芸術

  • 2024.05.05

モフモフ系ワンコぬいや地獄図ステッカーも…! 東京駅エリアで絶対欲しい美術館グッズ | ananweb – マガジンハウス

現在、東京駅エリアで開催中の展覧会を2つピックアップします。静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)の特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」と、アーティゾン美術館の「ブランクーシ 本質を象る」です。それぞれのミュージアムショップで買えるユニークなグッズもご紹介! 特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」 展示室入り口 ※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。 【女子的アートナビ】vol. 332 静嘉堂@丸の内で開かれている本展では、幕末明治期を生きた天才絵師・河鍋暁斎(1831~89)と、探検家や著述家など多彩な才能を持つ松浦武四郎(1818~88)の二人にフォーカス。暁斎の絵画を中心に、武四郎が集めた古物などの文化財や資料も展示しています。 河鍋暁斎は、7歳のとき絵師の歌川国芳に入門。さらに10歳で狩野派の絵師に師事し、40歳前後で絵師としての地位を確立。「画鬼」と呼ばれた絵師で、あらゆるものを描くことができ、出版物の挿絵から写実的な作品まで幅広く手がけ活躍しました。 松浦武四郎は、蝦夷地(北海道)の調査を6回行った探検家で、北海道の名付け親としても知られています。明治新政府から開拓判官に任命されていましたが、政府の政策に反対して職を辞したあと、いっそう古物蒐集に情熱を注ぎました。 武四郎は暁斎の画力を気に入り、自分の出版物に挿絵を依頼。さらに、本展の必見作で今では重要文化財になっている《武四郎涅槃図》も、武四郎が暁斎に注文して描いてもらったものです。 中央:重要文化財 河鍋暁斎《武四郎涅槃図》明治19年(1886) 松浦武四郎記念館蔵 プレス内覧会では、本展の企画を担当した静嘉堂文庫美術館学芸員の吉田恵理さんが、《武四郎涅槃図》について次のように解説しています。 吉田さん 本作品は、武四郎が存命中に自分自身をお釈迦様に見立てて河鍋暁斎に描かせた大胆不敵でユニークな絵画です。作品のなかでは、トレードマークの大首飾りをかけ、幸せそうな顔をして寝ている武四郎の姿が描かれています。武四郎の周りには、彼が集めた観音様のお像やさまざまな彫刻、人形なども描かれています。さらに、本作品のなかに登場する大首飾りや古物の一部も、今回一緒に展示しています。武四郎の理想の世界を存分にお楽しみください。 欲しい…!《地獄極楽めぐり図》ステッカー 河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》 明治2~5年(1869~72) 静嘉堂蔵 ※会期中場面替えあり 本展では、河鍋暁斎の《地獄極楽めぐり図》も展示されています。 本作は、日本橋の小間物問屋・勝田五兵衛の愛娘である田鶴(たつ)の追善供養のために描かれたもの。14歳で亡くなった少女が、地獄を見物したり、閻魔大王と宴会したりしながら極楽にたどり着く奇抜な物語です。現世と同じようにあの世でも楽しく過ごす少女の姿が生き生きと描かれた本作品は、暁斎の代表作のひとつです。 《地獄極楽めぐり図》ステッカー 2種 各¥700 静嘉堂のミュージアムショップでは、この《地獄極楽めぐり図》をモチーフにしたステッカーも販売中。「旅立ち~再会編」と「冥界見物~極楽往生編」の二種類あり、仏様に見守られながら極楽に向かう田鶴のさまざまな姿がステッカーになっています。小さなグッズですが、暁斎の鮮やかな色も再現され、画力の高さが感じ取れます。 「ブランクーシ 本質を象る」 コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》1907-10年、石膏、石橋財団アーティゾン美術館蔵 JR東京駅の八重洲中央口から徒歩5分で行けるアーティゾン美術館では、現在「ブランクーシ 本質を象る」が開かれています。 本展では、ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876~1957)の彫刻作品を中心に、絵画や写真作品も展示。ブランクーシ・エステートをはじめ、国内外から集められた作品約90点が紹介されています。 20世紀彫刻を代表する作家のひとりであるブランクーシは、ブカレスト国立美術学校に学んだあとフランスに渡り、ロダンのアトリエで助手を務めます。しかし約一か月でロダンのもとを離れ、独自の造形を追求して前衛的な作品を生み出し、アメリカなどで高く評価されました。 アーティゾン美術館学芸員の島本英明さんは、本展について次のように解説。 島本さん ブランクーシは、まとまった数の作品を集めるのが簡単ではないアーティストです。今回は国内外の美術館や機関、個人コレクターなどからお借りし、彫刻作品を23点揃えることができました。特に、早い時期の作品が充実しています。また、ブランクーシにとっては写真も大切な要素のひとつでした。彼は自分の作品を写真に撮り、創作を再解釈していました。会場では、彫刻を中心に、関連する写真や絵画をあわせて展示しています。 かわいい…!モフモフ系ワンコのぬいぐるみ アーティゾン美術館ミュージアムショップ 美術館のミュージアムショップでは、本展のオリジナルグッズが充実。アーティゾン美術館が所蔵するブランクーシの傑作《接吻》のグラスやTシャツ、キーホルダーなどもあります。 ぬいぐるみ¥1,650 ちょっと変わり種のグッズは、モフモフ系ワンコのぬいぐるみです。これはブランクーシの愛犬をモチーフに製作されたもので、お顔もキュート。 ブランクーシは「白」にこだわりがあったそうで、アトリエの床も壁も白く、自分の服装も愛犬も白でした。本展の会場では、彼のアトリエをイメージした展示室もあるので、ぜひそちらで「白」へのこだわりも体感してみてください。 Information 特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎 『地獄極楽めぐり図』からリアル武四郎涅槃図まで」会期:2024年4月13日(土)~6月9日(日)場所:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)開館時間:10:00~17:00※土曜日は 18:00、第4水曜日は20:00 閉館※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日、5月7日(火)※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館入館料:一般 ¥ 1,500、大高生 ¥ 1,000、中学生以下無料  「ブランクーシ 本質を象る」会期:2024年3月30日(土)~7月7日(日)場所:アーティゾン美術館(6階展示室)開館時間:10:00~18:00(5月3日を除く金曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日入館料:ウェブ予約チケット¥1,800円、窓口販売チケット¥2,000(予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットをご購入いただけます) 学生無料(高校生以上要ウェブ予約) 同時開催:石橋財団コレクション選(5・4階 展示室)特集コーナー展示 清水多嘉示(4階 展示室) https://ananweb.jp/anew/544100/ Source: ananweb

  • 2024.04.24

アートな街“東京丸の内”に最新アート作品が集結! 無料で楽しめるGW穴場スポット | ananweb – マガジンハウス

東京・丸の内の行幸地下ギャラリーで、若手アーティストの作品が集まる展覧会「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI(アートアワードトーキョーマルノウチ) 2024」が開催。入場無料で最新アートを見られる注目の展覧会をご紹介! 最新アート20点が集結! アートアワードトーキョー丸の内 2023 グランプリ受賞作品 浅野克海「この世界、魂を震わすモノ」 【女子的アートナビ】vol. 333 「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI(アートアワードトーキョーマルノウチ) 2024」(以下、AATM)とは、若手アーティストの発掘・育成を目的とした現代美術の展覧会です。 今年で18回目の開催となるAATMでは、日本全国にある主要な美術大学・芸術大学・大学院18校からノミネートされた147点の作品から選ばれた20点を展示。初日となる4月25日(木)には、グランプリなど各賞が発表され、丸ビル1Fマルキューブで表彰式が行われます。この表彰式は、オープンスペースで開かれるので、誰でも観覧可能です。(詳しい日時は、最後のInformation欄でご確認ください) AATMの会場となる「行幸地下ギャラリー」は、JR東京駅の地下道と直結。地下鉄丸ノ内線の改札を出てすぐの地下通路にあります。まさに駅チカで、しかも入場無料。東京に遊びに来たついでに、気軽に立ち寄れる場所です。 アート界のプロが厳選! 会場イメージ(昨年の様子) 本展で審査員を務めるのは、美術館の学芸員や芸術大学の教授、ギャラリー代表など7名の専門家の方々です。 審査員のひとり、東京都現代美術館 学芸員の藪前 知子さんは、一次審査を終えたあと次のように述べています。「今回の審査では、コロナ禍の特殊な環境の中で制作の第一歩を踏み出さなくてはならなかった世代が、どのように独自の表現に到達しているのかにおのずと注目することになりました。空間の欠落や身体の痛み、外界との違和感が一層研ぎ澄まされているのを感じ、とても刺激を受けました」 ラーメンのアートも…! 磯崎海友《ラーメン依存症》Photo: Takafumi Kato では、今回展示される20作品のなかから、いくつかピックアップしてご紹介していきます。 まずは、依存をテーマにしたユニークな版画作品《ラーメン依存症》。色彩や線のタッチなど、一見するとおしゃれなイラスト風なのですが、ラーメンをわしづかみにして口に含む女性の姿はけっこうグロテスク。シャワーからも水の代わりにラーメンが流れていて、異様な光景です。 作者の磯崎海友さん(多摩美術大学 大学院)は、ご自身の制作について次のよう述べています。「依存を描くことを通して、人の生き様を垣間見る。生きることを見つめる。私にとってはその行為自体がとてもポジティブなことだ。」 本展では依存に関する他の作品も展示予定です。 原ナビィ《ぶっちぎり》 続いては、力強い作品《ぶっちぎり》。げんこつの描写にすごいパワーを感じます。作者の原ナビィさん(東京藝術大学)は、本作について「ぶっちぎりの絵。楽しんで描いた。」とコメントを発表。作品もコメントもインパクトがあります。 山口遼太郎《そら ひかり》 また、本展では、絵画だけでなく立体作品も展示されます。《そら ひかり》は、静謐な雰囲気が漂ってくる不思議な陶芸作品です。制作した山口遼太郎さん(京都市立芸術大学 大学院)のコメントは、次のとおり。「日常に溢れる小さなひかりをモチーフに、陶土で小さく繊細な造形を行った。静かな場所にキラッと何かが光る場面や風景を表現した。」 鈴木晴絵《〈あなたのための森〉積み木のチェック》Photo: 古賀 慧道 次の作品《〈あなたのための森〉積み木のチェック》も立体作品。積み重ねた小さな木材の上に、かわいい木のオブジェがちょこんと乗っていて、素朴なフォルムですが何か惹き付けられます。本展では、版画と立体を組み合わせたインスタレーションによって、素朴さの奥に潜む作家の世界を表現します。 作者の鈴木晴絵さん(女子美術大学 大学院)は、次のような詩的なコメントを寄せています。「事物に意味を付け縛るのは私。それを刻み、複製し、重ね合わせる。いつのまにか私から解放され森になる。あなたのための森」 ※2024年3月卒業・修了時点の大学名を明記しています。 アーティストに質問&感想もシェアできる! また、開催中のアートイベントを見つけられるスマートフォンアプリ「PINTOR(ピントル)」を使えば、本展で展示されている作品の解説を読むことができます。 さらに、作品について質問を投稿すると、アーティストから回答をもらうことも可能(※一部参加作家を除く)。ほかの来場者と感想をシェアすることもでき、より深く楽しいアート体験ができます。 ぜひ会場で! 本展では、全20作品が会場でどのように展示されるのかも見どころのひとつです。ネットの画像だけで作品の迫力や魅力は伝えきれないので、ぜひ現地でアートが放つエネルギーを体感していただきたいです。 また、本展会場からすぐ近くにある「丸の内仲通り」付近には、草間彌生、ヘンリー・ムーア、舟越桂など世界的アーティストたちの彫刻やオブジェ全19点があちこちに展示されています。もちろん、これらの作品も無料で鑑賞できますので、ぜひ今回の若手アーティストたちの作品と一緒にご覧ください。 Information 会期:2024年4月25日(木)~5月12日(日)11:00~20:00※最終日のみ18:00まで※観覧可能時間は変更になる場合がございます※4月25日(木)丸ビル1F マルキューブにて表彰式を行います。(16:00~17:00)展示会場:行幸地下ギャラリー ※入場無料 【審査員】(五十音順)今村有策氏(東京藝術大学大学院美術研究科 教授)木村絵理子氏(弘前れんが倉庫美術館 館長)後藤繁雄氏(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学 教授)小山登美夫氏(小山登美夫ギャラリー 代表、日本現代美術商協会 副代表理事)建畠晢氏(埼玉県立近代美術館 館長)藪前知子氏(東京都現代美術館 学芸員)野口玲一氏(三菱一号館美術館 学芸員)   https://ananweb.jp/anew/544630/ Source: ananweb

  • 2024.02.18

“有楽町”の由来になった…!? 織田信長の弟「有楽斎」の生き方に触れる展覧会 | ananweb – マガジンハウス

東京・六本木のサントリー美術館で、「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」が開催されています。天下人・織田信長の13歳下の弟として生まれた織田有楽斎(うらくさい、1547-1621)。本展では、茶人としても活躍した有楽斎の人物像を名品などにより紹介。展示風景や学芸員さんのお話などレポートします! 戦国を生き抜いた男! 展覧会入り口 ※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。 【女子的アートナビ】vol. 325 本展では、織田有楽斎とゆかりの深い寺である京都・建仁寺塔頭 正伝永源院(しょうでんえいげんいん)の寺宝を中心に、有楽斎にまつわる茶道具や手紙などの資料を展示。多彩な作品をとおして、彼の生き方に触れられる展覧会です。 有楽斎は、もともと織田長益(ながます)として活躍していた武将でした。長益(有楽斎)は、信長の長男・信忠に仕えていましたが、1582年に起きた「本能寺の変」で信長は自害。さらに、信忠が二条御所で抗戦した末に自害したのにもかかわらず、長益(有楽斎)は脱出して生き延びました。これにより、人々から「逃げた男」と揶揄され、今でもそのイメージで戦国ドラマに登場することもしばしばあります。 プレス内覧会に登壇された建仁寺塔頭正伝永源院第24世住職 真神啓仁さんは、本展開催のきっかけについて、次のように語っています。 真神さん 当院は、鎌倉時代の文永年間に創建された寺でしたが、戦禍により荒廃していました。その寺の再興にあたったのが、織田有楽斎です。彼は「逃げの有楽」という不名誉なイメージがつけられていましたが、それを改めて問い直せないかと思い、本展の発案となりました。有楽斎は正伝院を再興し、晩年には現在国宝に指定されている茶室「如庵」を創設しました。茶の湯をとおして、大名や僧侶たちと交流をはかった人物でもあります。彼の想いや美意識を本展で感じていただきたいです。 有楽斎がお出迎え…! 《織田有楽斎座像》江戸時代 17世紀 正伝永源院蔵 【通期展示】 では、展示の見どころをピックアップしてご紹介。 最初の展示室に入ると、まず目に入るのが有楽斎の生前のお姿を表した座像です。 本作品について、サントリー美術館・主任学芸員の安河内幸絵さんは次のように解説。 安河内さん この像では、有楽斎が僧の姿をしていますが、実際には僧籍があったわけではありません。千利休のように、茶人の姿としてこのような格好をしていたという説もあります。この有楽斎の像は、遠くをまっすぐ見つめる視線で、人の心の中を見透かしてしまうような、本質を見極めるような目をされています。 本能寺の変で焼けた…! 《本能寺跡出土瓦》桃山時代 16世紀 京都市蔵【通期展示】 第一章では、有楽斎が織田家の一員であることや、武将としての一面をうかがい知ることができる歴史資料などを見ることができます。例えば、織田信長の一代記として知られる「信長公記」では、主要な武将のひとりとして長益(有楽斎)がいたことが記されています。 また、本能寺跡から出土した瓦の一部も展示されています。この出土品について、安河内さんは次のように解説。 安河内さん 明智光秀の謀反により、信長は49歳で亡くなります。本能寺の跡から出土した瓦は、鬼瓦や軒瓦のほか、表面が変色した瓦も含まれています。展示されている橙色の瓦は熱を受けて変色したもので、激烈な火災であったことがうかがえます。 伊達政宗とも交流! 展示風景より、写真手前:織田信長像 江戸時代 18世紀 正伝永源院蔵 【通期展示】 第二章では、有楽斎宛ての手紙や彼自身の手紙などの資料をとおして、茶人として活躍した有楽斎の姿が紹介されています。 例えば、伊達政宗から有楽斎に宛てた手紙なども展示。政宗と有楽斎は茶を通じて親交があり、如庵での茶会に招かれたという話も残されています。手紙には現代語が掲示されているものも多いので、内容を理解しながら鑑賞を楽しむことができます。 有楽斎の交友について、安河内さんは次のように解説。 安河内さん 有楽斎は武将たちのみならず、堺や博多の有力茶人や高僧、公家などとも幅広く交友し、茶の湯をとおして親交を深めていました。茶の湯が政治のツールとして使われ、茶会が政治の中で必要不可欠なコミュニケーションとなっていた当時、茶の湯に巧みで広い交友関係をもつ有楽斎は、豊臣や徳川家をはじめ、多くの人々から頼りにされたことが想像されます。 圧巻の襖絵は必見! 《蓮鷺図襖》狩野山楽 江戸時代 17世紀 正伝永源院蔵 【通期展示】 三階のギャラリー空間では、有楽斎が再興した正伝院の客殿を飾った《蓮鷺図襖》16面すべてを展示。圧巻の見ごたえです! つぼみのハスや咲き始めたハスの姿、咲き誇る姿、そして枯れかけた姿もあり、ハスの生命や季節のうつろいが大変美しく描かれています。 第四章と第五章では、織田有楽斎が晩年に再興し終の棲家とした建仁寺正伝院ゆかりの寺宝を紹介。茶道具や織田家ゆかりの蒔絵作品などを見ることができます。 有楽町の由来という説も…! ちなみに、東京の千代田区にある「有楽町」という地名は、織田有楽斎が由来という説もあります。 千代田区の公式サイトによると、有楽斎は関ケ原の戦いのあと徳川方に属し、数寄屋橋御門の近くに屋敷を拝領。その屋敷跡が「有楽原」と呼ばれていたことから、明治時代に「有楽町」と名づけられたそうです。(※諸説あります) 武将や茶人として戦国時代を生き抜いた織田有楽斎の展覧会は、3月24日(日)まで開催。会期中、展示替えもあります。 ※参考サイト Information 会期:2024年1月31日(水)~3月24日(日)※作品保護のため、会期中展示替を行います。開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)※2月22日(木)、3月19日(火)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで休館日:火曜日 ※3月19日は20時まで開館観覧料:一般 ¥1,600、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料  https://ananweb.jp/anew/531268/ Source: ananweb

  • 2024.02.04

巨匠の“スゴ技”に驚嘆! 版画のイメージがガラリと変わるユニーク展覧会 | ananweb – マガジンハウス

石川県金沢市の国立工芸館で、特別展「印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957-1979」が開催されています。版画とグラフィックデザインの巨匠たちによる作品が一堂に集まる注目の展覧会について、担当学芸員さんに見どころなどをお聞きしました。 巨匠たちの版画とグラフィックデザインが集結! 展示風景より 【女子的アートナビ】vol. 323 この展覧会では、国立美術館のコレクションから、版画やグラフィックデザイン界などで活躍した作家たちの作品70点が集結。浜口陽三や池田満寿夫、横尾忠則など巨匠が手がけた貴重な作品などが展示されています。 今回、本展を企画された国立工芸館 主任研究員の中尾優衣さんにインタビューを実施。見どころやおすすめ作品などを教えていただきました。 開催のきっかけは… 展示風景より ――まず、この展覧会を企画されたきっかけについて、教えていただけますか。 中尾さん もともと、1970年代前後のグラフィックデザインと版画の関係に興味をもっていたのがきっかけです。日本の戦後美術では、1960年代にウォーホルなどポップアートが流行してから、版画表現の可能性が注目されていました。また、印刷技術が進歩していくなかで、版画と印刷の関係性が変わっていくようになり、そこがおもしろいと思ったのです。 ――版画と印刷の関係性とは、具体的にどういうことですか。 中尾さん 版画は、版にインクをのせ紙に押し当ててつくります。江戸時代は、大量に出版物を刷るための最先端の印刷技術として木版が使われていましたが、時代が進むにつれ、代わりにもっと効率の良いオフセット印刷などの機械印刷が使われるようになります。そのため、従来の木版は⼤量印刷のための主要な技法ではなくなった代わりに、その味わいを生かして版画家が作品をつくるための手段のひとつとなったのです。このように、版画と印刷の関係性が、年代に応じて変わっていく現象に興味を持ちました。 展示風景より ――技術の進化により、版画の役割が変わったのですね。 中尾さん 戦後の版画の可能性を考えていくなかで、東京国立近代美術館などで開催していた「東京国際版画ビエンナーレ展」が大きな役割を果たしたのですが、 当館を含む国立美術館では、その受賞作などをたくさん所蔵しているので、当時話題になった作品を展示することで、印刷と版画の関係性が明らかになるのではないかと思い、この展覧会を企画しました。 日本の版画が世界で高評価! 杉浦康平《第8回東京国際版画ビエンナーレ展ポスター》 ――では、展覧会の見どころについて教えていだたけますか。 中尾さん 本展では、「東京国際版画ビエンナーレ展」の受賞作や出品作と、当時の展覧会ポスターを一堂に展示しています。当時の作品をここまでの規模で紹介するのは、今回がはじめての機会です。ポスターは一過性のもので、ふつうは展覧会が終われば捨てられてしまうものですが、当館では資料として保管していました。東京国際版画ビエンナーレ展の作品と、当時の著名なグラフィックデザイナーが担当した歴代のポスターをあわせて見ていただけるという点が大きな見どころです。 展示風景より ――「東京国際版画ビエンナーレ展」とは、どんな展覧会だったのですか? 中尾さん これは1957年から79年まで、全11回開かれた展覧会です。日本は、戦後復興のなかで欧米に並ぶような経済的発展を目指し、文化的にも優れている点を見せていこうとしていました。そこで、日本人の版画が当時海外で高く評価されていたことから、版画の国際展覧会を開催することにしたのです。展覧会というより国家的な文化事業で、外務省も後援になっていました。 ――海外で評価された日本の版画とは、浮世絵版画のことですか? 中尾さん 浮世絵版画のすごさは、明治時代に海外で知られるようになりました。浮世絵のような分業制の職人技が光る版画も今なお評価されていますが、戦後に新しく出てきたのは棟方志功です。彼の版画は、浮世絵とはまったく異なる方法で制作し、大胆でプリミティブな表現にアーティストとしての強烈な個性と東洋の文化が融合した作品です。浮世絵と違う版画の魅力を世界の人たちが知り、棟方の版画は戦後まもない時期からヴェネツィア・ビエンナーレなど世界的展覧会で高く評価されました。 巨匠の“スゴ技”がさく裂! 野田哲也《日記 1968年8月22日》1968年 東京国立近代美術館蔵 ――展示作品のなかから、特におすすめ作品をいくつかご紹介いただけますか。 中尾さん 野田哲也さんの《日記 1968年8月22日》は、非常におもしろい作品です。これは、第6回東京国際版画ビエンナーレ展で大賞をとったもので、作家自身の家族写真をもとにコラージュした作品です。野田さんはカメラが趣味で、故郷の熊本に帰ると両親とともに記念撮影をしていました。比較的古風な習慣のご家庭でしたので、紋付き袴の正装姿で撮られています。自分で撮影した写真をコラージュし、海外風の椅子に座らせて非現実な空間をつくりだし、とても不思議な図柄になっています。きわめてプライベートなことをテーマにしていますが、そこから日本の伝統的な文化風習や、家族とそれを構成する個人との関係性、社会の中で記号化される人間の存在など、作品を見る人が自由に想像をめぐらせることができます。 ――写真をベースに版画をつくられるのですか? 中尾さん 野田さんは、もともとは油彩からはじめて、木版画を専門に勉強されたかたです。この作品がつくられた当時の版画技法は、木版や銅版、リトグラフがメインでした。写真製版は出始めたばかりでしたので、それを版画に部分的に取り入れるというやり方が珍しい時代でした。この作品では、椅子の部分は墨や蛍光インクに木版画の技法を使い、ほかにも写真製版、もっと詳しく言えば昔はガリ版刷りとも言いましたが、版画にはほとんど使われなかった謄写版ファックスも使うという新しい試みをされたのです。 ――技法がすごすぎて、驚きました。版画では、いろいろなことができるのですね。 中尾さん まさに当時の作家さんたちも同じ気持ちで、版画は自分たちが知っている技法だけでなく、まだまだ新しいやり方を取り入れることができると思ったのです。版画表現は、作家自身で開拓していける可能性のあるジャンルと認識されていた時代でした。 これは版画? 印刷? 高松次郎《英語の単語》1970年 東京国立近代美術館蔵 ――ほかにも、おすすめ作品はありますか? 中尾さん 版画かどうか、議論を呼んだ作品をご紹介します。高松次郎の《英語の単語》です。英単語が3つ並び、読むと「この/3つの/単語」という意味になっています。本来、文字というのはある概念を人に伝えるための記号として機能しますが、この作品では紙に書かれた文字がその内容と一致してしまっています。それ以上でもそれ以下でもない、記号と意味の問題を端的に示している作品です。 ――ちょっと難しい作品のように思えます。どのように鑑賞するのですか? 中尾さん 描かれているものを味わうという鑑賞⽅法とは違い、鑑賞する余地を与えない代わりに、⾒る⼈に頭を使わせ、その⼈の固定概念に揺さぶりをかけます。この時代の高松の作品は、概念を見せています。本作品は、何か別のものを表すために存在するはずの文字が自己完結することで、私たちは居心地の悪いような奇妙な感覚をおぼえます。そして、記号ではなく物質として見てみると、大量印刷できる印刷機で文字を刷っただけのものです。これが版画なのか? と問われるとグレーです。そんな作品が、版画を銘打っている展覧会に出されて注目されました。本作品の存在自体が、「これを版画に含めていいのか、そもそも版画とは何か」という問いも投げかけています。 ――版画作品、奥が深いですね。 中尾さん 1972年には高松が出品した別の作品が国際大賞を受賞し、印刷機でつくったものが、なぜ東京国際版画ビエンナーレ展で賞をとるのか、当時議論になりました。東京国際版画ビエンナーレ展の存在が、ある意味では版画の概念を崩壊させたという妙な状況が生まれたのです。当時は、印刷技術自体が日進月歩の時代。紙に文字を写すものは版画なのか、印刷なのか。その時代性をも見せてくれる、おもしろい作品です。 展覧会タイトルの意味は… 木村秀樹《鉛筆》1974年 京都国立近代美術館蔵 ――版画というと、昔の浮世絵版画や銅版画のイメージしかなかったのですが、さまざまな作品があり、印象がガラリと変わりました。最後に、なぜ展覧会のタイトルに「断層」とつけられたのか、教えていただけますか。 中尾さん 版画とグラフィックデザインはどちらも紙にインクを刷ってつくるので、広い意味では印刷に含まれるとても近い関係にあります。1960年代から1970年代にかけて、版画と印刷とグラフィックデザインの概念そのものを更新したりジャンルの境目を越えていくような試みが繰り返されましたが、本質的な部分まで混ざり合うことはありませんでした。今回の展覧会を考えるとき、これらのジャンルの関係性が私の頭の中で「断層」という言葉と結びつきました。断層の切り口は層としてはすぐ隣で重なっていますが、そこにはズレがあり交わることがありません。それで展覧会のタイトルにしました。当時の時代性も含めて、鑑賞を楽しんでいただけたらと思います。 ――詳しく教えていただき、ありがとうございました。 Information 展示風景より写真提供 国立工芸館 特別展「印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957-1979」 会期:2023年12月19日(火)~ 2024年3月3日(日)会場:国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)開館時間:午前9時30分~午後5時30分※入館時間は閉館30分前まで休館日:月曜日(ただし2月12日は開館)、2月13日観覧料:一般¥300 大学生¥150 高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料    https://ananweb.jp/anew/527588/ Source: ananweb

  • 2023.12.23

磯村勇斗「ビビッときました!」学生時代から好きだったキース・へリングの魅力を熱弁 – 撮影:山本倫子 | ananweb – マガジンハウス

東京・六本木にある森アーツセンターギャラリーで、「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」がはじまりました。東京展のスペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、俳優の磯村勇斗さん。昔からへリングが大好きだったという磯村さんに、展覧会のご感想やアートについて、お聞きしてきました! 磯村勇斗さんがスペシャルサポーター! 磯村勇斗さん。キース・ヘリング作《ブループリント・ドローイング》の展示室にて 【女子的アートナビ】vol. 320 本展は、世界的アーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)のアートを体感できる大規模な回顧展です。 キース・へリングは、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。1978年にニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学し、1980年代初頭にニューヨークの地下鉄駅構内にある広告板にグラフィティ・アートを描きはじめ、注目を集めます。やがて次々と展覧会が開かれて国際的にも評価が高まり、日本でも展覧会やワークショップを開催。精力的に制作を続けますが、1988年にエイズと診断されます。その後はエイズ予防のメッセージをアートで訴えるなど、31歳で亡くなるまで、アートをとおして社会的な活動も行いました。 本展では、初期のサブウェイ・ドローイングや、誰もが見たことのある人気のモチーフが登場する《イコンズ》、6メートルもある大型作品など約150点を展示。絵画だけでなくオブジェクトもあり、展示空間もドラマチックに演出されています。 そんな楽しい展覧会の東京展スペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、磯村勇斗さん。内覧会に登壇した磯村さんにインタビューも行い、展覧会やアートのことなど、いろいろお聞きしてきました! ビビッときました! ――昔から、キース・へリングが大好きだったとのことですが、どんなきっかけで好きになられたのですか? 磯村さん 大学で美術を専攻していまして、アメリカのポップカルチャーを勉強していました。アンディ・ウォーホルや草間彌生さんなどのアーティストのなかにキース・へリングもいて、教科書に載っていたキースの絵を見て、ビビッときたんです。この絵好きだ! と思いました。そこから、彼の絵をどんどん見るようになりました。 ――どんなところにビビッときたのですか? 磯村さん 学生時代のことで、作品名をしっかり覚えてはいないのですが、人の集合体のような作品で、人がシンプルに描かれているだけで、絵は止まっているはずなのに、なんで人が動いて見えるのだろう? と思いました。線の効果や、人のちょっとした動き具合だと思うのですが、止まっている絵をこんなにも楽しく見せることができるのだな、と衝撃を受けました。 ――そんな大好きなアーティストの展覧会でスペシャルサポーターに選ばれて、いかがですか。 磯村さん 率直にうれしかったです。今まで取材などでキース・へリングが好きですという話をしていたのですが、それが今回このような形でオファーをいただけて、すごくうれしく思いました。はじめての展覧会スペシャルサポーターがキース・へリングなんて、光栄でありがたいです。 好きな気持ちを乗せて… ――今回、音声ガイドナビゲーターも担当されています。収録はいかがでしたか。 磯村さん 緊張しました。キース・へリング自身、自分の作品についてあまり説明していなくて、彼が当時どのような思いで生きていたのか明かされていないまま今に至ります。音声ガイドでは、そんな彼の言葉や思いをセリフのように自分が語る部分があります。自分の気持ちをどのくらい入れたらいいのだろうと悩みながら収録しました。特に、セリフの部分をキースに寄せるのか、自分自身の言葉でやるかを悩みましたが、そこはキースを好きな気持ちを乗せながら、自分らしくやりました。 ――音声ガイドで、印象に残っているストーリーなどはありますか? 磯村さん キースの言葉で、「鑑賞者もアーティスト」というのがあり、それが僕たちの仕事も同じだと思いました。映画は映像として完成した時点では90パーセントで、劇場で公開して、お客さまに見ていただき、ようやく100パーセントになると思っています。それと一緒だなと思いましたし、キースの感覚と近いものを感じられました。すべて自分たちで解決して満足するのではなく、余白を残して、しっかり鑑賞者であるお客さまにゆだねるという心が大事だなと思いました。 ――今回の展示で、特にお気に入りの作品はありますか? 磯村さん 本当に絞るのが難しいのですが、特によかったのは《ブループリント・ドローイング》の作品群です。暗い展示室の中にモノクロ版画の作品が並んでいるのですが、展示空間づくりも含めてお気に入りです。キースが死の宣告を受けたあと、彼が今までやってきたアート人生を振り返りながら制作したもので、悲しい部分を感じつつも、パワフルで、皮肉な部分もあります。それらを暗く描くのではなく、明るく描いているのがすごく僕の中でしびれました。ぜひ注目していただきたいポイントです。 友だちになれそう(笑) ――本展では、キース・ヘリングの生涯についても詳しく触れられています。この点について、どう思われましたか。 磯村さん キースはパートナーを亡くし、自分がエイズであることも知り、死を感じながら創作活動をしていました。死を知りながら、何かものづくりをするというのは、どんな気持ちだったのだろうか、とすごく考えます。当時描いていた絵を見ると、ものすごくエネルギーがありながらも、どこか寂しさもある。でも、それを悲しく描くのではなく、最後まで色を使って明るく描いて、明るく生きていこうとしていたのではないかと僕は感じました。鑑賞者の立場になり、アートはみんなのため、という想いを最後まで心の中に秘めながら描いたのではないかと思いました。 ――キースのアーティストとしての活動期間は約10年間でした。磯村さんもデビューして約10年ですが、今回彼の作品を観られて、改めてどう感じられましたか。 磯村さん 10年という短いなかで絵を描き、それが今の世界でみんなに知られている。彼がもし今生きていたら、どんなふうに作品を作って世の中にメッセージを届けていたのか気になります。キースの作品にはセクシャルな部分など社会的なメッセージもあり、現代でも通用するものです。彼の生きてきた時代と今は全然変わっていないし、彼の絵が僕らにも刺さるということは、今もその問題に向き合わなければならないことだと僕たちに教えてくれます。彼は20代で、すでにいろいろな問題が見えていた。それは、考えられないくらいすごいことだと思います。 ――磯村さんにとって、キースはどんな存在ですか? あこがれの人でしょうか。あるいは、友だちになりたい人ですか? 磯村さん 友だちになれそうな感じがします(笑)親しみやすい方なのではないかな、と思います。キースは、小さいころから絵を描くことが大好きで、親にやめなさいと言われても描き続け、どんどん手が止まらず描いてきた人だった。自分も、役者をやりたいといって、反対されながらもずっと口にしてやり続けてきたので、その辺のマインドみたいなものはすごく共感できます。もし今の時代にキースが生きていたら、こういう話をして「わかる、わかる!」と言い合いたいですね(笑)。いい友だちになれそうな気がします。 ――キースなどのアートを見ることは、役作りに何か影響していますか? 磯村さん 俳優業にどうつながっているかはわかりませんが、やはり絵は自分の世界を広げてくれるものでもあり、想像力を掻き立てられて豊かにしてくれるものです。役者も想像力が豊かでないとできないので、それを養う力がアートにはあると思います。 グッズも持っています! ――ちなみに、キースのグッズもお持ちですか? 磯村さん グッズはいろいろ持っていて、ステッカーやファイル、ポーチ、Tシャツ、ジャケット、「光りを放つ赤ちゃん」と「吠える犬」のオブジェクトもあり、全部で十数点は持っています。 ――お部屋に飾って楽しんでいるのですか? 磯村さん 赤ちゃんと犬のオブジェクトは自分のなかのお気に入りで、それは部屋の観葉植物の下に置いています。配置を工夫して、気分によって犬に追われている赤ちゃんにしたり、赤ちゃんが追う犬にしたりしてシーンをつくり、寂しい遊びをしています(笑)。観葉植物はヤシ科の大きな葉があるもので、その下に置いているのですが、意外にかわいくて合います。 ――アートがお好きなんですね。 磯村さん 小さいころからアートは好きで、家族で旅行に行ったりするときは、必ず美術館に寄るくらいでしたので、その影響で自分も絵が好きになっていました。美術館で絵を見るのも好きですけど、その空間も好きなんです。部屋にアートを飾ると、その好きな空間を家の中で味わえて、自分のプライベートの時間が充実するし、落ち着きます。 ――最後に、展覧会を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。 磯村さん キース・へリングの作品は、今の若い人たちも見たことがある人がほとんどだと思います。でも、キースがどんな人なのかを知っている人は少ないと思います。今回の展覧会では、彼がどういう人でどんな人生を歩んできたのか、みなさんが見たことがある絵の背景にはどういった思いがあるのか、といったことを知ることができるチャンスだと思います。ここまでキース・へリングの裏側を解説していく展覧会はなかったと思うので、ぜひ、みなさんに来ていただけるとうれしいです。 ――ありがとうございました! 取材を終えて… キース・ヘリングのTシャツがお似合いだった磯村さん。ご自身でも絵を描いているそうで、アートにも大変詳しく、楽しいお話を聴かせてくださいました。 取材後、会場で音声ガイドを聴きながら作品を観たのですが、キースの人生や彼の言葉が紹介され、まるでドキュメンタリー映画を見ているような感覚で作品を鑑賞できました。特に、エイズと診断されたあとのキースの想いや、死について語る部分では涙腺が崩壊。彼の作品と磯村さんの声が重なり、すばらしい鑑賞体験ができました。 ぜひ音声ガイドを聴きながら、キースの作品をご覧になってみてください。 All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation Information 会期:~ 2024年2月25日(日)会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)時間:10:00~19:00※金曜日・土曜日は20:00まで※年末年始(12月31日~1月3日)は11:00~18:00※入場は閉館の30分前まで休館日:会期中無休観覧料:一般・大学生・専門学校生¥2,200 中高生¥1,700 小学生¥700※事前予約制(日時指定券)音声ガイド貸出価格:¥650(税込)※お一人様一台につき  撮影:山本倫子 https://ananweb.jp/anew/522403/ Source: ananweb

  • 2023.12.22

姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」で割引も! おめでた気分MAX「ハッピー龍イヤー!」展 | ananweb – マガジンハウス

東京・丸の内にある静嘉堂@丸の内で、2024年1月2日から2月3日まで「ハッピー龍イヤー! ~絵画・工芸の龍を楽しむ~」が開かれます。古代から吉祥をもたらすものとして扱われていた「龍」。辰年の2024年、おめでたい龍の絵画や工芸品が静嘉堂に集まります。 おめでた気分MAXの展覧会! 【女子的アートナビ】vol. 321 「龍」が誕生したのは、古代中国。体はヘビ、頭には角が2本あり、口に長いひげを生やした姿で描かれる想像上の動物です。ふだんは水中にひそんでいますが、天に昇って雨を降らせる力などをもつとされ、古くから雨ごいの神としても信仰されていました。 そんな龍をモチーフにした作品が本展に集結。企画を担当された静嘉堂文庫美術館学芸員の長谷川祥子さんは、本展の見どころについて、次のように教えてくれました。 長谷川さん 2024年に幕開けとなる本展は、来年の干支・辰(龍)を祝うテーマで開催するものです。想像上の動物である龍は、東アジアでは吉祥の霊獣として、また皇帝のシンボルとして数多く名品に表されています。このたび、静嘉堂の所蔵品から龍モチーフの作品を、幅広いジャンルから揃えました。これまで公開の機会のなかった“龍たち”も、ここぞとばかりに初登場です。さまざまな表情、迫力あるポーズも楽しい、そして重要文化財2件を含む、意外に()名品揃いの展覧会です。どうぞお楽しみください!  anan読者におすすめの作品は… 青花黄彩雲龍文盤 「大清乾隆年製」銘 清時代・乾隆年間 (1736〜95) 景徳鎮官窯 今回、長谷川さんにanan読者へのおすすめ作品を3点ピックアップして解説していただきました。ひとつめは、景徳鎮のお皿です。 長谷川さん この大皿は真ん中に正面を向いた五爪龍が描かれ、中央には「宝珠」を持つがごとく、「寿」の字を入れた丸文が描かれています。上質なコバルト顔料で、龍とそれを取り囲む炎や雲を濃いブルーで描いて本焼成したのち、今度は清朝で開発されたばかりの、酸化アンチモンによる美しい「レモンイエロー」の顔料を余白すべてに塗りつめてからもう一度焼いています。なんとも濃密なカラー! 清朝官窯ならではの逸品なのです。  幕末最大の浮世絵派閥、夢の競演! 三代歌川豊国(国貞)・二代歌川広重 画 《長崎 円やま》 江戸時代・文久元年(1861) ふたつめのおすすめ作品は、江戸時代の浮世絵です。 長谷川さん 異国情緒ただよう、長崎・円山(まるやま)の妓楼(ぎろう)で、男女二人が窓辺に広がる海を眺めています。長いキセルをステッキのようにたてた遊女の打掛は、大海原から立ち上る昇竜(のぼりりゅう)のデザインです。ちなみにこの浮世絵は、国貞が三代歌川豊国と名乗り、歌川派の重鎮として活躍した時期の作品ですが、画面に繰り広げられる見事な景色は、風景画を専門とした二代歌川広重が描いています。一点で、幕末最大の浮世絵派閥・歌川派の競演、“人物の豊国”と“風景の広重”を楽しめる、お得な作品です。 皇族の服をリフォーム!? 《紺地龍“寿山福海”模様刺繍帳》(部分) 清時代 (19世紀) 最後のおすすめ作品は、刺繍で装飾された美しい布です。 長谷川さん 「帳(とばり)」とは、中国文人風の「煎茶会」を邸宅の広間で催す際、茶室の入り口に掛けられた暖簾(のれん)のような布のことです。この羅地(らじ)の絹は、中国皇帝のシンボル・五爪をもつ龍と、さまざまな吉祥文様を各色に染めた色糸による刺繍によって、ことに龍の鱗は金箔の「撚(よ)り糸」による刺繍で装飾されています。限りなく吉祥文様が詰まった“寿山福海”(じゅざんふくかい)という意匠です。この帳は何と、清朝皇族の袍(服)であったものを、煎茶人がリフォームしたものと推定されます。 姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」でうれしい割引も! 長谷川さんの解説、いかがでしたか。 ほかにも、迫力満点の橋本雅邦「龍虎図屏風」(重要文化財)と、鈴木松年「群仙図屏風」の屏風対決が見られたり、大人気の国宝「曜変天目(稲葉天目)」も出品されたりと、静嘉堂のスター作品も登場。おめでたい気分を味わえること、間違いなしです! なお、本展では「辰年生まれ」の方、姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」がついている方は、同伴者も含めて入館料が200円も割引になります。ぜひ、お友だちやご家族のなかで辰年生まれや姓名にご縁のある方を探し、みなさんでハッピーな展覧会にお出かけください。 Information 会期:2024年1月2日(火)~2月3日(土)会場:静嘉堂@丸の内開館時間:10:00~17:00 ※金曜は18:00閉館。※入館は閉館時間の30分前まで休館日:月曜日(ただし1月8日(月・祝)、1月29日(月)は開館)1月9日(火)※1月29日(月)はトークフリーデーとして特別開館いたします。観覧料:一般¥1,500 大学・高校生¥1,000 中学生以下無料 ※「辰年生まれ」の方、姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」がついている方は、同伴者も含め、本展の入館料を ¥200割引。※他の割引との併用不可。※ご入館の際、証明になるものをご提示ください。   https://ananweb.jp/anew/522624/ Source: ananweb

  • 2023.11.19

ゴッホは静物画を見るべし! 37歳で没した天才画家の変遷をたどる展覧会 | ananweb – マガジンハウス

東京・新宿のSOMPO美術館で、「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」が開かれています。本展では、日本でも人気の高い画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)が描いた静物画に焦点をあて、国内外から油彩画が集結。彼が影響を受けた画家たちの作品も見ながら、ゴッホの変遷をたどることができる展覧会です。 静物画を見なければ、ゴッホは語れない! 「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示室入り口 ※本記事の写真は、プレス内覧会で許可を得て撮影しています。 【女子的アートナビ】vol. 318 本展では、ゴッホの画業のなかでも静物画にフォーカスして、彼の初期作から晩年の大作まで25点の油彩画を紹介。さらに、ヨーロッパにおける静物画の歴史のなかで、ゴッホが影響を受けたドラクロワやマネ、モネなど、著名な画家たちの作品もあわせて展示。出展作品全69点を通して、彼が何をどのように学んでいったのか、画業の変遷をたどることができます。 展覧会を担当されたSOMPO美術館上席学芸員の小林晶子さんは、次のように述べています。 小林さん ゴッホは、当初、人物を描く画家になりたかったので、静物画に対してそれほど興味をもっていませんでした。絵を学ぶ鍛錬のためのものが静物画でした。鍛錬しているうちに自分の芸術を確立し、静物画のなかでも「ひまわり」が自分の代表作であると思うようになりました。本展のキャッチコピーは「静物画を見なければ、ゴッホは語れない」です。ゴッホがどんなふうに鍛錬して、代表作を描くまでに至ったのか、静物画の歴史もあわせてご覧いただけます。 ハーグ時代の初期作からスタート! フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽のある静物》1881年 クレラー=ミュラー美術館蔵、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands 最初の章では、まずゴッホが油彩画に取り組み始めたハーグ時代の初期作からスタート。《麦わら帽のある静物》は1881年に描かれたものです。 その前年、27歳のときに、ゴッホは画家になることを決意。ブリュッセルの王立美術アカデミーに通い、その後、オランダ南西部のハーグで、画家マウフェから指導を受けました。 「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景 1章の前半では、17世紀のオランダ絵画もあわせて展示。 ヨーロッパ絵画史のなかで、静物画というジャンルが確立したのは17世紀ごろといわれています。当時、市民階級が豊かになったネーデルランド(現在のオランダ)では、身の回りの事物や工芸品などをリアルに描いた小さな静物画が流行。市民たちは、それらを自宅に飾り楽しんでいました。 静物画について、はじめは油彩を描くための修業としてとらえていたゴッホは、瓶や壺、鳥の巣など伝統的なモチーフを描いていました。 ゴッホ、ドラクロワに学ぶ! 「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景 1章の後半では、19世紀の静物画を展示。ドラクロワやピサロ、ルノワールなどの華やかな作品が並んでいます。 ゴッホは、特にドラクロワ作品の色彩に感銘を受け、弟のテオに手紙で作品や制作姿勢について語っています。ドラクロワは、ゴッホの作品に大きな影響を与えた画家のひとり、といわれています。 1886年、パリに移住したゴッホは、印象派の明るい作品からも影響を受け、初期のころと比べると、色彩も描き方も大きく変化しました。会場に展示されているパリ初期時代の花作品は、驚くほど色彩が鮮やか。ゴッホの画風の変化がよくわかります。 ゴッホ、モンティセリに学ぶ! アドルフ=ジョゼフ・モンティセリ《花瓶の花》1875年頃 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands 2章では、花の静物画に焦点を当てて紹介。 ここで注目したいのが、ゴッホと同時代の画家、アドルフ=ジョゼフ・モンティセリ(1824-1886)の作品《花瓶の花》です。彼は、肖像画や静物画などを手がけ、筆跡が残るタッチや絵具を厚塗りする描き方など、当時としては珍しい表現をしていた画家です。ゴッホは、モンティセリの作品を収集し、表現方法や技法も参考にしたといわれています。 モンティセリ作品に似たようなゴッホの絵も、近くに展示されています。ゴッホがモンティセリからどう学んだのか、描き方など比べてみるとおもしろいです。 ゴッホの代表作が登場! フィンセント・ファン・ゴッホ、左:《アイリス》 1890年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)、右:《ひまわり》 1888年 SOMPO美術館 本展のハイライト、ゴッホの代表作《ひまわり》と《アイリス》は2章で登場! さまざまな画家の作品から影響を受け、静物画を通して修業していたゴッホが、いよいよ自身のスタイルを確立。《ひまわり》は1888年、《アイリス》は1890年に描かれています。 強烈な色彩、荒々しいタッチ、厚塗りの絵具などは、ゴッホの代名詞ともいえる表現法ですが、本展を見ていくと、彼が独自に生み出したのではなく、さまざまな作品から学んでいたことがわかります。 画風を確立したゴッホですが、《ひまわり》を制作した1888年に、画家仲間のゴーギャンと口論して、自分の耳を切り、アルルの病院に入院。その後、サン・レミ・ド・プロヴァンスにある病院で精神科の治療を受けました。《アイリス》を制作した後、1890年の7月に37歳で死去。銃で自らを撃ったと伝わっています。 ゴッホに影響を受けた画家たちの作品も! 「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景 最後の章では、ゴッホ、ポール・ゴーギャン、ポール・セザンヌなど「ポスト印象派」と呼ばれた画家たちの作品や、ゴッホから影響を受けたモーリス・ド・ヴラマンクの作品などを紹介。新しい静物画のスタイルを切り拓いていった画家たちの、自由で革新的な作品を楽しめます。 静物画を通してゴッホの変遷をたどることができる展覧会は、2024年の1月21日まで開催。人気の展覧会なので、ぜひ日時指定予約をしてお出かけください。 Information 会期:~24年1月21日(日)会場:SOMPO美術館時間:10時~18時(ただし11月17日(金)と12月8日(金)は20時まで)※最終入場は閉館30分前まで休館日:月曜日(ただし1月8日は開館)、年末年始(12月28日~1月3日)観覧料:一般 ¥2,000(¥1800)、大学生 ¥1,300(¥1100)※()内は日時指定料金  問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル) https://ananweb.jp/anew/517256/ Source: ananweb

  • 2023.11.01

「事故当日、市長からは“大丈夫ですか”の一言も無かった」楽器ずぶぬれ被害から1年、楽団が明かす裾野市への不信感

 ちょうど一年前のことだ。静岡県を拠点に活動するプロオーケストラ「シンフォニエッタ静岡」が予期せぬ“水害”に見舞われた。  裾野市で行われた公演の開場直前、舞台上方のスプリンクラーが作動し、公演は中止を余儀なくされた。事 […] Source: 女子SPA!

  • 2023.09.24

芳根京子「100%モネの展覧会になっています」国内外の作品が一堂に! | ananweb – マガジンハウス

東京・上野の森美術館で10月20日から「モネ 連作の情景」がはじまります。本展のナビゲーターは、俳優の芳根京子さん。今回、モネゆかりの地フランスを訪れた芳根さんに、モネやアートの魅力について、語っていただきました! 芳根京子さんがナビゲーター! 芳根京子さん 【女子的アートナビ】vol. 311 印象派の巨匠、クロード・モネ(1840-1926)の人生に影響を与えた第1回印象派展が開かれたのは1874年。それから150年の節目を迎えることを記念して開かれる「モネ 連作の情景」では、フランスやアメリカ、ドイツなど世界各地や日本の美術館などからセレクトされた代表作60点以上が展示されます。 本展では、特にモネの「連作絵画」にスポットをあてて紹介。同じ場所やモティーフを異なる時間や季節で描いた「連作」という表現手法は、画家の代名詞にもなっています。有名な〈睡蓮〉や〈積みわら〉をはじめ、ノルマンディー地方の景勝地〈エトルタ〉などの作品も展示される予定。初来日作品もあり、新たなモネの世界を発見できる展覧会になりそうです。 そんな芸術の秋にぴったりの展覧会でナビゲーターを務めるのが、俳優の芳根京子さん。本展の記者発表会に登壇した芳根さんにインタビューも行い、モネやフランス旅のことなど、いろいろお聞きしてきました! 私で大丈夫かな、と… クロード・モネ《睡蓮の池》1918年頃 油彩、カンヴァス 131.0×197.0cm ハッソ・プラットナー・コレクション © Hasso Plattner Collection ――まず、ナビゲーターに就任されたご感想を教えてください。 芳根さん アートはそれほど詳しくないので、私で大丈夫かな、と思いました。でも、母が美大出身なので、母と一緒に美術館に行く機会はこれまで何度もありました。「アートをもっと知りたい」という気持ちはあったので、このお仕事に飛び込ませていただきました。私のようにアートに詳しくないけど興味がある、という方などが、今回の展覧会に足を運ぶきっかけになったらうれしいです。 ――この夏、本展特別番組撮影のためフランスに訪れたそうですね。どんな場所に行かれましたか? 芳根さん モネの故郷であるフランスで、彼の人生をたどる旅をしてきました。モネが見てきた世界、描いてきた景色や作品も見ましたし、後半生を過ごした自宅も訪れました。 ――フランスでご覧になったモネの作品で、印象に残っているものはありますか? 芳根さん インパクトが強かったのは、オランジュリー美術館にあった睡蓮の作品です。360度モネの作品に囲まれるので、ステキでした。また、ずっと見入ってしまった作品は、マルモッタン美術館にあった《印象、日の出》です。本物の景色を見ているような不思議な気持ちになり、ずっと見ていられる感じでした。実際に、モネが見たであろうリアルな日の出もル・アーヴルで見せていただいたのですが、その場所は特に印象的な建物があるわけではなく、きれいな日の出が見やすい場所でした。モネは、そんな日常の自然の景色を魅力的に切り取る力が高かったのだな、と感じました。 まさか私の人生で行けるとは… ――モネは日本好きとしても知られていますが、今回の訪問で日本を感じられる場所はありましたか? 芳根さん モネが後半生に住んでいたジヴェルニーの家を訪問したとき、家の中に浮世絵がたくさん飾られていました。また、庭には日本風の橋がかかっていて、全体的に「和」を感じました。その庭園は、派手ではないけれど美しさがあり、モネは日本のことがお好きだったのだな、と感じました。 ――日本とは遠く離れたフランスで、日本を感じられる庭園をご覧になっていかがでしたか。 芳根さん すごくうれしかったです。モネの庭は、アートについて詳しくない私でも知っているような場所でしたが、まさか私の人生で行けるとは思っていませんでした。そこでは、庭を手入れされている庭師の方ともお話をさせていただいたのですが、高知にある「モネの庭」にも関わっていらっしゃると聞いたので、さっそく高知行きの飛行機を予約しました(笑)。 「モネの黒」を見てみたい クロード・モネ《昼食》1868-69年 油彩、カンヴァス 231.5×151.5cm シュテーデル美術館© Städel Museum, Frankfurt am Main ――今回の展覧会で、注目している作品はありますか? 芳根さん フランスで睡蓮の池を見てきたので、やはり睡蓮の作品です。国内外から集められた睡蓮の絵がまとめて見られるというので、とても楽しみです。また、今回はじめてフランスに行ったので、パリの街並みを描いた作品も見てみたいです。実際にパリを見てから絵を見ると、「そうそう、パリはこんな感じ」と思えそう(笑)。あとは、初来日の《昼食》も楽しみです。モネが黒い色を使うのは珍しいそうなので、「モネの黒」を自分の目で見たいです。 ――モネ作品、どんなところがお好きですか? 芳根さん 光もすばらしいと思いますが、五感で楽しめる絵のような感じがします。実際に、そんなことないのですが、絵から香りがするような気がするのです。また、絵によってそこに流れている空気が違う気がして、体験型みたいな、目だけではない楽しみ方があるなと思いました。 ――展覧会では音声ガイドも担当されます。これから収録があるそうですが、意気込みを教えてください。 芳根さん 音声ガイド収録ははじめてなので、とにかく絵を見ている方のお邪魔にならないよう、寄り添えるものになるよう心掛けたいと思います。またモネにあまり触れたことがない方も、モネの絵を見て音声ガイドを聴いて、「モネ好きだな」と思ってもらえたらうれしいです。実際にフランスに行く前と行った後では、モネに対する思いが本当に違うので、そんな私だから表現できる音声ガイドになればと思います。 モネに親近感 ――モネの人生は平坦ではなく、いろいろあって一流の画家になっていきますが、そんな彼の人生をどう思いますか? 芳根さん モネは、一人前の画家になるために、悩んで葛藤して、いろいろなものを乗り越えてきました。ただの天才ではなく、ちゃんと悩んで前に進んだ人なのだなと思い、同じ人間のような感じがしてホッとしますし、親近感がわきます。あれだけの作品を生み出しているので、自信家であってもおかしくないと思うのですが、そうではなく、人間味があります。目を患いながらも絵を描き続け、傑作を生み出しているというのがすごいです。 ――ちなみに、モネは美食家としても知られていますが、芳根さんがフランスで食べて印象に残っているものはありますか? 芳根さん 毎日食べていたのは生ハムでした。朝からホテルで食べて、昼も夜も食べて(笑)。もともと生ハムは好きでしたけれど、これほど毎日3食全部食べていたのは、本当においしかったからだと思います。全然飽きないのです(笑)。フランスらしいお料理では、ガレットもよかったです。 母に解説してあげたい ――あまりアートに詳しくないと仰っていましたが、今回のお仕事で何か変わりましたか? 芳根さん 今まで、アートは知識がないと楽しめないのかな、と自分の中で勝手にハードルを上げてしまう部分があったのですが、このお仕事をきっかけに母と美術館回りをはじめ、フランスに行く前に、はじめて「一人美術館デビュー」もしました。 ――どの美術館で、デビューされたのですか? 芳根さん ちょうど松岡美術館(東京・港区)で印象派の展覧会が開かれていたので、チャンスだと思って駆け込みました。とてもよかったです。事前に、モネは光に注目するといいと教わったので、その点を意識して見てきました。何かに注目してアートを見るという経験が、これほど楽しいとは思わなかったです。記念にポストカードも買いました。 ――お母様は美大出身ですので、ご一緒に美術館に行かれるときは、お母様が作品解説をしてくれるのですか? 芳根さん 母もそんなに詳しいわけではないのです。きっと、モネに関しては私のほうが詳しいと思います(笑)。母も父も、「モネ 連作の情景」に行きたいといっていて、一回目に行くときは音声ガイドを聴いて、二回目は私を連れて行きたいと話していたので、そのときは隣で解説してあげるね、といいました(笑)。今回、モネのことを集中して学びましたが、とても楽しくて。一気にアートのことをすべて知ろうとすると、範囲が広すぎて難しいと思いますが、美術館にあまりご縁がない方でも、モネは入りやすくて飛び込みやすい世界かなと思います。 ――では、最後に展覧会を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。 芳根さん 私もアートは難しいのかな、と思い込んでいたのですが、全然そんなことはなくて、絵を見たときにあふれてくる感情に間違いはないし、否定されることはないと今回のフランス旅で思いました。絵を見ているだけで、パワーやエネルギーがダイレクトに感じられて、4日間のフランス旅でしたが、人生が豊かになった気持ちになりました。今までモネに触れたことがなかった方も、音声ガイドでサポートさせてもらうので、安心して足を運んでいただけたらと思います。今回は、世界中からモネの作品だけが集められた「100%モネ」の展覧会になっていますので、モネが好きな方、美術館やアートが好きな方も、絶対楽しめる展覧会になっていると思います。ぜひ、みなさんもお越しください。 ――いろいろお話しいただき、ありがとうございました! 取材を終えて… キラキラと目を輝かせて、モネやフランス旅のことを楽しそうに語ってくれた芳根さん。ナビゲーターのお仕事をきっかけに、モネやアートに興味をもち、とても多くのことを学ばれて努力しているお姿にも感動しました。芳根さんのモネへの愛が100%詰まったものになりそうな音声ガイドも、聴くのが楽しみです。 なお、芳根さんが出演される「モネ 連作の情景」の特別番組は、11月11日(土)にフジテレビ(関東ローカル)で放送される予定。展覧会とあわせて、こちらもご覧ください。 Information 会期 2023年10月20日(金)〜2024年1月28日(日)会場 上野の森美術館時間 9:00〜17:00 金・土・祝日は〜19:00 ※入館は閉館の30分前まで休館日2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月・祝)入館料日時指定予約推奨 平日(月〜金) 一般 ¥2,800/大学・専門学校・高校生 ¥1,600/中学・小学生 ¥1,000 土・日・祝日 一般 ¥3,000/大学・専門学校・高校生 ¥1,800/中学・小学生 ¥1,200 ※会期中は、上野の森美術館チケット窓口にて当日券を販売。混雑時は入場をお待ちいただく場合がございます。 ※本展は大阪に巡回します。【大阪展】 2024年2月10日(土)~2024年5月6日(月・休) 大阪中之島美術館※東京展と大阪展は一部展示作品が異なります。   https://ananweb.jp/anew/505562/ Source: ananweb

  • 2023.05.14

韓国で25万人動員! インスタで大バズりした「写真」が集まるウェス・アンダーソンすぎる展覧会 | ananweb – マガジンハウス

天王洲の寺田倉庫G1ビルで、『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』が開かれています。本展は、昨年韓国で開催され大ヒットを記録。話題の展覧会の見どころや会場の様子をご紹介します! ソウルで大ヒットした展覧会 『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景 【女子的アートナビ】vol. 295 『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』は、2022年に韓国のソウルで開催され、25万人を動員した展覧会《Accidentally Wes Anderson(AWA)》の巡回展です。 Accidentally Wes Andersonとは、アメリカで2017年に立ち上げられたInstagramのアカウント。ニューヨーク在住のコーヴァル夫妻が、自分たちで行ってみたい旅行先をネットで検索して、その場所の画像を投稿しはじめました。 その後、夫妻が自分たちで撮った写真も投稿するようになり、その画像がいかにもウェス・アンダーソン監督風ということで人気を集め、書籍化もされてアメリカで大ヒット。さらに、展覧会も開催されることになりました。 本展では、ウェス・アンダーソン監督自身も「僕が撮りそうな写真だ」とコメントしている美しい写真の数々を、カラフルに色分けされた展示室で楽しむことができます。 ウェス・アンダーソン風とは? 『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景 そもそも、ウェス・アンダーソン風とはどんな写真なのでしょうか。 展覧会を担当したBunkamuraザ・ミュージアム学芸員の岡田由里さんは、次のように解説してくれました。 岡田さん ウェス・アンダーソン監督の作品は、独創的なストーリー展開に加えてビジュアル的にも細かいところまで徹底的にこだわり、つくられていることで知られています。代表作は、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』や『グランド・ブダペスト・ホテル』。 本展では、そんな監督作品の特徴から、特に、シンメトリー性、ピンクやターコイズなどパステルカラーを多用する点、デコラティブ性の3点に注目して写真作品を展示しています。監督の映画をご覧になったことがない方でも、この3点をおさえて見ていただければ、ウェス・アンダーソンすぎるというのはどういうことか、おわかりいただけると思います。 旅に出たくなる写真がいっぱい! 『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景 本展の副題は、「あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」。 会場では、北米やヨーロッパ、アジアなど世界の魅力的な場所をめぐる写真約300点を10のゾーンにわけて紹介され、旅に出たくなる雰囲気にあふれています。 乗り物がテーマとなっている部屋では、トラムやケーブルカー、ミニバス、飛行機、気球など、さまざまな種類の写真があり、また乗り物の窓から見える景色の写真も多くあります。 『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』より《ヴィッカース・ヴァイカウント》 例えば、《ヴィッカース・ヴァイカウント》は、ロンドンのガトウィック空港で撮影された飛行機とタラップの写真。ペパーミントグリーンの色彩がポップで、とてもかわいいです。 作品についての解説は、隣のキャプションに記載されているものもあれば、各展示室の入り口にQRコードがあり、それで読み取って解説を見られる作品もあります。歴史的、文化的背景についての解説もあるので、写真を見ながら知的好奇心も刺激されます。 実際に行ってみたくなる写真も多く、旅心をくすぐられる展覧会です。 かわいいグッズもいっぱい! 『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』会場風景 最後のミュージアムショップでは、カラフルでかわいいグッズがいっぱい揃っています。韓国で人気のあったグッズを直輸入したものや、東京展オリジナルのグッズもあり、目移りしそう。 また、公式ブック『ウェス・アンダーソンの風景』もショップで購入可能です。 本展は5月26日まで開催。 Information 会期    :~5/26(金) ※休館日なし会場    :寺田倉庫G1ビル(天王洲)開場時間  :11:00~19:00(最終入館18:30) 金・土は20:00まで(最終入館19:30) 5/22~25は 20:00 まで※状況により会期・開館時間等が変更となる場合がございます。観覧料   :一般¥2,000、大学生¥1,500、高校・中学・小学生¥1,000※本展は予約不要。状況により【 オンラインによる事前予約 】が必要となる場合がございます。詳細は展覧会公式ホームページをご確認ください。  https://ananweb.jp/anew/483715/ Source: ananweb