神戸健太郎

  • 2023.12.09

富田望生「役に近づけるものがあるなら惜しまずにやらないと」 役作りのセオリー | ananweb – マガジンハウス

朗らかで穏やかな雰囲気と、人懐っこい笑顔。しっかりとした受け答えと丁寧な口調から、誠実な人柄が伝わってくる。多くの同世代俳優がファンを公言するが、さもあらん。愛らしくて、会えば誰もが好きにならずにいられない富田望生さん。 ――現在、舞台『ジャズ大名』の稽古中ですが、いかがですか? 演出の福原(充則)さんとは今回が初めましてなんですけれど“挑戦状”をいただいたような気持ちがして、楽しみだったんです。でも、稽古が始まって最初の本読みで4回くらい心が折れまして。…というのもあまりに怒涛なんです。一応いま、一通り全部の場面をみなさんとセッションしたところなので、その安堵みたいなものはあるんですけれど。 ―― 一体何がそんなに…? ひとりで何役もやるんです。一役終わったと思ったら、次の場面ではまた違う役をやるので、声の調整や体のあたため方が追いつかなくて。なかには男性の役もあったりもして、混乱しちゃったり。でも今は、その混乱を楽しみながらできるようになってきたかなと。 ――それだけ毎回ひとつの役に集中されるからってことですよね? きっとそうなんです。今はこの役だと思っていたら次の役の番が来てしまうので、脳みそがうまく切り替えられなくて。この間福原さんに言われたんですが、私、稽古中に福原さんの話を、役になったまま聞いているらしいんです。男性の役のときは男性になったままなので、「富田さんと話していると笑っちゃいそうになる」と言われました(笑)。 ――でもそうなると、同時に複数の作品を並行して撮っているときなどが大変そうですが、そちらの切り替えはできるんですか? 最初の頃は絶対無理だと思っていましたが、だいぶ慣れました。今も、朝、別の現場でドラマを撮って、昼過ぎに稽古場に来ていますが、来ると不思議と落ち着くんです。仮のセットが組まれた稽古場のフロアに寝て、みんなと「おはよう」って挨拶していると、ホームに戻ってきた気持ちになるんです。毎日、同じメンバーで顔を合わせていると、みなさんが同志みたいに思えて「こっから創作の時間だ」ってワクワクします。 ――切り替えのスイッチみたいなものはあるんですか? 人に会うことです。現場に入り、ヘアメイクしてもらったり、衣装を着たりしている時間がそのタイミングです。自分でも、意外とそこで切り替えできるんだなって。 ――舞台はどうですか? 同じ場面を何度も演じるわけですが。 私はご褒美だと思っています。こんなにひとつの場面をじっくり何度もやれるなんてすごく贅沢なことだと思っています。本番に入ってからも、昼公演と夜公演、初日と中日と千秋楽でも、馴染むというか変わるというか…感覚があるみたいです。私は一生懸命やっているのみで、先輩方に「馴染んできたね」と言っていただいて、そうなのかなと思うくらいの段階ですけれど。本番が始まってからも演出家の方から細かく修正点をいただくこともあって、次の日にそれを生かせるステージがあるということが贅沢で、それが舞台の魅力なのかなと。今は年に1本はやっていけたらと思っています。 ――役に入り込むタイプだと、確かに今回の作品は大変そうです。 大変ですが、それも新たな挑戦で、これを経たら切り替えが早くなるかもしれないと思っています。これまで舞台のお芝居は、みんなで意見を持ち寄って細かく話し合って役を突き詰めていくイメージだったんですけれど、今回はどちらかというとパッションでやっていく作品なのかなと感じています。 ――これまで、じっくり考えて役を作っていくタイプだったと思うのですが、今回の作品に向き合うことで変化は感じていますか? 今はわからないけれど、とにかくやれることをやってみようって感じです。考えるより先にまずは体を動かしてみる、ということが今回は多いです。「ここの場面でこう見て」とか、「ここでは大きくしゃべってみて」と言われて、まずはその通りにやってみる。これまで、あまりそういう演劇的なアプローチでお芝居をしたことがなかったんですが、今回に関しては、福原さんからいただくヒントに思い切って乗っかって、わかりやすくお客さんに伝えていくことが必要なのかなと思っています。自分の役を深く深く追求することより先に、この場面での自分が果たすべき目的は何かをまず考えて、それをどう伝えるかっていうことを、求められているのかなと。 ――でも普段の作品では、それだけ役を丁寧に読み解いて演じられているということでもあります。富田さんなりの、役作りのセオリーのようなものはありますか? 役に近づけるものがあるなら惜しまずにやらないとっていう、それだけです。よく、「なんでそんなに痩せられるんですか」「そんなに太れるんですか」と聞かれますが、自分がやらないと気が済まないというだけです。何かやっていないと不安になる性格で。そんなことをしなくても役にアプローチできる方はたくさんいらっしゃるけれど、私はそれができないだけで。見た目だけでも役に近づける要素があるならとりあえず試してみたいんです。これをやれば必ず見つかるって確かなものはないけれど、その過程で何か染み付いたものがきっとあると信じたい。その過程が大事だとデビュー作で教えてもらったので。 ――デビュー作の映画『ソロモンの偽証』で、役に近づくために体重を増やして臨んだのは有名な話です。ただ、気持ちの上でどうしても理解できない役もあるかと…。 確かに普段から憎んだりするのはしたくないですが、台本を読んで役としてその場に行くと、自然と憎い感情が出てくるんですよね。 ――その感情を準備しておく? 事前に台本は読みますけれど、基本的に何かを固めすぎて現場に行っちゃうと、相手が自分の想像と違うことをしたときに噛み合わなくなるので。だから台本からは、このシーンが何を伝えたいのか、言葉をどう届けたいのかっていうことを読み取って、あとはなるべく現場で、相手から受け取ったものを返すようにしています。 とみた・みう 2000年2月25日生まれ、福島県出身。’15年に映画『ソロモンの偽証』でデビュー。ドラマ『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』、連続テレビ小説『なつぞら』などの話題作に出演。’18年『ハングマン‐HANGMEN‐』(演出:長塚圭史)で舞台初出演。現在、ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)、連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)に出演中。 舞台『ジャズ大名』は、筒井康隆による時代小説が原作。幕末に黒人奴隷を乗せたアメリカの船が漂着し、彼らの奏でる音楽の虜になった小藩を描いた物語。12月9日(土)~24日(日)KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉にて上演。地方公演もあり。出演はほかに、千葉雄大さん、藤井隆さんなど。チケットかながわ TEL:0570・015・415(10:00~18:00) ※『anan』2023年12月13日号より。写真・神戸健太郎 スタイリスト・阪上秀平 ヘア&メイク・千葉万理子 インタビュー、文・望月リサ (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/520425/ Source: ananweb

  • 2023.11.05

“奇跡の35歳”チョン・ヘイン「若く見せるのではなく、若く生きるように努力している」 | ananweb – マガジンハウス

愛らしい顔立ちと鍛え上げられた肉体から、“奇跡の35歳”と称され、世界中のファンを魅了する韓国人俳優チョン・ヘインさんがananに初登場。その“奇跡”を創るための日々の体づくりや役との向き合い方を伺いました。 運動より食事が大事。普段の食生活はかなりストイックです。 35歳とは思えないほど愛らしい顔立ちに、鋼のように鍛え上げられた肉体。そのギャップで世界中の多くのファンを魅了する、チョン・ヘインさん。実際よりかなり若く見えるヘインさんにその秘訣を尋ねてみると「若く見せるのではなく、若く生きるように努力している」との答え。 「ものの考え方や捉え方など、自分が若く生きられる努力を常日頃から心がけています。運動も毎日していますし、口に入れるものにも気をつけています。朝は起きぬけの空腹時に乳酸菌と抗酸化ビタミンを摂って、食事は1日2回。昼と夜に食べるようにして、14時間から16時間くらいは空腹を維持しています。お酒は習慣としては飲まず、飲むのは本当に必要な時だけ。あとはお水を1日に1.5Lは飲みます。ただ、塩分を長く体にとどめるのはよくないので、食事で塩分を摂りすぎたと感じたら、そのぶん水分の量を増やして、できるだけ早く排出するようにしています。こうして話してみると、本当に基本的なことしかしていないんですが、これを全部守るのは案外大変なんですよ」 ドラマ『D.P.‐脱走兵追跡官‐』では元ボクサーの兵役軍人アン・ジュノ役が話題に。ボクシング経験があるという役柄上、説得力のある肉体が求められたが、日頃の運動のおかげで肉体づくりも完璧。 「家に運動のための部屋をひとつ作って、そこにウェイトトレーニング用の器具を置いて、毎日押したり引いたりしています(笑)。ボクシングみたいに特殊なスキルが必要な時は3か月くらい練習すれば大体スムーズに動けるようになりますね。僕としては『D.P.』より『スノードロップ』のほうが大変でした。こちらも同じく軍人役でしたが、特殊部隊出身のスパイという役だったので、当時は午前2~3時まで撮影をし、やっと3時間寝られる…という日々でしたが、貴重な睡眠時間を削ってトレーニングしていました。それだけでなく撮影現場に懸垂バーやダンベルを持ち込み、暇さえあれば体を動かしていたので、今思えばかなり追い込まれていましたね。今はオフシーズンなので、当時に比べると体もだいぶ戻りました」 そんなヘインさんが、運動以上に重要視しているのが食事。 「体を動かすのは好きなので毎日運動することは苦になりませんが、運動以上に大事なのが食事なんです。僕は食べたいものを心の中にストックしておいて、たまにそれを消化するくらいで、普段の食生活はストイックだと思います。鶏むね肉をたくさん冷凍保存しておいて、それを焼いたものとサラダにドレッシングをかけて食べることが多いです。だから僕の場合、料理というより調理に近いかも(笑)。たまごに牛乳を少し足して、ごま油でスクランブルエッグにしたものをご飯にかけて食べるのも好きですね。タンパク質も摂れて、栄養素的にも優秀です」 もともと運動はしていたけれど、健康のために食事に気をつけるようになったのは、とあるファンからの手紙がきっかけだった。 「がんを患っているというファンの方から、作品を見て元気をもらった、今は治療をがんばっているという手紙をいただいたことがありました。僕が俳優という仕事を始めたのは、ただ演じることが好きで、自分が楽しいからでした。でも、そんな僕の作品がそんなふうに誰かの力になり、幸せを感じてくれる人がいるということを知って、考え方が変わりました。この仕事を長く続けるためにはまず健康でいなくちゃいけない、そのためにできる努力をしようと。だから一日の終わりに疲れを感じると嬉しいんですよ。その日一日、一生懸命に生きた気がして。逆に疲れを感じないと、ちょっと物足りないですね(笑)」 Jung Hae In チョン・ヘイン 1988年4月1日生まれ、韓国・ソウル特別市出身。ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』で注目を集め、『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』で一躍人気に。最新作は主演を務めた『D.P.‐脱走兵追跡官‐』シーズン2。 スニーカー¥22,000(コンバース/コンバースインフォメーションセンター TEL:0120・819・217) ネックレス¥49,500 ブレスレット¥27,500(共にマリハ TEL:03・6459・2572) その他はスタイリスト私物 ※『anan』2023年11月8日号より。写真・神戸健太郎 スタイリスト・鹿野巧真 Ahn Na Hyeon(フィッティング) ヘア・Kim Sung Chan メイク・Lee Soun Yel 取材、文・尹 秀姫 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/514077/ Source: ananweb