夢中になれる瞬間が僕にとっては大事だなと思っています。 チッチさん 私は、「恐怖」です。スリルや恐怖がないと生きていけないタイプなので、子どもの頃から怖いものを毎日意識しています。昨日も、ホラー映画を観て寝ました(笑)。私は日常に転がっているちょっとした恐怖も“生活のスパイス”だと思っているほど。「平凡には暮らしていられないな」と日々感じています。 自分にご褒美を与えながら夢を持ち続けてほしい ―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。 花村さん もし僕と道端で出会ったら運命だと思ってください…というのは冗談ですが、まずこの記事で僕のことを知っていただけたらうれしいです。そのうえで、この作品を字幕版だけでなく、吹替版でも観てみようかなと思っていただけたらいいなと。観てくださった方には、最高の時間を届けられると思いますので、ぜひ楽しみにしてください。 チッチさん 大人になっていくと、夢を見ることを諦めたり、モヤッとする時間が増えてきたりすることもあるかもしれません。でも、この作品を観ることで「いくつになっても夢を見てもいいんだ!」と思っていただきたいです。そして、がんばっている自分にご褒美を与えながら日常を戦い、おばあちゃんになってもずっと夢を持ち続けてほしいなと。私もみなさんと一緒に、日々がんばっていきます。 インタビューを終えてみて…。 劇中のウォンカとヌードルのように、息の合った楽しいやりとりを見せてくださった花村さんとチッチさん。いろんな夢を叶えながらも、つねに新しい夢に向かって全力なおふたりだからこそ、言葉にも説得力があると感じました。これからの活躍も楽しみなところですが、まずは本作でおふたりの素敵な歌声とハマり役の吹替を堪能してください。 夢と感動が詰まった魔法のような時間に心が躍る! どんなときでも、いくつになっても、夢を見続けることでしか得られない喜びと幸せがあることを教えてくれるウィリー・ウォンカ。その姿に、「自分のなかにも譲れない夢がある!」と気持ちが高まるのを感じるはずです。チョコレートのような甘い歌声にも、心がとろける至福のときを味わってみては? 写真・園山友基(花村想太、セントチヒロ・チッチ) 取材、文・志村昌美 ストーリー 幼い頃から、いつか母と一緒に美味しいチョコレートの店を作ろうと夢見ていたウォンカ。亡き母との夢を叶えると決めたウォンカは、一流のチョコレート職人が集まるチョコレートの町へと向かうと、“魔法のチョコレート”で一躍人気者となる。 しかし、そこは夢を見ることを禁じられた町であり、ウォンカの才能を妬んだチョコレート組合3人組にも目をつけられてしまう。さらに、ウォンカのチョコを盗むウンパルンパという小さな紳士も現れたから、さあ大変! 相棒となる少女ヌードルと出会ったウォンカは、無事に世界一のチョコレート店を作ることができるのか? 胸が高鳴る予告編はこちら! 作品情報 『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』全国公開中配給:ワーナー・ブラザース映画 (C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. 写真・園山友基(花村想太、セントチヒロ・チッチ) https://ananweb.jp/anew/520062/ Source: ananweb

  • 2023.11.18

韓国の国民的女優キム・ヒャンギも驚いた、シン・ヒョンスンの意外な過去「無謀だと反対された」 | ananweb – マガジンハウス

大ヒットドラマ『愛の不時着』と『梨泰院クラス』の制作陣が生んだ、Hulu初のオリジナル韓国ドラマ『プレイ・プリ』。配信はスタートしたばかりですが、素顔を隠している女子大生と超人気アイドルによる“ワケありラブストーリー”は、すでに大きな注目を集めています。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。 キム・ヒャンギさん & シン・ヒョンスンさん 【映画、ときどき私】 vol. 617 平凡な女子大生でありながら、登録者数10万人を誇る「プリ」という名の人気覆面シンガーとして裏の顔を持つハンジュを演じるキム・ヒャンギさん。天才子役として活躍したのち、『神と共に』シリーズなどの話題作に数多く出演し、いまでは“韓国の国民的女優”とも呼ばれている存在です。 その相手役を務めるのは、天性のカリスマ性を持つ超人気アイドルのドグクを演じるシン・ヒョンスンさん。2020年カカオエンターテインメントが開催した新人俳優統合オーディションでは、5000倍もの競争率を勝ち抜いて優勝しており、華やかなデビューを飾った“ライジングスター”とされている若手の注目株です。 本作では、そんな2人が初共演を果たし、誰にも言えない秘密の恋が展開されています。そこで、役作りで苦労したことや知られざる一面、そして日本の好きな音楽などについて語っていただきました。 最大のミッションは、ギターの演奏だった ―今回はおふたりともドラマ初歌唱に挑戦されていますが、事前にどのような準備をされましたか? ヒャンギさん この役を演じるうえで最大のミッションだったのは、ギターの演奏ですね。というのも、私はこれまで楽器を扱ったことがないんですよ。しかも、出演が決まってから撮影まで準備をする時間的な余裕があまりなかったので、そういう意味でもとても心配でした。 とはいえ、何とかしたいという思いは強かったので、撮影中でも休みがあればとにかく練習。おかげでいろんなコードを覚えましたが、「楽器を弾くというのは本当に難しいことなんだな」としみじみと実感しました。 ―そんなことを感じさせない素敵な演奏でした。ヒョンスンさんも歌がお上手でしたが、もともと得意だったのでしょうか。 ヒョンスンさん 歌は前から好きでした。といっても、上手いかどうかはわかりませんが(笑)。今回は、ギターの練習だけでなく、歌もダンスもあったので、1つ1つをやり遂げるような気持ちで準備していました。僕としては、ゲームのステージを順番にクリアしていくような感覚でしたね。準備期間が短くて大変ではありましたが、そういうミッションを乗り越えるために、がんばって練習しました。 これからもっと素顔を知っていきたい ―共演してみて気が付いた相手の素顔や驚いたことなどがあれば、教えてください。 ヒョンスンさん 今回は撮影期間があまり長くなかったので、ヒャンギさんの意外な一面を知るには時間が足りなかったなと。なので、これから知っていけたらいいなと思っています。 ヒャンギさん 私もヒョンスンさんについてはまだまだ知らないことが多いですが、そのなかでも意外だなと感じたことはありました。初めてお会いしたとき、外見的なイメージが自分の気持ちを隠すことなくありのまま表現するタイプのドグクとぴったり合っているなと思ったんです。でも、実際のシンさんはすごく慎重な性格で、内気なところがある方なので、そこは驚きました。 ヒョンスンさん まさにその通りです(笑)。よく見ていますね。 強い憧れがあったから諦めずに続けられた ―さすがヒャンギさんですね。本作ではハンジュやドグクが自分のやりたいことに向き合う姿も描かれていますが、おふたりも夢を叶えるまでに苦労したり、周りから反対されたりしたことはありますか?  ヒョンスンさん 実は高校生の頃、僕は太っていたんですよ。なので、演技をしたいと考えていることを話したら、周りから「そんな体型では無謀だね」と言われてしまったこともありました。しかも、僕は小心者で、人前に出るのも怖がっていたようなタイプ。それだけに、俳優を目指すことをみんなから疑問に思われていました。 ヒャンギさん そうだったんですね。 ―とても意外な過去ですが、そんななかでも夢を諦めずに続けられたのはなぜですか? ヒョンスンさん 俳優の仕事が楽しそうに見えましたし、とてもかっこよかったので憧れが強かったというのはありました。ただ、なかなか体重を減らせなかったので、痩せるまでが一番つらくて大変でしたね(笑)。 混乱した時期もあったけど、いまは演技が楽しい ―ヒャンギさんは23歳の若さにもかかわらず、キャリアはすでに20年ほどになりますが、その間にも挫折を経験されたこともあったのでしょうか。 ヒャンギさん 私の場合は、夢とは何かを理解していないうちから仕事をしていたので、ある意味それが長所であり短所でもあるかもしれません。ただ、まったく何もわからない状況のなかで、自分が得意としているものを周りが発見してくれたのは、ありがたいことだったなと感じています。 それでも、徐々に自我が芽生えてきたときに「俳優はあなたの仕事です」と言われるようになったり、周りから芸能人として見られたりすることに混乱してしまったことも…。演技が好きで俳優をしている自分と、芸能人として顔を知られている自分、そして日常生活をしている自分との間に“解離現象”のようなものが出てつらいと感じることもありました。でも、いまは演技をするのが楽しくてしょうがないと感じるくらい好きなので、これからも俳優を続けていきたいです。 日本では自分の計画通りに楽しんでみたい ―順調に見えていても、そういった思いも経験されていたんですね。では、日本についてもおうかがしますが、日本にまつわるエピソードはありますか? ヒャンギさん 子どもの頃から休みがあると、日本にはよく遊びに行っていました。各地にある美術館を訪れたり、キレイな建物を見学したりするのが私の日本での楽しみです。あと、これはほとんどの韓国人に言えることですが、子どものころから大好きな日本のアニメーションや漫画を見て育ちました。 ヒョンスンさん 僕はまだ日本には行ったことがありませんが、実は行くつもりで計画まで立てていたことがありました。そのときは撮影と重なってしまって実現できなかったので、ぜひ日本に行って自分が立てた計画通りに楽しみたいです。 ―ちなみに、どんなことをしたいと考えていたのでしょうか。 ヒョンスンさん まずはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行って、夕方は『深夜食堂』に出てくるようなお店で生ビールを飲みながらおいしいものを食べたいなと思っていました。計画の大半が、食べ物に関するものですね(笑)。 この作品を観ているときは癒しを感じてほしい ―とてもいい計画ですね。本作は音楽がテーマのドラマですが、いまハマっている音楽などがあれば、教えてください。 ヒャンギさん 私が最近よく聞いているのは、韓国の歌手ホ・フェギョンさんの「My Dear Love」とユン・ジヨンさんの「tomotomo」。あと、このドラマに出演することになってから聴くようになったのは、あいみょんさんの「マリーゴールド」や「ハルノヒ」です。 シンさん 僕は韓国の歌手OOHYOさんの「Dandelion」という曲を聴くと、とても癒されます。日本の曲だと、米津玄師さんの「Lemon」が好きです。 ―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。 ヒャンギさん 私もみなさんと同じ働く女性として伝えたいのは、「健康で仕事ができるように、まずは体力をつけてください。そしてお互いに努力してがんばりましょう」ということです。それから、この作品でみなさんが癒しを感じていただけたらうれしいなと思います。とにかく、みなさん元気でいてください。 ヒョンスンさん このドラマでも描いているように、無謀な挑戦はしていいと考えていますし、挑戦する人を僕たちはいつも応援しています。『プレイ・プリ』を観ているときだけは、みなさんにとっての休息時間になったらいいなと思っています。 インタビューを終えてみて…。 とても穏やかで、癒し系のオーラを放っているヒャンギさんとヒョンスンさん。控えめで仲睦まじいおふたりの様子にも、思わずほっこりとしました。まだまだ若いおふたりですが、いろんな葛藤を乗り越えてきたからこそ、内に秘めた強さも感じたので、今後さらなる活躍を楽しみにしたいです。本作では、息の合ったやりとりをお楽しみください。 最高にキュートな2人から目が離せない! 心に響く音楽に乗せて盛り上がりを見せる秘密の恋だけでなく、笑いありドキドキの三角関係もありの王道ラブコメディ。不器用ながら夢にも恋愛にも一生懸命な2人の姿に、胸がキュンとなるこの冬オススメのドラマシリーズです。 取材、文・志村昌美 ストーリー 大学に通いながらバイトに明け暮れる日々を送っていた普通の女子大生ハンジュ。平凡で安定した人生を手に入れるために、大手企業への就職を目指して就活に励んでいる。しかし、裏では「プリ」という名前でカバー楽曲を SNSにアップし、顔も本名も年齢も隠したままひそかに歌手への夢を育んでいた。 いっぽう、人気グループ「セズ」のビジュアル担当“レビ”として活躍するアイドルのドグク。事務所との契約終了を控えて、ソロアルバムを出そうとしていた。そこで、プリに憧れていたドグクは、プリを捜し出すことを決意する。プリの正体を突き止めるため、ドグクは大学に潜入するが、2人は最悪な出会いを果たすのだった…。 続きが気になる予告編はこちら! 作品情報 Huluオリジナル『プレイ・プリ』Huluにて独占配信中 https://ananweb.jp/anew/517114/ Source: ananweb

  • 2023.11.10

「三吉彩花さんはアジアでも条件が揃っているまれな女優」韓国の気鋭監督が絶賛する理由 – 写真・園山友基(三吉彩花、チャン監督) | ananweb – マガジンハウス

大ヒット作『梨泰院クラス』の原作を生み出したことで知られる韓国のKakaoから、新たに誕生した話題のWebコミック「ナックルガール」がついに実写映画化。Amazonスタジオ製作による初の日韓共同作品としても注目を集めている本作には、豪華日本人キャストと気鋭の韓国人クリエイターが集結しています。そこで、誰よりも裏側を知るこちらの方々にお話をうかがってきました。 三吉彩花さん & チャン監督 【映画、ときどき私】 vol. 616 主演に抜擢されたのは、モデルや俳優として幅広く活躍し、中国圏でも高い人気を誇る三吉さん。劇中では、謎の犯罪組織にさらわれた妹を救うために命懸けで戦うボクサーの蘭を演じています。 本作でタッグを組んだのは、心温まる感動作からアクションまで幅広く手掛け、韓国でも注目のチャン監督です。今回は、日本とは異なる現場の様子や過酷なトレーニング内容、夢を実現するための秘訣などについて語っていただきました。 ―チャン監督といえば、これまでにジャッキー・チェンさんがプロデュースしたアクション映画の監督を務めたこともありますが、そんな監督から見た三吉さんのアクションが持つ魅力について教えてください。 チャン監督 まず、三吉さんはアクションに向いている体格を持っていらっしゃる方だと思いました。こういったフィジカル的な条件を満たしている女優さんというのは、アジアのなかでも非常にまれなこと。今後の日本映画界にとって、三吉さんは素晴らしい資産になるだろうと感じたほどです。 それと、演技力が安定しているというのも大きいですね。というのも、演技力がない俳優というのは、そもそもアクションには向いていませんから。今回の映画では、そういった三吉さんの魅力を存分に感じることができる内容になっていると思います。 基礎トレーニングを毎日継続する難しさを知った ―劇中で披露されている三吉さんの肉体美を見るだけで、過酷なトレーニングをされていたことが伝わってきましたが、クランクインの半年ほど前からかなりハードなメニューをこなされていたとか。 三吉さん 普段、体型維持という意味での運動は定期的にしていますが、合宿のようにあそこまでハードに練習したのは初めてのこと。特に、アクションの立ち回りやボクシングのための基礎的なトレーニングをする時間がすごく長かったんですが、それを毎日継続するのがいかに難しいのかを知りました。 でも、現場で新しい動きが出てきても、焦ることなく落ち着いて取り組めたのは、きちんと基礎ができていたからこそ。続けることは本当に大変ではありましたが、それがなければ今回のアクションは成立していなかったので、とても勉強になりました。 ―そのなかでも、きつかったトレーニングはどんなメニューでしたか? 三吉さん それは、毎日していたでんぐり返しですね。前や後ろだけでなく横とかいろんな方向からしていましたし、逆立ちしてから転がってもいたので、とにかくつらかったです…。だって、学校を卒業してから、でんぐり返しをすることなんてありませんでしたから! トレーニングが終わったあとは、足元が小鹿みたいになっていたほどです(笑)。 日本の俳優さんたちのスタンスには感動を覚えた ―すごいですね。また、本作には三吉さんのほかにもさまざまなキャストが出演していますが、日本の俳優陣に対してはどのような印象を持たれましたか? チャン監督 日本の俳優さんは事前の準備が非常に徹底していますし、自分の役に対して真摯に向き合っているので、のめり込むようなスタンスがあるように感じました。もちろん、ほかの国の俳優さんたちにもそういう面はありますが、日本の俳優さんには独特なアプローチ方法があるように見えて感動を覚えたほどです。うまく言葉で説明できないのですが、僕の目にはそれが新鮮でポジティブに映りましたし、自分にとっても大きな原動力となりました。 ―三吉さんは韓国人クリエイターの方々とお仕事をされてみて、いかがでしたか? 三吉さん 私はもともと韓国の音楽や文化にすごく興味があって、旅行や仕事でよく韓国に行っているので、このコラボレーションが実現したことは私にとっても意味のあることでした。日本と韓国のクリエイティブチームが意見を交わしたからこそ、より良いものを作り上けることができたと感じています。 韓国スタッフの方々に救われた部分もたくさんありましたし、いままで経験したことのない作り方やコミュニケーションの取り方も学べたので、得るものがたくさんありました。 勉強していた韓国語を現場で生かすことができた ―三吉さんは韓国語がかなりおわかりになるようですが、この現場で習得したのでしょうか。 三吉さん 韓国語に関しては、実はずっと前から勉強していました。現場で細かいニュアンスについて話し合うときは通訳さんに入っていただくこともありましたが、みんなでご飯を食べるときなど、日常会話は直接話すことができたので生かせてよかったです。 ―ちなみに、韓国にはいつ頃から興味を持っていたのですか? 三吉さん 13歳くらいのときに韓国の音楽を好きになったのが最初で、そこから文化やファッションにも興味を持つようになったのがきっかけです。普段、家で韓国のドラマやバラエティーを観ているのですが、いつか自分も仕事として関わってみたいなという気持ちは強くなっています。 みんなで一緒に食事ができる機会が多くて楽しかった ―撮影中やオフのときなどで、思い出に残っていることはありますか? チャン監督 三吉さんが「スンデ」という豚のホルモンを詰めて蒸した韓国料理が大好きでよく食べていたのを覚えています(笑)。今回は、みんなで一緒に食事をする機会がたくさんあって、本当に楽しかったです!  三吉さん そうですね。私が韓国ですごくいい文化だなと思っているのは、休憩時間を一斉に取って温かいご飯をみんなで一緒に食べること。撮影が終わってからも、みんなで食事に行ったほどです。韓国の方は乾杯の回数がすごく多いですが、そのおかげでチームワークもどんどん良くなった気がします(笑)。 自分がしたいと思っていることは、なるべく周りに話す ―素敵な習慣ですね。以前、三吉さんに取材をさせていただいた際、「最終的にはハリウッドを目指しているが、まずはアジアで活躍できるようになりたい」とおっしゃっていましたが、まさに有言実行ですごいなと。夢を実現するうえで必要なことやご自身が実践していることがあれば、教えてください。 三吉さん 私は言霊を信じるタイプなので、自分がしたいと思ったことをなるべく周りの人に話すようにしています。というのも、「本当は何を考えているのか」とか「どういうことをしたいと思っているのか」といったことはなかなか見えにくい部分でもありますから。興味を持っていることを話しているうちに、少しずつそれに近づける機会をいただけるようになっていくんだなと実感しているところです。 あと、私自身は「知らないところに飛び込んで冒険をしたい」という好奇心が強いので、機会があればまずは1回挑戦するようにしています。そのうえで意識しているのは、“なりたい自分”がブレないようにすることです。 大事なのは、ふたたび這い上がって一歩を踏み出すこと ―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。 チャン監督 僕たちが作った『ナックルガール』は、若者たちの無鉄砲さを描いた作品でもあるので、一種の青春モノとして観ていただければと思っています。人は年を取るとすべてのことに対して慎重になってしまい、何事にも果敢に挑むことができなくなってしまうものですが、そういうときこそ計算せずに前に突破してもらえたらなと。 日本でも韓国でも、いまの若い人たちにはそういったチャレンジ精神が足りなくなっているように感じています。でも、若い時期というのは2度と来ないので、みなさんにも青春を存分に楽しんでもらいたいです。 三吉さん いろんな悩みを抱えるなかで、前に進む気力も元気もなくなってしまうときってありますよね。そういうときは立ち止まっても、ひたすら落ち込んでもいいと思います。でも、そのあとに大事なのはふたたび這い上がって一歩を踏み出すこと。人によってスピード感も経験してきたものも違いますが、20代や30代はまだまだ可能性も無限大ですから。自分の芯みたいなものを忘れなければ、絶対に大丈夫です。 表に感情を出すのが苦手な方でも、闘争心や悔しさを内に秘めていて爆発させたいという気持ちはあると思います。ただ、それがうまく出せないのであれば、この作品がみなさんを駆り立てて、背中を押してくれるはずです。正直に言うと、撮影中は戦ってばかりいたので、そんなことを考える余裕はありませんでした(笑)。でも、完成した作品を観たときにそういうことをすごく感じたので、ぜひみなさんにもそのメッセージは受け取ってほしいです。 インタビューを終えてみて…。 圧倒的な美しさを見せる三吉さんとお茶目で明るいチャン監督。終始和気あいあいとした雰囲気のおふたりからは、言葉や文化の違いを超えていい関係性が出来上がっているのが伝わってきました。ぜひ、おふたりが作品に込めた思いも感じてください。 戦闘モード全開で、新たな自分が覚醒する! 次々と繰り広げられる衝撃的なアクションと、スピード感のあるストーリー展開から目が離せなくなる本作。アドレナリン全開で突き進む主人公の生き様は、観る者の気持ちを高ぶらせ、閉じ込めていた思いも解放させてくれるはずです。 写真・園山友基(三吉彩花、チャン監督) 取材、文・志村昌美 ストーリー ボクサーとして高みを目指していた橘蘭のもとに、ある日突然、大切な妹が失踪して自殺したという知らせが警察から届く。しかし、警察の検視結果を信じることができない蘭は、独自の調査を開始。そして、巨大な犯罪組織と「ガレージ」と呼ばれるルール無用のコロッセオが事件に関係していることを突き止める。 人を死に至らしめるほどの暴力が横行する犯罪組織に、「何が何でも絶対闘う」と決意した蘭。大切なグローブの代わりにナックルをはめた蘭は、元恋人と頭脳明晰な天才ハッカーの協力を得ながら、妹を救うべく命をかけた闘いに挑んでゆくことに…。 興奮に包まれる予告編はこちら! 作品情報 『ナックルガール』Prime Videoにて世界独占配信中 (C)2023 Amazon Content Services LLC or its Affiliates 写真・園山友基(三吉彩花、チャン監督) https://ananweb.jp/anew/515475/ Source: ananweb

  • 2023.10.27

チ・チャンウクが明かすウィ・ハジュンとイム・セミとの関係「こんなに違うのに仲がいいから不思議」 – 写真・園山友基(チ・チャンウク、ウィ・ハジュン、イム・セミ) | ananweb – マガジンハウス

さまざまなヒット作を輩出している韓国ドラマ界から新たに誕生した話題作といえば、現在ディズニープラス スターで独占配信中の『最悪の悪』。見どころ満載のクライムアクション・ドラマとして、大きな反響を呼んでいます。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。 チ・チャンウクさん、ウィ・ハジュンさん、イム・セミさん 【映画、ときどき私】 vol. 609 1990年代の韓国を舞台に、江南と中国、そして日本の麻薬密売に関わる捜査の裏側をスリリングに描いた本作。ある犯罪組織に潜入捜査をすることになった田舎の刑事パク・ジュンモを演じているのは、『ヒーラー~最高の恋人~』などで知られ、”ロマンスの名手”として人気のチ・チャンウクさん(写真・中央)。対する犯罪組織のリーダーで元DJのチョン・ギチョルには『イカゲーム』で一躍ブレイクを果たしたウィ・ハジュンさん(左)、さらにジュンモの妻で麻薬保安官のユ・ウィジョンには韓国の実力派俳優イム・セミさん(右)が出演しています。 今回は、現場の様子や共演者が知る意外な一面、そして日本の好きなところなどについて、語っていただきました。 ―前半で山場のひとつといえば、ジュンモとギチョルが初めて対峙するシーンですが、特にチ・チャンウクさんとウィ・ハジュンさんの表情や目の動きが素晴らしかったです。おふたりのなかでも、駆け引きなどがあったのでしょうか。 チ・チャンウクさん あのシーンに関しては、監督やアクション監督をはじめスタッフの方々が事前にいろんなことを計画的に決めてくれていました。なので、僕たちは現場であれこれ悩む必要はなく、感じたことを少しずつ入れながら修正を加えていくだけだったと思います。 本当に面白い構図で組み立ててくださっていたので、2人が対面する様子を最大限に表現することができました。そういったこともあって、個人的にはあのシーンの撮影がとても楽しかったです。 ウィ・ハジュンさん 実は、ジュンモとギチョルが初対面するシーンは、僕たちにとっても初めての撮影だったんですよ。 視線がぶつかり合い、強烈な映像を撮ることができた ―そういう状況も相まって、あの緊迫感が生み出されていたんですね。 ウィ・ハジュンさん 僕もチ・チャンウクさんと同じように特別な計算や準備をすることなく、ギチョルに入り込むことだけを考えて現場にいました。そのなかでも意識したのは、チャンウクさんの目をひたすらじっと見つめること。そうすることで、自然とギチョルになることができました。 あのシーンでは、お互いの視線がぶつかり合っていたこともあり、強烈な映像が撮れたと思っています。たくさんのことを学び、エネルギーをもらうことができたので、いまは撮影現場が恋しいです。 ―そんなお二人の間にいたイム・セミさんは、現場で意識されていたことはありましたか? イム・セミさん 男性のほうが多い現場でしたが、性別に関係なく、「同じ演技をする仲間」という感覚のほうが強かったので、むしろすごく楽だったなと思っています。今回、私は男性陣のようにアクションシーンに関わることはありませんでしたが、みんなにより近づきたいと思っていたので、自分が出ていないシーンでも現場には行くようにしました。 そうすることで自分も組織の一員であるかのような気持ちになれたので、それもよかったのかなと。俳優同士がお互いに心配りをし合えたからこそ、できたことは多かったと思います。 3人でいると、ケミストリーが生まれるの感じる ―なるほど。劇中では、イム・セミさん演じるジュンモを巡って、3人が複雑な関係となりますが、普段のみなさんはいかがですか?  チ・チャンウクさん 僕が感じているのは、どうしてこの3人はこんなにも性格が違って、すべてがバラバラなんだろうということです(笑)。 ウィ・ハジュンさん あはは!  チ・チャンウクさん でも、それなのにこんなに仲がいいから不思議ですよね。 イム・セミさん 確かにそうですね。 チ・チャンウクさん 3人のなかで特に役割的なものはなく、一緒にいるだけでとても楽しいので、それによってシナジー効果やケミストリーが生まれているように感じています。 ―素敵な関係性ですね。ちなみに、このなかで意外な素顔をお持ちの方がいれば、教えてください。 チ・チャンウクさん みなさんは僕たちの意外な一面というのが意外と気になるみたいですね(笑)。 ウィ・ハジュンさん これは結構よく聞かれることですよね。 チ・チャンウクさん みなさんがどう見ているのかわかりませんが、おそらくこの3人のなかだったらイム・セミさんが一番意外な面が多いんじゃないかな。というのも、どちらかというと物静かなタイプに見えるかもしれないですが、実はすごくアクティブ。マラソンをしたり、自然環境のための運動をしたり、さまざまな啓蒙活動にも取り組んでいるんですよ。人々にいろんなメッセージを伝えたいという情熱をすごく持っている方だと思います。 日本の伝統的な部分にも、興味を向けていきたい ―幅広い活動をされていてすごいですね。では、日本に対しての印象や好きなカルチャーなどについてもお聞かせください。 チ・チャンウクさん 日本といえば、僕はいつもアニメーションを楽しんでいます。あと、最近観た作品で面白かったのは、ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』。ほかにも『ドライブ・マイ・カー』など日本にはいい作品が多いですし、一緒に仕事をしたい監督はたくさんいます。 イム・セミさん 私も日本のアニメーションが大好きで、宮崎駿監督の『となりのトトロ』を観たときには、「こんな世界があるんだ。なんて愛らしいんだろう」と夢見たのを覚えています。 ウィ・ハジュンさん 僕は世界的な監督である是枝裕和監督の『そして父になる』などが好きで、人間の描写が素晴らしいと感じています。いつか、そういった“人間の匂い”がするような作品でご一緒できる機会があればうれしいなと思っています。 チ・チャンウクさん あとは、やっぱりおいしいお店がたくさんあるところや気持ちのいいスパがあるのも魅力ですよね。僕は日本には旅行でもよく来ているので、いまやなじみのある国ですが、本当にいい印象を持っています。 ウィ・ハジュンさん 確かに、僕もおいしいお店がいっぱいあるところは好きですね。ほかにも、日本のストリートファッションがすごく素敵だなと思って見ています。 イム・セミさん それから日本には豊かな自然があるので、そういうところでキャンプをしたり、お散歩したり、日本的な旅館に泊まったりできたらいいなと。以前は、東京や大阪のような華やかでキラキラしている大都会を訪れることが多かったですが、最近は自然のほうに関心を持つようになりました。これからは日本の伝統的な部分にも興味を向けたいなと思っています。 ベストを尽くした作品を楽しんでほしい ―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。 チ・チャンウクさん 今回、僕たちは『最悪の悪』という作品のために日本を訪れました。みんなでベストを尽くして撮った作品なので、みなさんにも楽しんでいただけたら、僕たちもうれしいです。 ウィ・ハジュンさん 日本のファンのみなさんと会うことができて、とてもいい思い出になりました。ぜひ、この作品を愛していただけたらと思っています。 イム・セミさん 信号ですれ違った人とでもいいので、「『最悪の悪』ってドラマ面白かったよね!」と言い合っていただきたいです(笑)。 インタビューを終えてみて…。 劇中では緊張感が張り詰める関係性にいる3人ですが、実際はとても仲が良く、和気あいあいとした雰囲気が漂っていました。お互いをリスペクトし合っているからこそ本気でぶつかり合うことができ、数々の名シーンが生まれたのも納得です。みなさんがいつか日本の作品とコラボする日が来るのを楽しみにしたいと思います。 過激でスタイリッシュな映像に魅了される! 圧巻のアクションシーンだけでなく、怒涛の展開と洗練されたストーリーで観客を一気に引き込む本シリーズ。交錯する人間模様のなかで、”最悪の悪“とは一体誰のことなのか。最後の最後までスリル満点で、目が離せなくなること間違いなし! 写真・園山友基(チ・チャンウク、ウィ・ハジュン、イム・セミ) 取材、文・志村昌美 ストーリー 1995 年、韓国から日本へ流れる麻薬密売の情報が入り、犯罪組織を解体するために韓国と日本が合同捜査に乗り出す。そんななか、田舎町の刑事ジュンモは、昇進のために江南連合へ潜入捜査することを決意する。 しかし、まさか自分と妻のウィジョン、そして犯罪組織のボスであるギチョルとの複雑な関係に踏み込むことになろうとは考えてもいなかった。逃れられない運命の輪に巻き込まれ、組織に深く入り込んでしまったジュンモは、次第に不安を募らせる。任務を完了したとき、彼らは元の生活に戻れるのか…。 衝撃が走る予告編はこちら! 作品情報 『最悪の悪』ディズニープラス スターにて独占配信中(全12話/初回一挙3話、4話以降は毎週水曜2話ずつ配信、最終週は3話一挙配信) (C) 2023 Disney and its related entities 写真・園山友基(チ・チャンウク、ウィ・ハジュン、イム・セミ) https://ananweb.jp/anew/509387/ Source: ananweb