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  • 2024.06.09

東江雄斗×部井久アダム勇樹、ハンドボールは「短時間の中で本当にいろいろなことが起こる競技」 | ananweb – マガジンハウス

36年ぶりとなる五輪への自力出場を勝ち取った“彗星JAPAN”。ハンドボールの発展と進化を推し進めるプロチーム・ジークスター東京で活躍する、東江雄斗選手と部井久アダム勇樹選手が語る、競技の“いま”とパリ五輪への想いとは。 東江雄斗×部井久アダム勇樹(ハンドボール/ジークスター東京) ボールが手に吸い付いているかのように自在に操り、対峙する相手選手陣の間をかいくぐって華麗にゴールへ投げ込んでいくハンドボール。“彗星JAPAN”こと男子日本代表は、昨年10月のパリ五輪男子アジア予選で悲願の優勝を果たして36年ぶりの自力での五輪切符を獲得した。共に日本ハンドボールリーグのジークスター東京に所属する東江雄斗選手と部井久アダム勇樹選手は、その代表への選出を有力視されている。 両親も兄もハンドボール選手をしており、物心ついた頃からボールがそばにあった東江選手。小学校の卒業文集には「将来の夢はオリンピック選手になること」と書き、「やめようって思ったこともないし、やめたいと思ったこともない」と言い切る。大学からは“司令塔”と呼ばれるセンターを務め、アジア予選ではキャプテンも務めた。一方の部井久選手は、小学5年生の時に参加した福岡県タレント発掘事業でハンドボールの講師から「君だったら日本代表になれるよ」と言われたことを機に同競技の道へ。高校3年生の時に代表に初選出されて以来7年もの間レフトバックを担当し、時速127kmを誇る日本トップクラスの豪速球ロングシュートは「アダムキャノン」(本人命名)と呼ばれている。自身を高校生の時から知る東江選手は部井久選手にとって、「いわばシェフ」なのだとか。 「雄斗さんは本当に器用なんです。全体のバランスを見て味方を生かしますし自分で攻めもしますし。絶大な信頼を寄せる先輩で、僕は雄斗さんにアシストしてもらいながら気持ちよくプレーをさせてもらっている食材です」(部井久) 対して「いやぁ、もうすごい高級食材で(笑)」と東江選手。 「困った時や大事な局面でのアダムの得点力は非常に重要で、彼が点を取れなかったら確実にうちのチームは負けます。だからこそ自分は周りを含めて彼をどう動かしてやろうかと常に考えている状態。それにアダムも近年は味方を生かすプレーを身に付けてきて、どんどんプレーの幅が広がっている印象がありますね」(東江) ハンドボールの魅力については二人とも口を揃えて「スピーディな展開」と述べている。 「短時間の中で本当にいろいろなことが起こる競技。それに顔以外であれば、正面からどこに触りに行ってもいいスポーツでもあります。僕のように身長が2m近く、体重100kg超えの選手同士がぶつかり合う激しさや、そこを抜けてシュートを打ったり、止めたりする攻防戦もすごく見応えがあると思いますね」(部井久) 「チームスポーツでもあるので、観戦に慣れてきたら応援するチームが仲間とどう協力して相手チームのディフェンスをだましたり、攻撃を仕掛けたりしていってるのかを考えながら観てもらうのも楽しいと思います。パリ五輪への出場を決めたとはいえ、バスケットボールやバレーボールに比べるとまだまだ認知度は低い競技。もっと多くの人に知ってもらうためにもアダムさんのさらなる露出で、多くのファンを会場に呼び込んでもらえたらと思います」(東江) 「いやいや、僕だけじゃ無理です(笑)。でも確かに東京五輪から少しずつ露出の機会は増えてきましたし、リーグも来季からはプロになる予定で、うちのチームもその先駆けとしてほとんどの選手がプロ契約中です。試合もこれまでは質素な感じで演出面に力を入れていない状態でしたけど、ジークスター東京がエンターテインメント性を出すようにしてからは他チームにも同じ動きが出てきました。あと選手としてできることは、やっぱり『代表で結果を出す』ということに尽きます」(部井久) そのためにも目指したいのは、パリ五輪でのベスト8進出。 「キャプテンとしてアジア予選の優勝の瞬間に立ち会えたことは、自分の中でもとても大きなことでした。僕の年齢的にも五輪出場は今回がラストチャンスかなと思っているので、まずは代表メンバーに入ることが目標。その上で司令塔としてほかの選手たちと積極的にコミュニケーションをとりながら予選リーグを突破して、そこからメダル獲得にチャレンジできたらと思っています」(東江) 「自力での五輪出場は自分のハンドボール人生の中でずっと掲げていた目標の一つだったので、決まった瞬間はめちゃくちゃに泣いていたことにも、後で映像を見てやっと気付くくらいに興奮していました。自分は高校生の頃から代表にいて、ベテランの選手とも昔から知っている仲。今は歴でいうと中堅ぐらいになってきているので、代表内では選手同士の架け橋的な役割ができると考えています。プレーヤーとしても新しく就任した監督の考えや自分に求められることをしっかりと理解して、それをコート内でしっかりと表現する。五輪はかなり厳しい戦いになると思いますが、より勝つ確率の高いプレーを選択していけるようにしたいです」(部井久) あがりえ・ゆうと(写真右) 1993年7月6日生まれ、沖縄県出身。身長183cm。センターバック。興南高等学校を卒業後、早稲田大学へ。2013年の全日本学生ハンドボール選手権大会では優秀選手賞を受賞し、’15年は第28回ユニバーシアード競技大会、および同年日本代表にも初選出。日本ハンドボールリーグでは’16~’21年に大同特殊鋼でプレー後、ジークスター東京へ移籍。’23年のアジア予選では代表キャプテンを務めた。 べいぐ・あだむ・ゆうき(写真左) 1999年4月21日生まれ、福岡県出身。身長196cm。レフトバック。パキスタン人の父親、日本人の母親を持つ。博多高等学校へ進学後、2017年7月に高校生初の日本代表に選出される。中央大学へ進学後の’18年にはフランスリーグのセッソン・レンヌ・メトロポールHBと契約して渡欧。大学卒業後はジークスター東京に所属し、昨年春にはAl Jazira(UAE)への約1か月半の期限付き移籍も経験した。 ※『anan』2024年6月12日号より。写真・須田卓馬 スタイリスト・井田正明 ヘア&メイク・伏屋陽子(ESPER) 取材、文・松木智恵 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/552851/ Source: ananweb

  • 2024.06.09

人気漫画×豪華制作陣の話題作! アニメ『怪獣8号』の魅力を徹底解剖 | ananweb – マガジンハウス

人気漫画『怪獣8号』が待望のアニメ化を遂げ、そのムーブメントは世界へと拡大中! 見る者を虜にする、本作の魅力を徹底解剖。 国内外で話題沸騰の人気作に迫る! アニメ『怪獣8号』の魅力。 4月にスタートし、毎話、放送後にはSNSでも盛り上がりを見せるアニメ『怪獣8号』。緊迫のバトルシーン、個性的なキャラクターなど、本作の見どころを改めて紹介。 人気漫画×豪華制作陣大注目の怪獣アニメ! 集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」で2020年に連載が開始した松本直也さんによる『怪獣8号』。連載開始当初から期待の声が多く寄せられ、現在、コミックスの国内累計発行部数(デジタル版含む)は1300万部を突破。アニメ化が発表されると、国内外で大きな反響を呼んだ。 物語の舞台は怪獣大国・日本。怪獣を討伐する「日本防衛隊」への入隊を志していた日比野カフカが、一度は諦めた夢に向かって再び立ち上がり、謎の小型怪獣により自身が怪獣になってしまいながらも、仲間と共に怪獣災害の脅威から人々を守っていく。隊員同士の胸アツな関係、興奮必至のバトルなど、見どころ満載の本作には豪華スタッフが集結し、Xでの全世界リアルタイム配信という前代未聞の試みも。気になる話題が山盛りの本作の魅力をまずは紹介! トップクリエイターによる圧巻の怪獣たち! 日本エンタメのお家芸ともいえる“怪獣”をテーマにした本作。怪獣デザインを担当したのは『エヴァンゲリオン』シリーズで知られる前田真宏さん。怪獣の不気味な表情や質感に目を奪われ、見る者の恐怖を誘う。 アニメだからこその迫力満点のアクションシーン。 『攻殻機動隊』シリーズや『PSYCHO‐PASSサイコパス』シリーズなど、人気作を数多く手がける「Production I.G」が制作。怪獣とのバトルシーンは超ド級の迫力。怪獣撃破後に降り注ぐ血の雨など衝撃的な描写も注目。 従来の作品とは一線を画すヒーロー像。 主人公の日比野カフカは32歳の“おじさん”。泥くさく、どこか哀愁が漂う、少年漫画の王道からは外れたヒーロー像も新鮮。カフカが昔の情熱を取り戻し、再び防衛隊を志す様にはシンパシーを感じるファンも。 ワールドワイドな展開に注目。 OPテーマにはYUNGBLUD、EDテーマにはOneRepublicと、海外の人気アーティストを起用。さらに、Xでの全世界リアルタイム配信により、世界中のファンが同時に視聴し、熱狂が巻き起こっている。 個性的なキャラクターが勢揃い! 主人公の他にも、カフカの相棒的存在の市川レノや圧倒的な才能を持つ新人隊員・四ノ宮キコル、第3部隊隊長の亜白ミナ、副隊長の保科宗四郎など、魅力的なキャラばかり。推しキャラを見つけて楽しむのも。 アニメ『怪獣8号』 怪獣となった男・日比野カフカが、怪獣討伐組織「日本防衛隊」に入隊するという幼い頃からの夢を追い、仲間と共に奮闘する姿を描く。土曜23時~、テレ東系列ほかにて放送中。X(旧Twitter)にて全世界リアルタイム配信。©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社 ※『anan』2024年6月12日号より。原画・奥野治男 取材、文・関川直子 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/552843/ Source: ananweb

  • 2024.06.02

横澤夏子、友達に友達を紹介するのは「めちゃくちゃハードルが高い」 上手にセッティングする友人を尊敬 | ananweb – マガジンハウス

出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、交友関係を広げてくれる女性、「友達に自分の友達を紹介してくれる女」になりきり。 面倒くさがらず、交流の場をセッティングしよう。 この間、仲のいい友達と集まることになった時、彼女がよく遊びに行く児童館のような遊び場を教えてくれた上、そこの管理人さんを紹介してくれました。最初、友達だけしかいないと思っていたから、管理人さんがいるなら話す内容も変わってきそうだなと少し構えていた私。でも、友達が「この人はこういう人で、いろいろな話を聞いてくれるし、相談にも乗ってもらっていて…」と、管理人さんのプロフィールや人柄を詳細に教えてくれて、結果、みんなで一緒に楽しく過ごすことができたんです。私の子育ての悩みを聞いてアドバイスをくれたりもして。きっと、友達は私たちや管理人さんの性質や状況を見極めて、絶対に大丈夫だと思ったからこそ紹介してくれたんだろうなと。正直、友達に友達を紹介するのは、私にとって、めちゃくちゃハードルが高いこと。私以外の人がちゃんと楽しめているかな? 大丈夫かな? と心配になったり、プレッシャーを感じたりして疲れるのが嫌だから、結局、紹介しない場合がほとんどで…。だからこそ、友達が交友関係の輪を広げているのを見て、そういう機会を作ってくれる人は本当にすごいなと思ったんです。おかげさまで、人間関係に新しい風が吹くという経験ができました。 上手な紹介ができるようになるには、自分の友達に、「こういう人がいるんだけど…」と他の友達の話をして、「その子に会ってみたい」と言われたら、場をセッティングしてみる。こちらの都合でいきなり会わせてしまうと気まずい空気になる可能性も高いので、ちゃんと友達が興味を示してからにしましょう。また、「こういう人がいるよ」と人に紹介できるよう、普段から友達の話をちゃんと聞いて、情報をインプットしておくことも大事だと思います! よこさわ・なつこ 芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。 ※『anan』2024年6月5日号より。写真・中島慶子 イラスト・別府麻衣 文・重信 綾 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/551800/ Source: ananweb

  • 2024.06.02

chelmico・Mamiko「雨って意外と楽しいんだよね」 ただし湿気による髪への影響が悩み | ananweb – マガジンハウス

chelmicoによる連載「chelmicoのちいさなにっき」。Vol.34はMamikoによる「雨の日は好き? 嫌い?」の巻。 湿気に強いヘアケアアイテムを教えてほしい。 私は梅雨生まれの雨女。なんか大事な約束がある日だったり、野外ライブの時なんかも雨が降りがち。レイチェルがはちゃめちゃに晴れ女だから相殺して曇りか、レイチェルの強強パワーで晴れの時がかなり増えてきてるけれども。てか、まず雨女、晴れ女とかあるのが謎だけど。なんかよく言われるよね。ってことで雨にはかなりお世話になってます。雨、好きよ、アタシ。なんかざっくり言うと海が降ってきてるようなもんだしね。海が好きだから、雨も好きなのかな。小雨なんかはさ、家の中にいる時に窓開けて網戸にして寝転んだりお料理したりするとすごい気持ちがいいんだよね。雨の音と少しひんやりした感じ、かなり癒される。大雨は大雨で、もはや気持ちがいいよ、びっしゃびしゃになるの確定だから。どうにでもなれって気持ちにもなれるしね。普通くらいの雨は、可愛い長靴とか可愛い傘が活躍するからそれもまた楽しめるし。あとお散歩中の雨具を着てる、可愛すぎる犬を見かけれるしね、お散歩中のカッパ犬見るとテンション上がる。 雨って意外と楽しいんだよね、こうやって文章にしてみると、雨っていいよなぁってより思えるよ。だけどごめん一つ言うけど、暑い時の雨、湿気はかなり厳しいなと感じる瞬間あるよ。髪の毛をばっちりセットしたってアホ毛がぴょんぴょこでてくるし、なんか前髪とかおでこにペタペタ張り付くし、そこはちょっと、うん、ごめんだけど、うんうん、ちょっと厳しい~…かな、うん、ごめんね。マジで、その辺ってみんなはどうしてるの?? 私の解決策はもはや前髪を作らないで耳にかけるとか、オイル系で最初からウェットに仕上げてます みたいにして対応してたけど、きっともっとなんか方法があるよね? 湿気に強いワックスとかヘアケア系があったらぜひとも教えてほしい。最近は髪の毛が伸びてきてボブヘアっぽくなってきてるから、本当に知りたい。髪の毛、まとまりたい。 チェルミコ 左・Rachel(レイチェル) 1993年生まれ、神奈川県出身。右・Mamiko(マミコ) 1996年生まれ、東京都出身。2014年にchelmicoを結成。デジタルシングル「Question」が現在発売中。 ※『anan』2024年6月5日号より。写真・幸喜ひかり ヘア&メイク・ナリタミサト (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/551795/ Source: ananweb

  • 2024.05.30

ついにSEVENTEENが初のスタジアムツアーを完走! 「夢のステージに13人で立てたことが幸せ」 – 取材・文 尹 秀姫 写真・ (P)&(C) PLEDIS Entertainment | ananweb – マガジンハウス

SEVENTEENがスタジアムツアー「SEVENTEEN TOUR ‘FOLLOW’ AGAIN TO JAPAN」を開催した。このツアーは昨年の7月にスタートした「SEVENTEEN TOUR ‘FOLLOW’」のアンコールコンサートで、韓国では3月30、31日に仁川・アシアードメインスタジアム、4月27、28日にソウル・ワールドカップ競技場、日本では5月18、19日に大阪・ヤンマースタジアム長居、5月25、26日に神奈川・日産スタジアムの計8回に渡って公演してきた。ここでは日産スタジアムの初日、5月25日のライブの模様をレポートします。 13人が日産スタジアムに! CARATの歓声が渦巻くビッグステージ 【ペンになってもいいですか!?】vol. 205 轟音が大きなスタジアムに轟き、ステージを隠すように覆われていたスクリーンが上がると、そこにはビジューでデコレーションされたシルバーのジャケットをまとったSEVENTEENの13人の姿が。昨年、行われたドームツアーと同じく、「Super」でのスタートとなったが、前回を超えるスケールの大きさが、これはスタジアム公演なのだということを強く印象づけた。 メンバーもパワーみなぎるパフォーマンスで気合を感じさせるが、時折見せる笑顔でステージを楽しんでいることが観ているこちらにも伝わってくる。曲のクライマックスにはステージに炎が次々と打ち上がり、ステージ後方から花火が上がる。ド派手な演出でスタジアム公演はスタートした。 ライブ序盤が終わると、「スタジアムにSEVENTEENが来ました!」と興奮気味に叫ぶHOSHI。そんなHOSHIを見ながら、JEONGHANは3曲目の「CLAP」でHOSHIがセンターに立つパートでいつも以上に頭を振りかぶって踊っていたとおかしそうに明かした。 自己紹介ではDKが「本当に信じられないです、日産スタジアム。完璧じゃーん!」といつもの挨拶を交えつつ、さらには「今日は歌を準備しました」と生バンドの演奏つきでソロ曲「Go!」を披露。THE 8️は会場のCARAT(ファンの総称)の歓声を生で聞こうとイヤモニを外し、上を指差してもっともっとと大きな歓声を引き出していた。 JOSHUAはドーム公演でもやっていた両手でたれ耳を作る“シナモン”ポーズをしながら、「JEONGHANに“シナモン”じゃなくて“シュナモン”に替えたらと言われたんです」と言って「イット?」「シュナモン」という新たなコール&レスポンスを誕生させた。HOSHIは「今何時?」「10時10分!」のコール&レスポンス、そして「ホランへ」で虎の手ポーズまで、いつもの流れを満員のスタジアムでもやってみせた。 JEONGHANも、いつの間にか定番の挨拶になった“充電”を「恥ずかしくて最近“充電”してなかったんですけど、今日は日産(スタジアム)だから」と言って久しぶりにやってみせたが、やはり恥ずかしかったのか最後は盛大に照れていた。JUNはVサインで猫耳を作り、Vを客席に飛ばすとCARATたちが「にゃー」と鳴くコール&レスポンスで大きな歓声を引き出し、満足げ。 残念ながらドームツアーには参加できなかった統括リーダーのS.COUPSは、笑顔を見せただけで会場からは大歓声が。そんなCARATの歓迎を受けて「僕が戻ってきました」とうれしそう。 この日、自己紹介の順番がラストだったWOOZIが「いつもメンバーたちの長い長い話に付き合ってくださってありがとうございます」と挨拶するほど、長い自己紹介タイムとなった。 今回のスタジアムツアー「SEVENTEEN TOUR ‘FOLLOW’ AGAIN TO JAPAN」は昨年のドームツアーのアンコール公演という位置づけではあるものの、今回から追加になった曲もたっぷり用意されていた。 「Rock with you」の日本語バージョンは、広いスタジアムという会場の後ろの席にいるCARATたちも近くで観ることができるバックステージで披露され、疾走感のあるメロディはまだ日が高く明るいスタジアムによく似合っていた。 ユニットステージでも、ボーカルチームは「Yawn」、パフォーマンスチームは「Back 2 Back」、ヒップホップチームは「Monster」とそれぞれ新曲ステージを用意。そして前回のドームツアーでCARATが一番待ち望んでいた「God of Music」も今回はじめてパフォーマンス披露した。 「CARATのみなさん、大好きです!」というHOSHIのシャウトで始まった「All My Love -Japanese ver.-」では、DKが跪いてWOOZIの手を握るモーメントも。パフォーマンスに注目されがちなSEVENTEENだけれど、誰がボーカルを取っても聴かせることができるのも彼らの強み。SEUNGKWANのハイトーンがスタジアムに響くと、会場からは感嘆の声があちこちから漏れ聞こえてきた。最後の「まもってあげる いつも」という歌詞のパートをJEONGHANが歌っていることから、「みなさん、JEONGHANさんが守ってくれるそうですよ」とHOSHIが言うと、JEONGHANも「もちろんだよ」とにっこり。 完全に日が落ちて真っ暗になったステージにピアノの旋律が鳴り響き、始まったのは新曲「MAESTRO」。最初はHOSHIが握っていた指揮棒が次々と持ち主を変えて最後はWONWOOの手に渡っていたり、中盤、激しくリズムを刻むパートでメンバーが怒涛のステップを見せたり、サウンドだけでなくパフォーマンス的な見どころも多いこの曲で、スタジアムの観客も一斉に沸いた。 「さっきから思ってたんですけど、果てしなく席が見えますね」というMINGYUの言葉に、「ライブも終盤にさしかかっていますが、今もまだ夢のようです」とSEUNGKWAN。そしてその「夢」というワードをきっかけに「DREAM」のアカペラの大合唱がメンバーとCARATの間で始まってしまうのもすっかりおなじみに。 そして日産スタジアムでウェーブが見てみたいということで、SEVENTEENとCARATの公式カラー、Rose Quartz&Serenityにスタジアムの客席が染まった。この2色のウェーブがスタジアムの最前列から一番後ろの席にまで到達し、さらに後ろから前へ戻って来る様子をメンバー全員がステージから見届けて、感動したDKが「この景色の中にダイブしたい」と言うと、メンバーだけでなく客席からも「見せて」のコールが湧き上がる一幕も。最後には客席に「DAISUKIARIGATO」の文字が浮かび上がった。 ラストはDKの朗々とした歌声から始まる「HOT」。最後まで気合の入ったパフォーマンスでスタジアムを圧倒して終わるかと思いきや、「まだまだだよ、日産“テチャン!”(合唱)」というHOSHIの掛け声で会場のCARATたちも負けじと「HOT」のリフレインを叫ぶ。そうして会場の興奮が最高潮に高まる中、ステージ後方から大きな花火が連続して打ち上がり、スタジアムにふさわしいクライマックスで本編は終了した。 アンコールではメンバーそれぞれ広いステージに散り散りになりながら、CARATとのコミュニケーションを楽しんだ。広いアリーナ席を囲むように設けられた花道にまっさきに駆けていったのはMINGYUとDINOで、JEONGHANはキックボードに乗りながら花道をスイスイ移動していく。 スタジアム公演で新たに追加された「Together -Japanese ver.-」ではMINGYUがステージの中央に陣取り、スタジアムのステージから眺める景色を愛おしそうに眺めていたかと思えば、DKはWOOZIとのハーモニーを響かせるパートでWOOZIをバックハグ。 THE 8️の「リフトアップ!」の掛け声でメンバーが座ったリフトが上がると、この日最後のMCへ。DINOは「夢のような瞬間を作ってくださって本当にありがとうございます!」と深々とお辞儀しながらハートを飛ばし、VERNONは「これからもCARATのみなさんが幸せになれるようにがんばります」と笑顔を見せた。 SEUNGKWANはWONWOOの決めゼリフ「月がきれいですね」と口にしたものの、あいにくの曇り空で月が見えず、苦笑しつつ「グァンランへ」と締めくくり。SEUNGKWANにお株を奪われたWONWOOはそれでも負けじと「月がきれいですね」とコメント。JOSHUAまでもが「月がきれいですね」と言い始め、メンバーから「月はどこ…?」とツッコまれていた。 S.COUPSは「僕は足の負傷でスタジアムに立てないと思っていたので、こうして夢のステージに13人で立てたことが何よりも幸せです。これから10年、20年後も日産スタジアムで公演できるグループでいたいです。そしてCARATとSEVENTEENをいつまでも守れるリーダーでありたいです」と気持ちを新たにコメントした。 最後には、SEVENTEENのコンサートのアンコールではおなじみの「VERY NICE」の無限リピート。いつまでも続く「アジュナイス!」のリフレインに、SEVENTEENもCARATも全力で遊び尽くした。 夢のドーム公演、ドームツアーを経て、さらに新たな夢となったスタジアムまで叶えたSEVENTEEN。彼らがまた新たな夢に向かっていく姿をこれからも見守っていきたい。 (P)&(C) PLEDIS Entertainment 取材・文 尹 秀姫 写真・ (P)&(C) PLEDIS Entertainment https://ananweb.jp/column/kpop/552383/ Source: ananweb

  • 2024.05.29

加藤清史郎「驚きとプレッシャーです (苦笑) 」 宮崎駿初監督作『未来少年コナン』が舞台化 | ananweb – マガジンハウス

最終戦争後の荒廃した地球。正義感あふれる野生児・コナンが、世界征服を目論む組織に狙われる少女・ラナを助け冒険の旅に出る。宮崎駿さんが初監督を務めたことで知られるアニメ『未来少年コナン』。46年前に放送された名作を、世界的に活躍する演出家インバル・ピントがダビッド・マンブッフと共に舞台化を手がける。インバルというと、日本ではこれまでにミュージカル『100万回生きたねこ』や『ねじまき鳥クロニクル』などを、美しくファンタジックな舞台美術に、コンテンポラリーダンスの表現を取り入れた創造性の高い演出で、観客を釘付けにしてきた人。 宮崎駿さんの46年前の初監督作。「想像の上のものが見られるはずです」 「初めてインバルさんの舞台を観たとき、ひと言目が『なんだこれ、すっげぇ』でした。いろんな技術が出てきている今の時代に、新しい技術を取り入れながらも、舞台機構や装置、小道具、そして何より人の体というオーソドックスな手法を使って、こんなこともできるんだっていう想像外のものを目の前で見せてくれる。なるほどこれが鬼才と言われる理由かって思いました」 と話すのは、本作でコナンを演じる加藤清史郎さん。インバル作品というと、フィジカルと舞台美術や照明などでシーンを舞台上に描き出し、それをつなぎ合わせることで物語を紡いでゆき、セリフもあくまでその要素のひとつという印象。これまでとはまるで違う表現を求められる現場にまだ戸惑っている様子。 「作品自体は絶対に面白くなるんですが、そこに自分の名前が並んでいるのが、驚きとプレッシャーです(苦笑)。これまでも動く役はいろいろ演じてきましたが、俊敏さの種類が違って、しなやかさや伸びやかさが求められるというか…。事前にワークショップもあったんですが、何かの技を習得するというより、ひたすら自分の体を知って、その感覚を研ぎ澄ましていくことを求めていた感じです。すごいのは、同じ動きであっても質感を変えるだけで見え方が全然違うということ。例えば、バク転の動きをするとして、僕がやるとただのバク転になってしまうけれど、やる人がやれば、前から何かが来るのを避けてのけぞって後ろに下がるという動きに見えてくる。ただ自分ができてないので、しょげたりしょげかけたりしています」 原作アニメは、SF冒険譚でありながら戦争の虚しさや人間の本質、人間愛なども描かれている。 「一見ポップに見えるけれど、描いているものはすごく深くて重みがあります。’70年代に作られた作品だけれど、今を生きる僕たちが観てもしっかり届く。伝えたいメッセージを強い言葉で主張するんじゃなく、自然な形で人の心に訴えかけるのがすごいですよね。刺さるというより、染み込んでいくような…。この間、カンパニー全員で共有する時間があったんですが、インバルが、今の時代にこの作品をやることにものすごく意味があるし、僕らはそれを届けないといけないんだと話していて、本当にそうだなと思いました。今回の舞台も、アニメと同じように世界が壊れていくプロローグから始まります。そこをいろんな手法を使って見せていくんですが、最初は人の体だったものが徐々に別のものに見えてきたり、急に人じゃないものになったり。舞台なのにスクリーンを見ているような瞬間もあるし、縦だった世界が横になったり重力を感じさせない場面もあったり。想像を超えた世界が広がっているので、あらゆる世代の方に観てほしいですね」 舞台『未来少年コナン』 宮崎駿監督作、不朽の名作冒険アニメーション『未来少年コナン』(1978年)を舞台化。朽ち果てた地球の片隅、孤島「のこされ島」で野生児のように生きる主人公の少年・コナン(加藤清史郎)。ある日、謎めいた少女・ラナ(影山優佳)と出会うことで、島しか知らなかったコナンの世界は開き、予想もしない大冒険が始まる――。5月28日(火)~6月16日(日) 東京芸術劇場プレイハウス 原作/宮崎駿監督アニメ『未来少年コナン』 演出・振付・美術/インバル・ピント 演出/ダビッド・マンブッフ 出演/加藤清史郎、影山優佳、成河、門脇麦、宮尾俊太郎、今井朋彦、椎名桔平ほか S席平日¥11,000、土・日曜¥11,800 サイドシート平日・土・日曜ともに¥9,000 ホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949 大阪公演あり。 かとう・せいしろう 2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。子役を経て、ドラマや舞台で活躍。近作に、ドラマ『最高の教師』、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』などがある。 シャツ¥4,950 パンツ¥6,930(共にCASPER JOHN) 中に着たメッシュプルオーバー¥4,950(AIVER) 以上シアン PR TEL:03・6662・5525 ※『anan』2024年5月29日号より。写真・森川英里 スタイリスト・金 順華(sable et plage) ヘア&メイク・入江美雪希 インタビュー、文・望月リサ (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/550543/ Source: ananweb

  • 2024.05.28

生見愛瑠、神尾楓珠は「群を抜いて変な人 (笑) 」 ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』現場を語る | ananweb – マガジンハウス

事故で記憶喪失になった緒方まことが、手元に残された指輪がぴったりとはまる男性3人と四角関係の恋を繰り広げる火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』。7話まで放送が終わり、物語は佳境へ。 “本当の自分とは何か”を、演じながらも考えさせられる物語です。 「火曜22時という枠なのでキラキラした胸キュン系のお話をイメージされる方も多いと思いますが、ミステリー要素もあり、“本当の自分を見つける”という人生で誰もが通るテーマも描かれています。私自身、毎回いろいろ深く考えさせられます」 そう話すのは、まことを演じる生見愛瑠さん。現場を重ねるにつれ、キャラクターへの解像度が高くなっていったという。 「まずは役の設定などを見て、自分の中で想像してから台本を読み、ある程度、役を固めていくのですが、現場に入ると全然違うものになることも少なくないです。だから、撮影が始まってすぐの頃は探り探りでドキドキしていたし、1週間くらいして、やっと役になりきれる感じがありました。記憶喪失になるという設定を重く捉えていたけれど、プロデューサーさんたちと話して、前向きで強い女の子像にしようということに。どんどん明るさを足していくうち、めちゃめちゃ明るい子になっていました(笑)。でも、そうしたことで、ピュアで真面目な女の子に映っていたので良かったです。台本を読んだ時には違和感があったセリフも、現場で他の共演者の方と演じるうちに納得できることも多いし、言いづらいと感じたセリフがあったら、その場で変更することも。みんなでいろいろと相談しながら、リアルタイムで作っていく、舞台のような作品だと感じています。難しいけれど、すごく楽しいです」 まことを巡る3人の男性を演じるのは、瀬戸康史さん、神尾楓珠さん、宮世琉弥さんという豪華な俳優陣。 「学校みたいな感じの、わちゃわちゃした現場です。みなさん、いい人ですが、神尾さんが群を抜いて変な人で(笑)。一番しゃべるし、大事なシーンを撮る直前に突然『オレンジ色が流行っているの?』と聞いてきてびっくりしたことも。でも、ムードメーカーぶりに助けられているし、明るい現場になっています」 大変なシーンを撮影して疲れた時のリフレッシュ法も教えてくれた。 「カロリーを使うからなのか、頑張った日はハンバーガーを食べます。どれだけ遅くなっても絶対に(笑)」 近年、ドラマや映画への出演が続いている生見さん。演技の仕事への考え方にも変化があるという。 「作品を重ねるにつれて役への向き合い方が変わってきたし、自分の意見を伝えられるようになってきて。それが、演じるお仕事の楽しさの一つになっています。バラエティに出ている私が演技をする、というところから、一人の“演じる人”として見られるようになってきたことで、プレッシャーを感じることもあります。でも、演技のお仕事は楽しくて大好きだし、ずっとやりたかったこと。これからも頑張りたいです」 『くるり~誰が私と恋をした?~』 記憶喪失のまこと(生見)が手元に残された男性用の指輪を手掛かりに、“恋の相手”と“本当の自分”を探すラブコメミステリー。まことの前に指輪がぴったりとはまる、自称元彼・西公太郎(瀬戸)、自称唯一の男友達・朝日結生(神尾)、自称運命の相手・板垣律(宮世)の3人が現れ、恋の四角関係を繰り広げる。毎週火曜22時~、TBS系にて放送中。 ぬくみ・める 2002年3月6日生まれ、愛知県出身。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)、『トークィーンズ』(フジテレビ系)をはじめレギュラー番組多数。映画『モエカレはオレンジ色』などに出演。愛称は「めるる」。 ※『anan』2024年5月29日号より。写真・土佐麻理子 スタイリスト・伊藤ミカ ヘア&メイク・榊ひかる インタビュー、文・重信 綾 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/550538/ Source: ananweb

  • 2024.05.28

何がアートの価値を決めるのか? アート×マネーに迫る、新感覚コミック | ananweb – マガジンハウス

“何がアートの価値を決めるのか”をテーマに描いたマンガ『いつか死ぬなら絵を売ってから』について、作者のぱらりさんにお話を聞きました。 「アート×マネー」のスリリングな関係性を見つめる、新感覚コミック。 「絵画作品が高額で売れたというニュースが流れると『絵一枚にそこまでの価値があるのかわからない』と否定的な見方をされることがありますよね。私はアートが好きなので、そういう意見はつらいな、と。なので、絵画や芸術のすばらしさを、専門知識も噛み砕いてエンタメ的に面白く描けたら、みんなも興味を持ってくれるかなと思ったんです」 かくて生まれたのが、ぱらりさんの本作。普通の暮らしさえ望めない境遇にいた霧生一希(きりゅう・かずき)の唯一の慰めは絵を描くこと。アート界にパイプを持つ資産家の嵐山透(あらしやま・とおる)に才能を見出され、一希は半信半疑ながら、絵を売って人生を変えていくことに目覚めていく。ぱらりさんは“何がアートの価値を決めるのか”という、多くの人が知りたかったテーマに挑む。 それまではアートに触れたり学んだりする機会がなかった一希だが、透をはじめ、美大で教鞭を執る雲井(くもい)や売れっ子アーティストの凪森(なぎもり)らから刺激を受けて急成長。その変化にわくわくする。 「一希は描かずにはいられないという衝動でやってきた部分があるわけですが、それを市場に乗せていこうとすれば、売れる絵とは何かも考えていかなくてはならないわけです」 たとえば、一希の境遇も、“反骨の”とか“逆境から這い上がった”といった美辞麗句にすることはできるが、そう単純な話でもないだろう。 「考え方次第で武器にもできるかもしれませんが、一希自身は自分の過去を一方的に消費されたら傷つきますよね。その中でどうしても衝突や葛藤が起きてくるはず。もっともそういう課題は雲井や凪森も同じ。もちろん絵に限らず、マンガや音楽…何でもそうだと思いますが」 一希の絵の特徴を、雲井は〈パッと見で連想するのはヴァロットン〉〈「黒」にこだわってるのかな〉等々、瞬時に見抜く。実際、一希ほか誰がどんな絵を描くのかは本作のひとつのキモだ。 「アート系のマンガをやるなら、登場人物が描く絵はすごく大事だなと思っていて。なので、そこも来歴を含めて考えていきました。一希なら、アカデミックな美術教育は受けていないけれど、幼少期からずっとドローイングを続けてきた独特の描写力はあるだろうな、といったように」 3巻では、一希が意欲を見せていた、アート新施設のオープン記念企画展をめぐる、マーケティング戦略の話が動き出す。それぞれの願いの行方を見守りたい。 ぱらり『いつか死ぬなら絵を売ってから』3 養護施設育ちの一希がネットカフェ暮らしをしていたときに、アートへの愛情や審美眼を持つ透と出会う。ボーイ・ミーツ・ボーイの物語でもある。秋田書店 748円 ©ぱらり(秋田書店)2023 ぱらり マンガ家。京都府出身。2014年ごろからSNSや同人誌などで活動を始め、商業デビュー。他の著作に『ムギとペス ~モンスターズダイアリー~』など。 ※『anan』2024年5月29日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/550533/ Source: ananweb

  • 2024.05.23

「事態はあらゆるレベルで悪化している」フランスの気鋭監督が映し出したパリの知られざる真実 | ananweb – マガジンハウス

この夏さらなる盛り上がりが期待される都市である、パリ。日本でも人気の高い観光地ですが、そんななかでご紹介するのは、見たこともないパリの姿を映し出している話題作です。 『バティモン5 望まれざる者』 【映画、ときどき私】 vol. 645 パリ郊外にあるのは、「排除された者たちの地帯」という語源を持つ「バンリュー」と呼ばれる地区。ここにはいくつもの団地が立ち並び、労働者階級の移民家族たちが多く暮らしている。その一画にあたるバティモン5では再開発のために老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められていた。 そんななか、臨時市長となったピエールは、バティモン5の復興と治安を改善する政策の強行を決意。しかし、横暴なやり方は住民たちの反発を買ってしまう。そして、移民のケアスタッフとして長年働いているアビーたちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけに衝突。やがて激しい抗争へと発展していくことに…。 日本では知ることのできないパリの“暗部”を垣間見ることができる本作。今回は、ananwebに4年振りの登場となるこちらの方に、その裏側についてうかがってきました。 ラジ・リ監督 2019年に発表された長編映画監督デビュー作『レ・ミゼラブル』で主要な映画祭の賞レースを席巻し、世界にその名を知らしめたラジ・リ監督。前作と同じ製作スタッフが再び集結し、本作でも貧困地域が抱える問題に真正面から切り込んでいます。そこで、現地での反響や自身が感じている使命、そして日本に対する印象などについて語っていただきました。 ―パリに対して華やかなイメージを持っている日本人にとっては、前作同様に衝撃を受ける作品ですが、フランスの観客からはどのような反応がありましたか? 監督 普段からフランスのメディアがこういった事実を見せることはないので、現実とのギャップに多くの方が驚いていたようです。そもそもパリに「バンリュー」のような場所があることを知らない人すらいるくらいですから。 そういったこともあって、僕の作品を通して何が起こっているのかを目の当たりにした方が多かったようです。フランスといえば、人権を掲げ、啓蒙思想が浸透している理性的な国というイメージがあるかもしれませんが、実際はそうではありません。だからこそ、僕の使命はいままで語られることのなかったフランスの真実をみなさんに示すことだと考えています。 圧力に近いような動きを感じることもあった ―『レ・ミゼラブル』が公開されたときは、作品を観たエマニュエル・マクロン大統領が閣僚たちに指示を出したという動きもあったと言われていますが、本作も改善に向けて政府が動き出すきっかけになったこともありましたか? 監督 本作で扱っているのは劣悪な住宅問題についてですが、政治家たちが隠したいと思っているようなことがテーマとなっています。そういったこともあって、改善どころかなるべく人々に見せたくないというような圧力に近い動きを感じました。とはいえ、これはもはや隠し切れないほど大きな問題になっています。実際、フランスでは500万人ほどの人が劣悪な住環境に暮らしているような状況ですから…。 そんななか、貧困地区を再開発し、中流階級の人たちを呼び込んで街のイメージを刷新させようとする動きが出てきています。ただ、そうすると結局そこに暮らしていた人たちが排除されてしまうため、新たな問題が起きるのではないかなと。特にいまは世界的スポーツイベントを控えているので、政府としてはあまりこの問題にフォーカスされたくないという意図があるのだと思います。 ―つまり、盛り上がりを見せるいっぽうで、貧困地域との差がより大きくなってきているということでしょうか。 監督 それは間違いなくありますね。大規模な再開発計画が進められたので、それに伴って貧しい人たちを排除するような動きがありました。事態はあらゆるレベルで悪化していると言わざるを得ません。 扱っている題材は、自分自身が経験してきたこと ―この状況を改善するためには、どういった取り組みが必要だとお考えですか? 監督 現状については確認していますが、正直なところ僕もどうしたらいいかわからなくなっています。ただ、わかっているのは、いまの政府はまったくいいところがないので、フランスは壊滅的な状態にあるということです。 ―だからこそ、映画を通して状況を伝えていくのがご自身のすべきことだと考えていらっしゃるのですね。 監督 まさにその通りです。次回作でもこれまで語ってきたように90年代に起きた問題について主に取り上げていく予定ですが、これからもこの路線で自分の使命をまっとうしたいと思っています。 ―では、ストーリーを構築するうえで苦労したことがあれば、お聞かせください。 監督 シナリオを完成させるまでに3年ほどかかっていますが、「それぞれのアイデアをどのように組み合わせていけば整合性が取れるのか」といった部分が一番難しかったですね。住宅に関する問題を抱えている人や排除されてしまった人など、いろんな方に直接話を聞きにいっては頭を悩ませました。 ―監督といえば、リアリティのある映像を得意とされていると思いますが、撮影時に意識していることについて教えてください。 監督 そもそも扱っている内容は、僕自身が経験してきたことでもあるので、どうすれば映像に現実味を出せるかというのが身に染みてわかっているのは大きいですね。だからこそ、現場に行くだけでリアルなシーンを撮ることができるんだと思います。 「戦い続けていく女性を描きたい」という思いがあった ―本作には俳優以外にも現地の方も出演しているのでしょうか。 監督 エキストラの8割は、実際の住人たちに演じてもらっています。「出たい!」とみんなが言っていたので、希望者が多すぎてむしろ大変なくらいでした。 ―俳優ではない方たちには演技指導をされたのか、逆に普段のままでいてほしいと伝えたのか、どのような演出をされましたか? 監督 僕の場合は、どうしてほしいかというのを事前にきちんと伝えるようにしています。なので、「自由にやっていいよ」という感じよりも、わりとしっかりと演技指導をさせてもらいました。 ―フランスの観客は衝撃を受けていたとのことですが、当事者の方たちの反応はどのようなものだったのでしょうか。 監督 映画で語られているのが自分自身の物語ということもあって、非常に喜んでくれました。彼らにとっては、撮影に参加したことも誇らしい経験となってくれたようで僕もうれしいです。 ―また、本作では女性のキャラクターが印象的に描かれています。女性を描くうえで意識されたこともありましたか? 監督 主人公であるアビーのように、市民のための援助活動を熱心に行っている力強い女性というのは、実際の貧困地区にもたくさんいます。そういったこともあって、彼女たちにオマージュを捧げたいと思い、今回は女性を中心に描きました。アビーのキャラクターに関しては、モデルが1人いるというよりも、実在するさまざまな女性をミックスして作り上げています。 ―アビーの存在には希望も感じましたが、ラストはどのようにして決められたのでしょうか。 監督 彼女がどういう道を進んで行くのかという結末については、かなり初期の段階から決めていました。というのも、「戦い続けていく女性を描きたい」という思いがあったので。ただ、本作は登場人物が多いこともあって、それぞれをどういうふうに動かしていけば最終的にこのシーンにたどりつくかを考えるのが難しかったです。 日本には強い感銘を受ける部分がある ―話は変わりますが、日本には4年前にもいらっしゃっているので、どのような印象をお持ちなのかを教えてください。 監督 ヨーロッパより10年も、20年も先を行っているような最先端の国だなと感じています。僕のルーツはアフリカのマリ共和国ですが、そこと比べると1世紀くらい未来にいますよね(笑)。それくらい近代的な国というのが第一印象でした。 ただ、取材などを受けているうちに日本でも最近は移民や貧困の問題があることを聞き、世界中どこにでも同じ問題はあるのだなと。どんなに発展した国であっても、すべてがうまくいっているわけではないのだと改めて認識しました。 ―だからこそ、監督の作品は日本でも多くの方に観てほしいと感じます。では、日本のカルチャーで興味を持っているものはありますか? 監督 僕たちの世代はみんなそうだと思いますが、やっぱり日本の漫画やアニメは大好きですよね。特に『ドラゴンボールZ』とか。なので、そういうカルチャーが生まれた国で自分の映画が上映されることは、本当に誇らしいことだと感じています。 あとは、「職人」と呼ばれる方々が1つのことに情熱と愛情を込めて取り組んでいるのが素晴らしいなと。そうやって美しいものを作り出している姿にも強い感銘を受けています。 ―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。 監督 女性の方々はがんばって働いていると思いますが、ぜひ権力もつかんでほしいと考えています。というのも、男性ばかりが中心になると戦争をしたりして、国をめちゃくちゃにしてしまうと感じているからです。これからは、もっと女性の時代になるように願っています。 “不都合な真実”が私たちに問いかける これまで抱いていた“花の都”パリのイメージを大きく覆し、観る者の心を激しく揺さぶる衝撃作。権力に屈することなく声を上げて戦う女性たちの姿に、決して他人事ではないと感じさせられるはずです。 取材、文・志村昌美 目が離せない予告編はこちら! 作品情報 『バティモン5 望まれざる者』5月24日(金)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国公開配給:STAR CHANNEL MOVIES (c) SRAB FILMS – LYLY FILMS – FRANCE 2 CINÉMA – PANACHE PRODUCTIONS – LA COMPAGNIE CINÉMATOGRAPHIQUE – 2023 https://ananweb.jp/anew/550525/ Source: ananweb

  • 2024.05.22

妹をサブスク!? SNSで話題を呼んだ、不気味な衝撃作『妹・サブスクリプション』 | ananweb – マガジンハウス

橋本ライドンさんによる、コミック『妹・サブスクリプション』をご紹介します。 サブスクなしでは生きられない! 姉の歪んだ愛情が行き着く先は? 定額料金でさまざまなサービスを受けられる、サブスクリプション。 「私が使っている絵を描くソフトもサブスクですが、提供している会社の経営次第で、すべて失われる可能性もあるわけです。いまや生活に欠かせないものなのに、この危うさは怖いなあという思いがありました」 橋本ライドンさんのこの物語も、絵柄のかわいさとゆるさに和んでいると、思わぬ怖さが待っていたりする。まずもって、「妹」と「サブスクリプション」という言葉の組み合わせが謎なのだが…。 「指摘されて改めて気づいたのですが、私は執着とか愛の話を描くのが好きみたいで。もうひとつ、姉妹という関係にも惹かれていたので、姉が妹を追い求める話にしようと思いました。自分はきょうだいがいないので憧れもあるのですが、“血を分けた限りなく近い他人”という存在に、ロマンを感じてしまうのです」 4コマ形式で進んでいく本作。1話目では、会社から帰宅した姉のみゆきを妹の今日子が無邪気に迎えている。その後も仲良し姉妹のやり取りが描かれるのだが、今日子はちょっとした衝撃やケガでピタリと動きが止まってしまい、そのたびにみゆきは落胆する。動かない妹はやがて業者によって回収され、何事もなかったように元気な姿で戻ってくる。どうやら妹はサブスク商品らしいのだが、なぜみゆきがそんなことをしているのか、読者にはなかなか見えてこない不気味さがある。 「何かひとつのものを守ろうとして凶暴になる瞬間って、誰しもあると思うのです。みゆきは、会社ではしっかり者で通っていますが、そのギャップを描きたかったんです。彼女は妹と穏やかな暮らしを続けられさえすればいいと思っているけれども、周りがそうさせてくれない。袋小路に追い詰められたらどうなるのか、私自身も見てみたいと思いました」 妹をサブスクするSF的設定とサスペンス的な不穏さ、多様な価値観や倫理観が交錯する社会派ドラマの一面など、さまざまな要素を内包しながら、姉妹はどこへ向かうのか。 「いつもは一対一の関係性を描くことが多いのですが、今回はいろんな人の目線を意識しました。どの目線にもそれぞれに正義があって、どれも完全に正しいとは言い切れないけど、間違っているわけでもない。みゆきも普通に傷つく子だし、自分が正しいという絶対の感情だけで動いているわけではないのだと、描きながら理解できるようになりました」 『妹・サブスクリプション』 しっかり者のみゆきは、妹の今日子をひそかにサブスクしている。一体なぜ? 本物の今日子は? SNSで話題を呼んだ衝撃作。描き下ろし番外編も収録。講談社 1100円 ©橋本ライドン/講談社 ※『anan』2024年5月22日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子 (by anan編集部) https://ananweb.jp/news/548976/ Source: ananweb

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